六甲山と瀬織津姫 ⑭ 本当の日向(ひむか)

「卑弥呼の鏡か!?」と言われた金銀錯嵌朱龍紋鉄鏡
 (きんぎんさくがんしゅりゅうもんてっきょう)。
 縁取りの渦巻き模様は、蕨手文(わらびてもん)という。
 あの「隼人の盾」の渦巻文も、そう呼ばれる。

そして、
 蕨手文とは、日下部氏の信仰を描いた文様だった。
「隼人の盾」の渦巻き文は当初、海洋性を表す鉤型と
思ったが、縄文時代に興った古代氏族ならではの
「死と再生を願う呪術文様」でもあると気がついた

縄文土偶に見られる渦巻き模様も、蕨手文だ。
 龍蛇のトグロにも似て、生命の輪廻を連想させる。
いっぽう、ワニの歯に見えた「隼人の盾」の鋸歯紋は
 龍蛇の断面形を表し、龍蛇神の象徴として崇拝された。

 さて、日田にいたという日下部一族について…。
昭和8(1933)年にあの「女王の鏡」が出土した
  場所は、大分県日田市日高町のダンワラ古墳だった。

その隣の三芳字刃連(ゆき)町に日下部がいて、
町名の由来となっているという(日田古代祭りHP)。
欽明天皇の頃(539〜571年)、日下部君の祖先
あたる邑阿部(むらあじ)という人が、都で
靫部(ともべ)として仕えていたので、移転した
この地を靫負村(ゆぎおいのむら)と名付けた。後に、
 靫編郷(ゆぎあみのさと)とも呼ばれるようになった。

靫部、負とは、矢を背負って警護する兵士のこと。
靫編とは、矢を入れる竹容器を作る部民のこと。
いずれにしても、日下部氏は天皇を守る部民集団だった。


矢を背負った護衛士。そこで、思い出されたのが、
日田と同じ筑後川左岸、うきは市の装飾古墳のこと。

↓珍敷塚古墳(めずらしづかこふん)の壁画だ。
(図は大和岩雄・著『神と人の古代学』より拝借)
中央に3個の「靫」と、複数の矢が描かれている。
真ん中に蕨手文と、左には同心円文(丸い文)もある。
もしや被葬者は、靫部だった日下部一族ではないか?
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この珍敷塚古墳は、うきは市にある屋形古墳群の
1基で、他の4基にも、蕨手文や同心円文や、
特徴あるゴンドラ型の舟と人などが描かれている。

屋形古墳群のある、うきは市の旧名は「浮羽」。
浮羽とは、弓で射る「的」を意味するのだという。
「的」とは当然、太陽あるいは天体のことだろう。
日招き・月読み・星読みは、やはり日下部の職掌だったか。
そう言えば、日下部と同族の日置は弓道の祖である。

装飾古墳に描かれた蕨手文と同心円文は、
日下部氏が司祭した太陽祭祀の呪文様だったと思う。
天皇家の護衛とは、霊的な守護も含むものだったのでは。

さて、
蕨手文と同心円文の共存する古墳の分布はというと、
九州にある約270ヶ所の古墳のうち、9ヶ所あった。

【蕨手文・同心円文のある古墳】
珍敷塚古墳 6世紀後半 うきは市蕨手文/同心円文
日岡古墳 6世紀後半 うきは市蕨手文/同心円文 
塚花塚古墳 6世紀後半 うきは市(蕨手文/同心円文)
王塚古墳 6世紀後半 嘉穂郡桂川町(蕨手文/同心円文
丸山塚古墳 6世紀後半 八女市(蕨手文)

重定古墳 6世紀後半 うきは市蕨手文/同心円文
乗場古墳 6世紀後半 うきは市(蕨手文/同心円文
鹿毛塚古墳 6世紀後半 久留米市(蕨手文/同心円文
田代太田古墳 6世紀後半 佐賀県鳥栖市(蕨手文/同心円文 


なんとすべて、時代は6世紀後半。
場所もほとんどが筑後川の中下流域に位置している。
このエリアこそが、真の瀬織津姫こと
  憧賢木厳之御魂天疎向津媛命のいた日向(ひむか)だったか。

〜日向の国とは、いまの宮崎県を指すのではなく、
現在の日田とその西側の筑後川流域一帯のことだった。
それが分割され、日田郡は豊後に組み入れられ、
残りは、筑前・筑後・肥後に編入された。
同時に、宮崎県が日向と呼ばれるようになった。
6世紀前半の“磐井の乱”の後始末のためだった。〜
※澤田陽太郎・著『天皇家と卑弥呼の系図』より引用。


「日田こそ天の八衢だ」と、澤田氏は記した。 
古代から八方に道が通じていた交通の要衝だった。
レイラインも四方八方に引かれている模様だ。
↓MAPは日田古代史研究会さまHPより拝借。
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久津媛神社(日田市日高)参道の鳥居。
写真はひたインターネット協議会さまHPより拝借。
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by utoutou | 2016-05-12 09:40 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(0)
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