ヤマトタケル ⑥ お犬様の正体〜宝登山神社

秩父三社の〆は、宝登山(ほどさん)神社。
長瀞から1㎞ほど離れた山側に鎮座する。

ご祭神は、神日本磐余彦尊
(かんやまといわれひこのみこと、神武天皇)
大山祇神(おおやまづみのかみ)
そして、火産霊神(ほむすびのかみ)。

西暦110年(1900年前)創立と御由緒
にあるが、系譜年代から数えれば、
景行天皇の皇子・ヤマトタケルは4世紀の人か。

そのヤマトタケルが、東征の旅の途中で
この山に登ったものの、猛火に包まれた。
すると犬たちが現れ、火を止めてくれたという。
ゆえに火止山(ほどさん)と呼ばれ、やがて
縁起よく「宝登山(ほどさん)」となった。



極彩色の龍と、火難避けの神様…
縁起はよいが、それにしてもホドサンと
声に出すと凄みがあるなと、社殿を見上げた。
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なぜなら、宝登山の「ホド」は
古語で女陰を指す「ホト」を彷彿とさせる。
イザナミは「ホトを焼いて死んだ」し、
ヤマトトトヒモモソ姫は「ホトを突いて死んだ」。
沖縄にもお産にちなんだ「ミホトの御嶽」がある。

沖縄では、またホトを「ヒ」「ホ」と言った。
昔は火事があると、男衆が女の腰巻きを振りながら、
「ほーはい(火排)、ほーはい(火排)」と、
火消しをする呪術があったそうだ。

ホトとは穴、そして火の出る処である。
そして、火止山とは溶鉱炉のある山だ…
と思ったのは、家にあった未読の本
『古代の鉄と神々』('81年、真弓常忠氏著、
学生社)をふと開いたときのことだった。

〜犬とは砂鉄を求めて山野を跋扈する
一群の人々の呼称である。
つまり製鉄の部民にほかならない〜

「お犬様」が眷属である秩父三社。
古代の秩父は、産鉄族の住むところだったか。


宝登山神社HP の動画「御由緒ものがたり」。
ゆるいヤマトタケルだが、描写がパワフル。
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危機一髪に陥ったヤマトタケルだったが。
〜突然現れたたくさんの白い影、黒い影。
影は風を切って次々に猛火の中に飛び込んで
いきます。影のように見えたのは、
大きな白犬、黒犬です。〜

では、秩父にいた犬たちが産鉄族と
すれば、なぜヤマトタケルを助けたのか。

思考停止したので、語り部に聞くと。
「それは、ヤマトタケルが火打袋と
草薙の剣を持っていたからだと思います」
「なるほど。で、それはなんで?」
「ヒントはヤマトタケルの幼名です」
「小碓皇子(おうすのみこ)ですか?」
「碓は、他にどんな漢字を当てますか?」
「臼、ですね」


小碓皇子と兄の大碓皇子(おおうすのみこ)
が産まれたとき、父である景行天皇は、
当時の王家の風習により、臼を
背負って産屋の周りを歩いていたと記紀に。


↓宝登山神社の摂社・大和武尊社。
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↓やはり摂社の宝玉稲荷社。
秩父は古来、米どころでもある。
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臼と草薙の剣を持つヤマトタケルは、
産鉄族にとってどんな存在だったのか。
そもそも産鉄族とは何ぞや?
また難しい領域に突入してしまったようだ。



by utoutou | 2015-05-16 19:15 | ヤマトタケル | Trackback | Comments(2)
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Commented by lunabura at 2015-05-16 21:58
こんにちは。いつも楽しみに読ませていただいています。
ちょうど、今日、執筆中の記事の引用文に「秩父」が出てきました。
〈踏鞴の名人、賀茂の氏族の故郷を、筑紫で猪無、東国で秩父と言う。(ヒアデス星団の)動きの速きことを猪や鹿に例えた。〉(『儺の国の星拾遺』眞鍋大覺)
福岡県古賀市に粕屋の屯倉の候補地、鹿部田淵遺跡があり、その側に鹿部山があります。「鹿部」は「ししぶ」と読み、その山は三連山の一つで、海風を受けながら冶金をするのに絶好の地形です。
秩父の状況を知りたかったので、今回のシリーズで様子が分かりありがたいです。
特に、今日の記事は私と同じ発想だったので、興味深かったです。^^ 
Commented by utoutou at 2015-05-17 09:06
lunabura さま

コメントをありがとうございます。
こちらこそ、ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。
愛読者です。笑

とても参考になる情報、助かります。踏鞴の名人・賀茂の氏族の故郷、鹿部山、三連山。なるほどそうだったのかと、有り難く拝見しました。古代の鉄を考えるのに、鹿と三はキーワードのようですね。

何しろいつも泥縄式のブログ投稿です。秩父でようやく産鉄という視点に辿り着きました。今後ともよろしくお願いいたします。

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