イザイホー 2⃣ 十字の霊力

「アジマー(十字)の意味が分かりましたよ」
語り部から連絡があった。
語り部が教えてくれる話には2種類ある。
ひとつは、玉城百名の神女おばたちに聞いた伝承。
もうひとつは、現在進行形で紐解く
沖縄の歴史や風俗の謎。
昨日の話は、2種混合といったところ。

アザカ(長実ボチョウジ)の葉がなぜ、久高島の祭具に。
その訳は葉が十字に生えることだったが、ではなぜ十字
に魔除けの霊力が宿るのかが、いまひとつ分からなかった。

「アザカの葉は、カジマヤーと同じです」
カジマヤー(風車祭)。
沖縄で9月7日に行われるお祭り。
97歳になった人が着飾り、風車を持ち、
車で集落の「十字路」を練り歩き、長寿を祝う。

都会ではオープンカー、島々では軽トラに主役を載せ、
カジマヤー・パレードをするのが一般的。
写真は宮古郡多良間島ウェブサイトより拝借。
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かつて語り部は、言っていた。
「風車は無限大(∞)の形の羽根が十字になっている。
そして、風(神の息)を受けて初めて回る。
カジマヤーは、生命の鍵を握る神への感謝の祭り」だと。

いま、アジマーの由来は「葉の意味」にあると語り部は言う。
「火・水・土・風(空気)、この4つの元素で万物は創生します。
4枚の葉は、それを表している」
「はぁ、カジマヤーには、元々の意味があったと」
「久高島の麦の初穂儀礼でノロがお供えのマブッチ
(麦の粥)に向ってアザカの葉束を大きく振りますが、
あれは風を起こしているのだと思います」
「なるほど。葉で風を呼び、元素のエネルギーを高める。
だから、豊穣をもたらす祈願になるんですね」
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(写真は上下とも『神々の古層』(比嘉康雄氏著)より拝借)


「ではイザイホーで、ナンチュにアザカの葉を飾るのは?」
「霊力を高めるためと、
神女として、一族の仲間入りをしたという認証でしょう」
「だからアザカの葉を用意するのは、親戚の先輩神女…」


イザイホー4日目最終の演目・グキマーイ(桶廻り)。
中央のハブイ(草冠)を被っている女性たちが新人。
3日目に久高根人から顔に朱印を、外間ノロから
スジ(餅印)を受ける神女就任の儀式を終えた。
この円舞のときは、髪にアザカの葉を1枚飾った。
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「で、この一族とは、どんな民族なんです?」
「火の神の民族でしょうね」

関連して、別の謎も解ける気配がする。
昨秋、伊勢神宮へ何度か参り心に残ったのが、
忌火屋殿(いみびやでん)についてだった。

「忌み火」とは清浄な火。特別な祭具で火を起こし、
この火を使って神饌を調理するところが、忌火屋殿。
日本人とは、火を霊として崇める民なのだと実感。


昨年11月、遷宮を控えて準備が整った伊雑宮の忌火屋殿。
忌火など大和朝廷の祭祀は、忌部氏が担ったという。
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by utoutou | 2015-01-05 06:37 | イザイホー | Trackback | Comments(0)
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