六甲山と瀬織津姫 26 知られざる元出雲

北緯34度32分のレイラインに古代遺跡や神社
などが並ぶ「太陽の道」。それについて
考えるとき、いつもふと脳裏に浮かぶのは、
保久良神社(神戸市灘区)で見た大阪湾鳥瞰図。


鳥居前の見晴し台から見える海の景色に対応。
大阪湾、古称「茅渟(ちぬ)の海」が、
丸い海岸線に包まれるように広がっている。
淡路島(鳥瞰図の右端)から天王山(左端)
まで、ポイントの地名がズラッと記されている。
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ちなみに、赤の矢印は私の加筆による。
二上山(左の矢印地点)と淡路島(右)。
左右2点を繋ぐと北緯34度32分の「太陽の道」。
三輪山の方向も、あの左端かなと遠望できる。

ちょうど散歩中のおばあさんが足を止めて、
言ったことが、繰り返し思い出される。

「西は淡路島でしょ。東はほら奈良の二上山まで
バーンと見えるの。聖徳太子のお墓もあのへん」
「そうですか。二上山って案外と近いんですね。
ここの神様も海をバーンと見渡していたかしら?」
「そりゃあ、まあ、見ておられたでしょうねえ」


私たちの後ろの正面に、祭神の椎根津彦こと
珍彦(うづひこ、後の倭宿禰)が鎮座していた。
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いま保久良神社神社に祀られる珍彦は、
淡路島の北の速水門(明石海峡)で、東征する
神武を出迎えた。渦潮が逆巻くそこは海の関所?
珍彦は、茅渟の海の王だったのではないか。
いま私はかなり本気で、「太陽の道」を定めた
 のは珍彦の一族、日下部だろうと考えている。



さて、随分と前置きが長くなったが…こちらも
「太陽の道」の線上にある、美具久留御魂神社
(みぐくるみたまじんじゃ、大阪府富田林市)。

私は参ったことがないので
↓写真は富田林観光協会様から拝借した。
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語り部の見立てでは、この
神社が「太陽の道」の重要ポイントらしい。
それを聞き、私なりにも調べてから、
美具久留御魂神社の由緒をかいつまんで話した。

「由緒によると…十代崇神天皇の時代、ここに
大蛇が出て農民を悩ませていたが…丹波の国の
氷香戸辺(ひかとべ)の子に、お告げがあったと。
日本書紀に見えるその託宣とは…、
“玉藻鎮石 出雲人祭 真種之甘美鏡 押羽振
底宝御宝主(略)底宝御宝主”…それを祭るようにと。
天皇はそれをお聞きになって、この御神体は
山河を泳ぎ渡って来た和邇神(龍神)だとして、
この地・支子(きし)に皇子(後の垂仁天皇)
を遣わして、美具久留御魂大神を祀った…。
和邇神、龍神、なんだか琉球を感じますね」

語り部は言った。
「美具久留とは、沖縄で言う御心(みぐくる)だと
思います。和邇神・龍神というならなおさらに」
「確かに、琉球は龍宮と言われていた…では、
琉球も出雲として、出雲の人が祀った何かとは?
随分と難しい漢字が並んでいますけれど…」
「玉藻のような勾玉、本当の鏡、立派な刀。
出雲が祀った“三種の神器”のことだと思います」
「でも、ここは出雲ではなく、大和ですよね」
「つまり、本当の元出雲ということでしょう。
この事件がきっかけで出雲に杵築大社を創建する
計画が立てられたのではないでしょうか?」

確かに『日本書紀』の
崇神天皇の条に、「神宝事件」が綴られている。
神宝を管理していていた出雲振根の留守中に、
朝廷の求めに応じて、弟が神宝を差し出した。
振根は怒り、何年も治まらず、遂に弟を殺した。
それを聞いた吉備津彦は、出雲振根を殺させた。
出雲臣側は怖れて、出雲大神を祀らなくなった。

そして氷香戸辺の登場、神託となるのだが、
思えば、その女性シャーマンのいた丹波の
氷上とは、由良川と加古川の繋ぎ目にあたる地域。
一帯の水運・航海権を握っていたのは日下部だ。

元出雲とは、日下部とその同族の海部氏が
 君臨した大丹波王国のことだったか。別名・倭。
珍彦が見渡していた「茅渟の海」と「太陽の道」。
 つまり河内、和泉、難波、大和。そして近江も?
また背後の丹波、丹後、摂津、因幡、播磨、但馬。

そのすべてが大和に中央集権国家が成立する
以前の大王国だったなら、「太陽の道」とは、
単なる太陽祭祀ラインではないかもしれない。
巨万の富を築き、経済と流通を支えた生命線。
もしや、それは「鉄の道」とか?







  

by utoutou | 2016-06-20 09:38 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(0)
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