伊雑宮へ〈2〉「太一」の秘紋

「太一とは北極星、天帝」を神格化した名だと、語り部は言った。
北極星を沖縄では「にぬふぁ星」(北の方の星)と呼び、
沖縄民謡『てぃんさぐぬ花』の歌詞にも登場する。

〜夜走(ゆるは)らす船(ふに)や 「にぬふぁ星」見当(みあ)てぃ
我(わ)ん生(な)ちぇる親(うや)や 我(わ)んどぅ見当(みあ)てぃ〜
(夜、沖に出る舟は 北極星が目当て。 私を生んでくれた親は私を見守る)

いっぽう、北斗七星は「にぶとぅい星」。
形が似ていることから、杓子、船の碇、釣り針にも例えられる。

伊雑宮に行く前、太一を調べていて、まったく驚いた。
北極星(太一)と北斗は、伊勢神宮内宮と外宮の秘紋だという。
それぞれ「屋形文錦(やかたもんのにしき)※中国の廟のような形」
「刺車文錦(さしくるまもんのにしき)※御車の形」と名がついて。

秘紋をあしらった御被(みふすま、夜着)は特別なもので、
遷宮の際、それぞれ御神体を被うためだけに用いられるとのこと。
吉野裕子氏が著書『天皇の祭り』で証しており、次のくだりもある。

〜「太神宮の屋形文錦の御衣は、皇天、常住の本居の義なり。
豊受宮の小車錦の御衣は、宝車に乗り、四天下を廻り、万類に度る由なり。」
『宝基本記』は、鎌倉時代初期に成立したと今日では考えられているが、
この記事は屋形文錦は「太一」、刺車文錦は「北斗七星」の象徴であることを暗に言っている。〜

太一とは、天照大神。
北斗とは、その御饌津神である豊受大神。
「太一=天照大神」の秘紋(秘事)は、やがて神宮の外に洩れ伝わり、
「太一」という御神体として、伊勢地方で祀られるようになった…。


伊雑宮の南に隣接する御神田(おみた)。毎年6月24日に
御田植祭りを行う「磯部の御神田」として、国の重要文化財に指定された。
その祭りに先立つ竹取神事で、漁師の男たちがゴンバ団扇を奪い合う。
男たちが持ち帰った団扇は、船霊(ふなたま)として豊漁のお守りに。
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秋のはじまりの空が高い。
御料田の作付面積は1643㎡(「伊雑宮 参拝のしおり」より)という。
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参拝後、資料館へ行こうとして、神社の隣家で足が止まった。
森家 伊雑宮のおもてなし処 御師の家」に、ゴンバ団扇のイラストがあった。
上の団扇には日月と松竹梅、下の扇には千石船に太一。これだ…。
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by utoutou | 2014-10-01 13:36 | 伊勢 | Trackback | Comments(0)
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