六甲山と瀬織津姫 ㉒ 大物主神は饒速日命だ

奈良の大神神社摂社・狭井神社にある登拝口から、
往復2時間の登山。足下に気を取られつつ、
息を切らして休憩しつつ、御神体山の気を感じつつ、
すれ違う人と挨拶を交わしつつ、大神神社の祭神
・大物主神と、三輪山頂上の高宮(こうのみや)神社
の祭神・日高御子について、あれこれ思いを巡らせた。



狭井神社への参道は「久すり道」。狭井神社の湧水
は「くすり水」と呼ばれ、酒造りや薬用に使われた。
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↓ 狭井神社の拝殿と、その横にある登拝受付所。
神社の正しい名称は、狭井坐大神荒魂神社。
主祭神は大神荒魂神、相祠神は大物主神。

また天皇家と出雲系との関係を示すように、
(神武の皇后となった)姫蹈鞴五十鈴姫命、
(同じく神武の皇后となった)勢夜多々良姫命、
(五十鈴姫の父)事代主神(=大国主神)も祀られる。
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大国主が合祀されているということは、
大物主と大国主(大巳貴)は別の神なのだろうな…
というのが、山の中の参道で繰り返した自問だった。

では、大物主(ミムロ神)とはどんな神なのか?
 
  出雲の大国主神が大和に来たと、出雲伝承には
あるというが、その時代は杵築大社が現在地
に創建された7世紀からはさかのぼらないだろう。

いっぽう、前回も書いたが、三輪山の
 禁足地裏磐座群から子持ち勾玉が出土しているので、
 大物主祭祀は少なくとも5世紀には始まっていた。
  つまり、大物主神はあらかじめ祀られていた。
  この国の農業・商業・産業・航海・水運・祭祀など
   にオールマイティーな霊験あらたかな大神として。


『日本書紀』崇神天皇の条に、神酒を天皇に献じた
  という杜氏の活日(いくひ)が歌った句がある。  

〜この神酒は 我が神酒ならず 倭成す 
大物主の 噛みし神酒 幾久 幾久〜

活日はいま、大神神社の摂社・活日神社に祀られて
いるが、その人の歌った「我が神酒ならず」と、
「倭成す大物主が噛み酒を造った」という意味は重大だ。
神酒造りの神事を司ったのは、大物主だった。
 
古代、噛み酒は琉球や薩摩など南方の習俗だった。
そしてそれは、若く美しい巫女の仕事と決まっていた。
大物主には齋宮のような存在があったことになる。
日子(ひこ)・日女(ひめ)のツートップ祭祀は、
古代海人族の証ともいえる習俗である。

思えば、木花咲耶姫(亦の名・神阿多津姫)は、
嚙み酒(神酒)を造って「酒解子神」と呼ばれた。
それを思うと、大物主と日下部氏の関係が浮上する。
まさに、木花咲耶姫の名に「阿多」の2文字がある。
勾玉を造る糸魚川の翡翠を交易したのは、阿多隼人。
神武が日向から随伴したのも阿多隼人だった。

日下部氏と籠神社・海部氏は同族同祖である。
海部の祖神とは、天火明命。
別名を、天照国照天火明櫛玉饒速日命という。
  饒速日命(二ギハヤヒ)。天照大神と呼ばれた太陽神。

大神神社が「日本最古の神社」であれば、
神武に禅譲した倭国の初代王・饒速日命こそが
この地に祀られるにふさわしい大神だった

あの拝殿の三ツ鳥居に緞帳が掛かっている理由も、
それならば、納得できるというものだ。
大物主こと大いなる物部の王・饒速日命は、
朝廷の祟り神として、三輪山に封印されたのだろう。
 
では、三輪山の頂きの
高宮神社に祀られる日向御子神(ひむかのみこがみ)
とは、饒速日命の子・大歳なのだろうか?



三輪山は撮影禁止のため、ガイドブックより
参考画像を拝借した。↓こちら摂社の神坐日向神社。
高宮神社は、ちょうどこんな規模とスタイルだった。
その奥50mほどに渡って、磐座群が広がっている。
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by utoutou | 2016-06-05 11:45 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(4)
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Commented by at 2016-06-06 22:00 x
utoutoさん、こんばんは!三輪山いいですね〜(>∀<●)ノ昨年末大神神社、狭井神社お参りしましたが、残念ながら三輪山を登る時間はなく諦めましたε-(;ーωーA大神神社行く直前まで三輪山は禁足地だから足一本踏み込めないと思っていたので、むしろ登れることに驚いたのですが(´ロ`ノ)ノできれば今年もう一度訪れて三輪山登ってみたいです!!それにしても荷物抱えたままの登山…凄いですね(汗)( ´艸`)話は変わりますが、私事で恐縮ですが(´Д`A;)、前からお話しさせて頂いていた海流ハイウェイベイビーズと言う小説の第1話を小説家になろうと言うサイトにアップしました(http://ncode.syosetu.com/n6508di/1/)週末に沖縄で用事があったので1日早く金曜に沖縄入って雨の久高島に行ってイシキ浜やカベール、外間殿、久高殿、アカララキ神もろもろの神様にネットにアップしますんでと報告してきました。ど素人小説ですがもしよければお読みください!(。≧ω≦)ノ結構な分量なので連載の形になっております(:^ー^A
Commented by utoutou at 2016-06-08 18:44
> 寅さん
こんにちは。実は、、、ハーレーが近いけど、そう言えば、寅さんどうかなと思っていたところでした。第一話の脱稿おめでとうございます! 読みましたよ。奥武島ハーレー今日ですね。私は見学したことはないのですが、まさに今日その中にいるような臨場感がありました。
ところで、小タイトルの「エーファイ」。寅さんご本人はどう解読されていますか? イザイホーのその掛け声がどんな意味なのか、私は10人を下らないウチナーンチュにお尋ねしましたが、結局、分かりませんでした。
で、私なりに「神の元へ、急げ」と解釈しています。ワッショイみたいな感じですかね。
エー=祝、ファイ=速く。玉城と久高島にそうと分かる地名があります。
小説の続き、楽しみにしています!
Commented by at 2016-06-10 21:59 x
utoutoさん、こんばんは(´∀`*)ノなんと!!!気にかけてくださってたのですねー(*´∀)ノ;・.*‐+*・.,;/ありがとうございます!!↑↑o|●´∀`|o↑↑そして、海流ハイウェイベイビーズ第1話読んでくださってありがとうございます!!いやー、今まで小説書いても賞に応募するだけで、あまり読んでもらったこととか少なかったのですが、素直に誰かに読んでもらえると嬉しいなと感じました笑(>∀<●)ノ第2話先程アップしましたのでもしよければ是非読んでください!(http://ncode.syosetu.com/n6508di/2/)。そしてエーファイ。意味を考えたことありませんでしたが、イザイホーの映像見て、エーファイと声を出しながらハンアシャギを駆けていく神女のインパクトが強すぎて頭から離れず、意味もわからないままサブタイトルはエーファイにしようと思ってしまいました笑(;¬∀¬)でめ確かにエーファイと声に出しながら七つ橋を行ったり来たりする姿は神様の元に急いで駆けて行ってるように思えますね!
Commented by utoutou at 2016-06-12 09:21
> 寅さん
こんにちは。2話も拝読しますね。調子よく執筆しておられるようで何よりです。
エーファイ、そうですね。最初にビデオを見たときのインパクトは相当に強いですよね。ナンチュの皆さんの緊張が伝わってきて。でもそれは、浮気をしている神女は七つ橋を渡れない…という伝説に縛られていたからかも知れず、なら誰だって緊張するはずだとも思いましたが…。
今後の展開で久高島の祭りがもっと出てくるのでは? と、期待しています。
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