沖縄の天女伝説 ⑦ 琉球王の守護神

察度王の母となった天女が、銘苅(めかる)の女?
父の奥間大親(おくまうふやー)がアマミキヨ子孫(天孫氏)
ならば、銘苅家とは、それ相応の家柄と思われる。

そこで思い出すのは、『銘苅子(めかるしー)』。
子(しー)とは元服後、叙位するまでの士族の称号
なので、「銘苅村の青年」といったところか。

銘苅村の銘苅子と天女の話は、
琉球王朝の踊奉行・玉城朝薫の組踊『銘苅子』で有名。
こちらの天女伝説でも、天女は一男一女をもうけるが、
やがて羽衣を見つけて昇天。残された娘は尚真王の夫人となり、
後に高級神女・佐司笠(さすかさ)按司加那志になった。
そのストーリーは、『中山世譜』『球陽』などの文献にも見える。

つまり、銘苅子は実在の人物だった。
そして、察度と同様、天女は再び王権にからむのである。


『銘苅子』の羽衣伝説の舞台は、現在の那覇市新都心。
銘苅は都会に残された緑地帯といった趣き。
那覇市の新都心銘苅庁舎や佐川急便の近くと聞いて…。
a0300530_10160639.jpg


遊歩道は、左の銘苅川と、右の佐川急便の間。
天女伝説の舞台となった川泉は、すぐに分かった。
a0300530_10160931.jpg



↓ 天女が水浴びをしたという川泉・シグルクヌウカー。
伝説の舞台が、600年経ってもこうして残されている。
天女伝説の舞台、往時の住所は、島尻郡
真和志間切 安謝村 銘苅(まわしまぎり・あじゃそん・めかる)
a0300530_10303643.jpg


銘苅川は、安謝川の支流。河畔に下りたかったが、
原生林?の壁はちょっと厚かった。
a0300530_10162140.jpg


さて、天女の娘が成長して就いた
佐司笠(さすかさ)按司加那志(あじがなし)は、
第一尚氏王統時代には最高神女の位の公職だった。
第二尚氏に入り、その座を聞得大君に譲ったが、それでも
なお佐司笠は、航海神の司祭として崇敬されたという。

この「航海神」というところに、強く感じるものがある。
尚真王が、八重山征討の航海安全祈願をしたところが、
斎場御嶽の寄満(ゆいんち)だったことは既に書いた。

そのとき歌われた「おもろ」もこちらの記事に。
以下、おもろ部分の抜粋。( )内は現代語訳。


斎場嶽 君々しよ 守れ
(斎場御嶽の神女たちよ、王の船を守れ)
(中略)
風直り 煽らちへ
(ノロは鷲の羽の髪飾りを風に揺らして)
赤の御衣(あかのみそ)煽らちへ
(美しい衣を風になびかせて)
(後略)



ここで詠われる「鷲の羽」「赤の御衣」に、
天女の羽を連想するのは、私だけだろうか。
沖縄では、羽衣を飛衣(とびんす)と呼ぶそうだ。

古代、海(あま)は天(あま)と呼ばれた。
天女とは、天翔る、海神の娘ではなかったか。

現在は新都心一部として活況を呈する銘苅。
銘苅村は、大海に注ぐ銘苅川の流域にあった。
銘刈家は、この地を居城とした海人族の家系か?


いま水量は極めて少ない様子だが、
銘苅川が蕩々として流れる川だったことが分かる。
とすれば、主流となる安謝川の古の雄大さはいかに…。
a0300530_12293937.jpg


by utoutou | 2015-09-03 16:41 | 天女伝説 | Trackback | Comments(4)
トラックバックURL : http://mintun.exblog.jp/tb/21609167
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by at 2015-09-03 18:06 x
utoutoさん、こんにちわ。新都心の佐川急便懐かしいです(笑ー転勤中、新都心に住んでいたので)銘苅の天女伝説聞いたことありました。でも近すぎていつでも行けると思ってたら行きませんでした…(^^;) こんな感じなんですね。追跡アマミキヨの世界で登場するとは想像してませんでした。繋がりますねー。そう考えると銘苅のお隣の天久の地名の由来が気になりますねー。
Commented by utoutou at 2015-09-04 01:12
> 寅さん
そうでしたか、新都心に。実は銘苅、とても古い土地のようですね。天女が水浴びしたカーだけではなく、天降りガーもあると聞きました。で、住んでいた方々は(銘苅家も)米の軍用地になってから、寄宮に移住されたとか。

天久、私も気になり語り部に聞いたところ、やはりアマミキヨの意味だと言われていたようです。アマミキヨ→アマミク→アメク。先日、天久宮にも参りましたので、次回はそれを書こうと思います。銘苅の意味を考えても、やはりアマミキヨの時代に繫がります。ほんと地名は意味深ですね。
Commented by 徹平 at 2015-09-04 01:47 x
utoutou様こんばんは。
ブログを混乱させないようにコメントには気をつけておりますが、マズイ内容の場合は削除して下さい。

この頃、ドキドキしてブログを読んでます。
upされるのが楽しみで楽しみで!!

天久の土地は戦争とかで浮遊している気がたくさんありますが、土地の奥深くの気からは、心地よさを感じて好きな土地の1つです。
今度、その天久で僕自身の式を挙げます。
挙式の中で、てぃんさぐの花を三味線で弾きます。

僕の地元は寄宮です。
寄宮に銘苅区という地域があります。

僕の共通するwordが連続してたので、親しみを覚え嬉しい気持ちになりました。
ありがとうございます。
Commented by utoutou at 2015-09-04 10:43
> 徹平さん
何よりもまず、おめでとうございます! 「てぃんさぐの花」を演られるのでしたら、なおさら、ちんさーの御嶽は気になりますよね。それも、天久で。素晴らしい祝宴になりますように。

寄宮もとても歴史の古そうな土地ですね。銘苅、与儀、開南、地名を見ただけでも、胸騒ぎがします(笑)。楚辺の城岳からは燕の明刀銭が出ましたね。しかも同時代の遺跡から出るのは全国的にも珍しいようですね。

<< 沖縄の天女伝説 ⑧ 天久宮の天... 沖縄の天女伝説 ⑥ 天女は誰? >>