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ナーワンダーグスク登頂〈1〉新月の日に

そこに鏡はあった。本当にあった。
これが祖神の霊を祀る日巫女の鏡だ。
沖縄至高の御嶽・斎場御嶽の奥宮と言われる
ナーワンダーグスクの聖なる頂き。


極秘に伝わる御嶽とはいえ、
まさか天頂に、本当に鏡が祀られていたとは。
5mほど先にそびえる巨岩の上に祀られた鏡と
対峙して、それだけを思った。
ナーワンダーグスク登頂〈1〉新月の日に_a0300530_3142769.jpg

イナグ(女)とイキガ(男)。
巨岩一対を成すナーワンダーグスク。
かつては斎場御嶽の拝所・寄満(ゆいんち)
の対面に登り口があったが、
現在、登山道は「立ち入り禁止」。
ナーワンダーは原始の森に隠された。


ただし、裏からの道は何本かある。
2ヶ月前にそこから森に入った。
が、案内人はイナグの巨岩に登ったことはなく、
麓から引き返したのだった。


いっぽう語り部は、裏道は知らないが、
寄満から登ったことがある。
巨岩の麓まで行けば、登ることができるという。
ふたりで行けば登頂できるだろうと、
語り部に同行を頼んだ。
      
数日前から沖縄入りして機を待ち、
登ったのは8月27日(水)。
「新月の日がいい。27日に登りましょう」
と語り部が言ったその意味に、
鏡を仰いでようやく気がついた。


「そうだったのか! 月…。
鏡とは月のことだったんですね」
ただ、そうピンと来た。
「そうですよ。鏡は月を意味していると思います」
天頂へのクライミングを試みている語り部の声がした。


鏡の一段下の祭祀空間へも、このような絶壁を登る。
およそ高さ8m。墜ちたら事件、登れたら発見。
40度近くある気温にクラクラしつつ、
岩にへばり付いて登った。
ナーワンダーグスク登頂〈1〉新月の日に_a0300530_3152361.jpg
 
あと一息で天頂。最後の巨岩クライミングに挑む前、
太平洋の画像を撮った。
見慣れた海を初の視座で見る。11時17分。
森に分け入ってから30分経過していた。
ナーワンダーグスク登頂〈1〉新月の日に_a0300530_3194843.jpg


※投稿日が2015年8月になっているのはカテゴリを変更したためで、
ナーワンダーグスクに登頂したのは、'14年8月27日のことでした。
by utoutou | 2015-08-26 13:33 | ナーワンダーグスク | Trackback | Comments(1)
Commented at 2021-12-24 08:46
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