ヤマトタケル ⑦ 産鉄族の出現〜宝登山神社

ヤマトタケル、別名・小碓尊(おうすのみこと)。
第12代景行天皇の皇子で、第14代仲哀天皇の父。
父に命じられ、各地に蛮族征討の旅に出る。
西方へ、そして東方へ。
重なる指令を嘆いたヤマトタケルだったが、
伊勢にいる叔母の倭姫を訪ねると、
火打袋と草薙の剣を渡され、激励を受けた。
「危ない目に遭ったら、これを開けなさい」と。

尾張、相模、上総、甲斐、そして武蔵秩父へ。
旅のコースの一部になっている秩父三社、
その宝登山神社に参拝した私は思った。
ヤマトタケル神話とは、産鉄族を平定する旅物語?

語り部に意見を聞くと、3つのヒントが出た。
「臼」「火打石(袋)」「草薙の剣」、
それを解けば、旅の目的がよく分かるはずと。

というわけで、まず、
臼(碓、うす)について考えた。
「碓は臼と同じ意味」だと、語り部は言う。
すぐに思い出されたのは、
久高島の重要な御嶽に祀られている石臼だ。


がじゅまるの根本に、石臼が隠されている。
上下の石臼を貫いて真ん中に空洞のある「搗き臼」。
石香炉がある御嶽空間で、神として祀られている。
a0300530_1874734.jpg


臼はイザイホーの祭りにも登場した。
三日目の就任式で、
神女たちは逆さにした木臼に座った。
その儀式に際して、ノロが木臼に祈りを捧げた。

久高島は五穀発祥の島。そして、
稲作が発祥した玉城とは、一対となった祭祀場。
従って脱穀に使う臼は神具、いや神そのもの
だったのだと、私は解釈していたが…。

皇学館大学名誉教授・真弓常忠氏の
『古代の鉄と神々』を読んで、臼の役目は
それだけではないかもしれないと思った。

(長文だが…)以下引用。

〜わが国の古い呼名を「豊葦原の瑞穂の国」という
のは、稲穂の豊かな稔りを希求した誉め言葉で、
葦の生命力が邪気を祓うとの信仰から、葦の豊かな
に茂る原はみずみずしい稲も育つとの経験によった
ものとする解釈がおこなわれてきた。(中略)
しかし、葦は葦であって、これが稲に変わることはない。
が、葦の根に褐鉄鉱、すなわち「スズ」の生(な)る
ことを知ったとき、眼から鱗の落ちる思いがした。
つまり。葦の原は鉄の採れるところであった。
すなわち、葦の根に形成される褐鉄鉱の団塊「スズ」を
採って、それにて鉄器を生産し、開墾を進めたのである。〜

真弓氏も著したが、まさに目から鱗。
目の前に山の民が出現したかのような驚き。

実はこれまで、沖縄の古代について
どうもピンと来ない事々があった。
「アマミキヨの弟はカニマン(鍛冶屋)」という古伝、
「御先(うさち、上古)カニマン」という言葉、
「受水走水(うきんじゅはいんじゅ)は湿地帯だった」
という神女おばあたちの口伝、
そして、玉城垣花にある古代製鉄所跡の遺跡。
バラバラに聞いたパーツのすべてが、
「葦原は瑞穂の国」というキーで繋がったのである。



三峯神社の駐車場からの三峯遠望。
産鉄地の多くは連山に囲まれた盆地という。
a0300530_21584076.jpg




ところで、宝登山神社に、
藤谷淵神社という摂社がある。大和尊社の隣。
明治政府の方針でここに集められた産土神
を昭和になって祀ったと、記念碑は記す。
a0300530_13281883.jpg


藤谷淵とは長瀞の旧名だいうが、
『風と火の古代史』(柴田弘武氏著、92年、渓流社)
を読んで、再び目から鱗が落ちた。
「藤の蔓で編んだザルは産鉄具なので、
産鉄地名には藤がよく付く」
「淵とは葦のこと」だという。

そこで、藤谷淵という地名は、
ズバリ産鉄地を示すのだと気がついた。

また、この書に「火打臼は産鉄具」だとも。
臼は稲作と産鉄の両方に使われてたわけだ。
ちなみに、あの臼が祀られている
久高島の御嶽は、国淵山と呼ばれる。


藤谷淵神社の御祭神が ↓石碑にズラリ。
伊勢大神、八坂大神、野栗大神、
諏訪大神、琴平大神、熊野大神)、榛名大神…

そして最後に、竃三柱大神とある。
その下には平仮名で、
おきつひこのみこと、おきつひめのみこと、
ほむすびのみこと…。調べると、
この三神こそ産鉄族が祀る神だった。
a0300530_13284527.jpg


宝登山神社で、主神のひとつとして祀られる
火産霊神(ほむすびのかみ)は、火難を防ぐ神。
その裏に、さらに深いご神徳が隠れていた。





by utoutou | 2015-05-19 15:26 | ヤマトタケル | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://mintun.exblog.jp/tb/21235588
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< ヤマトタケル ⑧ 丹生都比売 ... ヤマトタケル ⑥ お犬様の正体... >>