六甲山と瀬織津姫 ⑰ 神功皇后は日下部の日巫女

神呪寺(かんのうじ、西宮市甲山町)で如意輪観音
など秘仏を拝観し終わった朝8時、登山道へ向かった。
神呪寺の読みは「神の寺(かんのじ)」の転訛らしい。
すると役行者や、空海や、真名井御前が、女神を感得した
        甲山とは、神の寺のある「神の山」ということになるか。        



神呪寺の奥に建つ多宝塔。
開創1150年目にあたる昭和55年に落成したという。
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多宝塔の手前に、小さく赤い神社が並んで坐していた。
左から、甲山稲荷大明神(白菊大明神、白瀧大明神)
白髪大明神、そして右奥には善女龍王のお宮がある。
大陸的な、そして古代海人的な神々のラインナップ。
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10分ほど登ると甲山頂上(標高309m)に着いた。
山頂から下界は望めないが、↓8合目あたりでは絶景。
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↓ 山頂の二等三角点。北緯34度46分29秒、
東経135度19分46秒、標高309,21mとある。
歴史的な事績としては、仲哀天皇代、神功皇后が、
国家平安守護のために、この山頂に如意宝珠・金甲冑
   宝剣などを埋めたと伝わる。※『甲山 神呪寺史』より。 
 
思えば、真名井御前も、神呪寺の創建時、如意宝珠
   らしき浦島太郎の「珠」を空海に渡したと伝説に。 
        そして、それは「琉球(龍宮)の珠」だと語り部は言う。     
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さて、バスの時間が迫って来たので下山。
 石段を降り切ると、蓮池に弁財天が祀られていた。
弁財天は瀬織津姫の本地仏と言われるが、
 甲山も六甲山と同様、まさに女神の鎮守が篤いようだ。
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神呪寺からバスに揺られて、廣田神社へ向かった。
歩いても1時間はかからないだろう距離感である。

↓ホテルで貰った西宮探訪MAP(西宮観光協会発行)に、
勝手ながらオレンジ色の矢印を加筆させていただいた。
1⃣神呪寺、時計回りに 2⃣廣田神社、そして
前回の旅で参った3⃣越木岩神社、4⃣今回参った鷲林寺。
古代、六甲山全体が廣田神社の社嶺だったそうだが、
参った4社すべてに廣田神社の祭神である
 憧賢木厳之御魂天疎向津媛、つまり瀬織津姫に
ゆかりの女神(本尊)が鎮座。女神の街・西宮である。
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バスを途中下車して、
御手洗川沿いを歩くと、素朴な疑問が湧いてきた。
六甲山周辺にいたであろう瀬織津姫とは誰の姫(娘)?
神功皇后が甲山に登って司祭したのならば、それ以前から、
「神の山」の祭祀がこの地に在った…と考えるのが自然だ。
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その謎…は、到着した廣田神社で、かなり解けた。
摂社・伊和志豆神社(いわしずじんじゃ↓右端の鳥居)。
本殿のすぐ左に鎮座するこの社の説明板を見て納得した。
初めて参ったわけではないが、これまで気づかなかった。


祭神は伊和志津之大神だと、その由緒は記す。
〜一説によれば彦坐命(開化天皇の皇子なる日子坐王で
廣田神社を創建せられた神功皇后はその四世の孫に
当たる)を祀ると言われている。〜 
ヒコイマス王…!? 
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日子坐王とは、奈良時代から平安時代にかけ、この
 摂津から丹波・丹後一帯に勢力を誇った日下部の祖。

『新撰姓氏録』に以下のよう見える。
〜摂津国皇別 日下部宿禰 開化天皇皇子彦坐命から出る。〜

その日下部宿禰とは、以前書いたように、
766年に銭百万文などを武庫郡に献上した大領。
その豪族・日下部が、神功皇后の先祖だったのである。
神功皇后の母方の祖は天日槍だから、父方か。

どれだけ古い氏族だったのか、日下部。

そこで、思い出されたのは「卑弥呼の鏡」。
大分の日田で熊襲征伐帰りの景行天皇を出迎えたと、
『豊後国風土記』が記した、あの久津媛のことだ。
「久津媛こそ本当の瀬織津姫」と、語り部は言った。
卑弥呼かもしれない久津媛、神功皇后、真名井御前…
日下部代々の日巫女の系譜が浮き彫りになってくる。





by utoutou | 2016-05-23 06:12 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(0)
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