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東国三社 ③ 息栖神社、アラハバキが隠れている

鹿島神宮の次は、
茨城県神栖市息栖にある息栖神社へ。
息栖は「いきす」と読む。
古来、鹿島灘に向って鳥の嘴のように尖って
浮かぶ島だったことから「沖津州」と呼ばれた
のが、やがて転訛したという。

祭神は、久那戸神(くなどのかみ、岐神)
相殿に、天鳥船命(あめのとりふねのみこと)
住吉三神(=上筒男神、中筒男神、底筒男神)

鹿島神宮と香取神宮に祀られる武神(と神剣)を
東北へ道案内したという久那戸神と、武神を乗せた船、
そして航海神が祭神となっており、
神社のたたずまいも二社に比べて地味だが、
拝殿で宮司さんのお話で、一気に胸が高鳴った。



正式参拝ではないにも拘わらず、拝殿に
上げてもらえるのは、嬉しい計らいだった。
バスツアー客40人は、拝殿内でお話を聞いた。

↓ 本殿のクナト神を背に、いわゆる神様の目線。
東国三社 ③ 息栖神社、アラハバキが隠れている_a0300530_17035873.jpg



逆に、楼門から本殿を見ると、こんな感じ。
鳥居から一直線に進む。境内もこじんまり。
東国三社 ③ 息栖神社、アラハバキが隠れている_a0300530_17180460.jpg


さて、
拝殿では、こうした距離からクナト神に詣でる。
見上げると、
向って右に鏡、向って左に神剣が掛かっている。
「右は女神、左は男神を表しています」と宮司さん。


すぐに、クナト神とアラハバキだと直感した。
出雲神族を率いたというその男女神は、アイヌ語で、
男性器と女性器という意味だと聞いたことがある。

また沖縄や出雲をはじめ、古代信仰の残る各地で、
男女の性器をかたどった一対の磐座を見てきた。
鏡と剣を神社のに祀るこの地にも、
クナト神とアラハバキが祀られていたか?
東国三社 ③ 息栖神社、アラハバキが隠れている_a0300530_17104779.jpg



逆に楼門から本殿を一直線に見る。
「祀られているクナト神は、鹿島神宮や
香取神宮よりも古い時代からここにいた神様」
と、宮司さんは仰った。ならば、
アラハバキが隠れていると思わずにいられない。
男女一対の神祀りは、出雲神族の信仰形態だった。
東国三社 ③ 息栖神社、アラハバキが隠れている_a0300530_17180460.jpg


男女神の祀り方は、社前の利根川にかかる
一の鳥居(地図の下部分)でも見ることができる。

一の鳥居の両脇にふたつの鳥居が立っているが、
その中から清水が湧いている。
本殿から見て、左が女瓶、右が男瓶と呼ばれる。
併せて「忍潮井(おしおい)」という。
東国三社 ③ 息栖神社、アラハバキが隠れている_a0300530_17375783.jpg


御神体である男女の井戸「忍潮井」は、
伊勢の明星井、伏見の直井と並ぶ「日本三大霊水」。
楼門から見ると、少し先に一の鳥居が見える。
利根川の河口にあたるここは、古代は海だった。
東国三社 ③ 息栖神社、アラハバキが隠れている_a0300530_17580198.jpg


思えば、クナト神が祀られる出雲大社の
摂社・出雲井神社に参ったのは、2年前のことだった
(記事はこちら)。

その出雲井神社が妙に思い出されるのは、
同神が祀られているからだけではなかった。
語り部の言う、
この東国と出雲を結ぶレイラインが、クナト神の
移動に伴って引かれたものだったとしたら?

太陽の昇る東、太陽の沈む西。
鎌足に始まる藤原一族は、朝廷の中枢に
駆け上がる足掛かりに、この東国を欲しがったのか。
人間には支配できない「太陽」の替わりに…。

東国トライアングルには、その野望が渦巻いていたか。









by utoutou | 2015-11-26 20:17 | 神社 | Trackback | Comments(0)
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