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東国三社 ⑥ ノアの方舟

沖縄に残るムー大陸伝説は、琵琶湖西岸の
白鬚神社に参った理由と大いに関係がある。
大国主の裔・冨一族の伝承を記した『謎の出雲帝国』
(吉田大洋著)で白鬚神社のくだりを見たからだ。

現在の祭神は猿田彦となっているが、明治時代
までは渡来した新羅王子の
天日槍(あめのひぼこ)が祀られていたという。

アメノヒボコは神功皇后や応神天皇につながる
息長氏の祖神。
沖縄方言では沖縄を「うちなー」と言うが、
その語源は「息長」だと、私は思っている。
那覇市の海岸沿いに「うちなーの御嶽」がある。
古来、朝鮮半島と沖縄は潮流を介して密接だったと。



というわけで、白鬚神社。
境内は急峻な上り坂で、大きな磐座があった。
特別な神域として注連縄が回され、古墳らしい。
写真左は岩戸社。並ぶように配置されていた。



境内から下ると、こうして琵琶湖が見える。
写真左の建物が本殿、中央が絵馬殿。視線の先に、
琵琶湖の対岸の沖島や日牟礼八幡宮が位置する。
日牟礼八幡宮の本殿裏にも、
屏風岩と呼ばれる大きな磐座があるという。



白鬚神社に最寄りJR近江高島駅で見たポスター。
白鬚神社・沖島の奥津嶋神社・日牟礼八幡宮を
結ぶラインは偶然、湖に描かれた丸を横切るあたり。



白鬚神社と琵琶湖東岸の神社群の位置を見るとき、
思い当たるのは「遥拝(ようはい)」という古代習俗。
海原を航海した海神族は、拠点を定める度に、
常に始祖神を崇める聖地を構えたと、私は思う。
決め手は朝日のさす方向か、始祖神のいた方向、
星を羅針盤にし、月の満ち欠けに時を計りつつ。

その移動経路が、ゼロ磁場と呼ばれる中央構造体に
沿って点々と残る聖地であり、レイライン(龍脈)。
日高見と呼ばれた東国の鹿島灘がその終着点だ。



遥拝所は、沖縄各地に残っているが、たとえば
沖縄本島・南城市玉城百名にあるアイハンタ御嶽。
(地元では、エーバンタ御嶽と呼ばれる。
最近整備され、久高島を遥拝する拝所が復活した)
※11月末に撮影。


久高島の南端が真っ直ぐに望める
この御嶽の崖下には、久高島の始祖ファガナシー
夫妻が船出した水堅浜(みでぃきんぬはま)が、
逆に約100m背後の丘陵にはミントングスクがある。
沖縄の始祖アマミキヨに所縁の御嶽が一直線に並ぶ。
琉球王朝時代、ここで国王が雨乞いをしたとも伝わる。


沖縄本島と久高島を繫ぐレイラインは、
島の東端にある「スペーラの御嶽」を向くと、
語り部は言う。御嶽名の意味はスメラミコト…。

御嶽を遥かに拝するその眺めは、
琵琶湖西岸の白鬚神社からの眺めを彷彿とさせる。
東岸の日牟礼八幡神社にも、この国の
建国にまつわる秘史が隠されているかもしれない。


さて、本題。
「龍蛇族はムー大陸から来た」という口伝の核心と
なっているのは、「洪水伝説」である。
語り部はある神女から、35年前にそれを伝え聞いた。
語り部と神女はこんな会話をした。
(私のメモ帳から転載)

〜アマミキヨ以前の伝説をノートに書き
留めている神女おばあに、語り部が聞いた。
「これ、なんね?」
「わったー(私)が聞いた古い歴史。
(アマミキヨの渡来地)浜川にいたのは、
天王ガナシーという男神だった。
お妃が天妃ガナシーで、3人の男の子がいた。
そして、洪水が起こって島が沈み、兄弟は逃げた」
「あ、そう、どこへ逃げたの?」
「長男は天孫氏を名乗ってケラマに行った」
「へえ、じゃあ、次男は?」
「シロミキヨを継いで浜比嘉島に行った。
三男はミントンに残ってアマミキヨを継いだ」
「は? まったくノアの方舟の話じゃない?」
「いー、その通り。まったくノアの方舟さ。
白人・黒人・黄色人種も、やせーや(そうだよ)」
「はあ?」
「昔はね、3つの人種がいて、天孫氏はその次。
どれだけ古いかというと、人間は9008代である」
「2億年ぐらい前から人がいたってこと?」
「わったー分からん。ただ、そういう伝えがあった」
「どこに?」
「(本島の東の)伊計島にあった」〜

ところで、
「始祖アマミキヨは大東(うふあがり)から来た」
と、沖縄では言われる。現在の大東島ではなく…。
それがムー大陸とすれば、位置は当たっている。
ニライカナイが「東海にある理想郷」である理由も。



↓『失われたムー大陸』(1931年)の著者
ジェームズ・チャーチワードの描いた地図。
木村政昭氏『ムー大陸は琉球にあった!』より拝借。

先日、語り部の話が「ムー大陸」に及んだとき、
私は仰天して聞いた。
「すると、クナト神はムー大陸の人々が崇めた
という太陽神ラ・ムーのことですか?」
「はい、そういうことになります」



by utoutou | 2015-12-08 14:57 | 神社 | Trackback | Comments(0)
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