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六甲山と瀬織津姫 83 安曇磯良

和布刈神事は100人ほどの見学者で賑わっていた。
アマチュアカメラマンは十数人、ブロの人たちも
ビデオカメラマン含めて十数人はいたと思う。
20分前に着いた私は、海沿いの玉垣に脚立を並べる
アマ・カメラマン軍団のすぐ後ろに陣取ることにした。


松明が燃え尽きるまでの時間が勝負なのだろう。
非常に段取りよく、ご神事は進行した。
神職さんらが海に出たのが2時34分で、35分開始。
※私はスマホ使用なので撮影時刻が記録されている

3分後、松明の火はいったん消えかけたが、
6分後には新しい松明が投入され、素早く交換されて、
神社側のアナウンスを機にメディア用の撮影が始まった。

つまり、ご神事6分、取材6分といった割り振りだ。
アマチュアカメラマンは口々に「なんだよ」とボヤいた
が、私は思った。和布刈神事はやはりこの形なのだなと。

いや、マスコミによる「囲み撮影」の話ではない。

↓神職は松明を横向きに持ち直して、海底を照らした。
前回のブログに投稿した写真(前半の神事)では、松明が
重いためなのか、神職はそれを縦に抱えていたが、
今度は「由緒正しい」構図で、取材に対応している。
六甲山と瀬織津姫 83 安曇磯良_a0300530_14471476.jpg



↓ 昼間、私が境内で見ていた和布刈神事のイラスト。
ワカメ採りを照らす松明は、ほぼ横向きになっている。
六甲山と瀬織津姫 83 安曇磯良_a0300530_15055626.jpg



松明はなぜ、横向きになっているべきなのか?

和布刈神事のある日は、闇夜と決まっているからだ。
旧暦の正月は新月なので月は見えない。
だからこそ、新生・再生のエネルギーに満ちている新月
に、古来、人々は豊漁や航海安全を祈ったのだったし、
だからこそ「和布刈」には松明の炎が必要だったと思う。

そして、闇夜には、冬のオリオン座がよく見える。

オリオン座は、琉球では、
「黄金三つ星(くがにみつぶし)」と呼ばれた。
以前『聞得大君の守護神』として書いたが、
オリオン座の黄金三つ星は、キンマモン(明星)
と同神ともされ、また海神として崇められた。

ところで、海神・龍神は和布刈神事のカナメである。
そして、海神・龍神が生む宝珠もまたカナメである。

和布刈神事の由来には、いくつかの説があるようだ。

☆「三韓征伐」から凱旋した神功皇后は勝利を祝い、
自ら神主として早鞆の瀬戸の和布を刈り神饌とした。
☆従神・安曇磯良が神功皇后に潮満珠・潮干珠
を献上した故事による。
☆神功皇后が、安曇磯良を海中に遣わして、潮満珠
・潮干珠の法を授かり、新羅に勝利した遺風による。


潮満珠・潮干珠の「珠そのもの」にしても、
「その法」にしても、いずれにしても和布刈神事とは、
安曇磯良が海神から「珠」を授かった古事が起源だった。

以上は、東京から福岡への道中で調べ学習したことだ
が、ちょうど福岡空港に降り立った到着ロビーで、
私の携帯電話が鳴った。語り部からだった。
(内容は、以下要約)

☆安曇磯良が神功皇后に渡した宝珠は、3つある。
☆海神の宮とは琉球(龍宮)のことである。
☆潮満珠・潮干珠、そして伝説から失われた
もうひとつの珠は、六甲山か丹後に眠っている。

私は、すかさず聞いた。
「それが、六甲山に隠された宝珠なんですね」
「だと思います」

いよいよ「六甲山と瀬織津姫」シリーズも終盤
にと突入かと内心で小躍りしたが、いっぽうで、
語り部が常々語る「安曇磯良はミントンの人」で、
  「琉球の稲作の祖・天祖のアマミツは安曇磯良のこと」
という感得を、私はどうやって解き明かせば良いのか…。
旅はつづく。



和布刈神社の本殿。
安曇磯良は、第5座に祀られている。
第1座には比売大神、第2座に日子穂々出見命、
第3座に鵜草葺不合命、第4座に豊玉比売命。
六甲山と瀬織津姫 83 安曇磯良_a0300530_14475984.jpg



以下は余談だが…。
ワカメを奉納する神事を見届けてから
タクシーを呼ぼうと境内で待機していた午前3時。
暇なので氏子さんに ↓記念撮影をしてもらっていたら、
テレビの取材クルーにマイクを向けられた。


「ご神事は神秘的でしたか?」と聞かれたので、
「取材のライティングが明るくて、そう思えなかった」
 と答えたら、記者兼カメラマンが一瞬絶句した。
六甲山と瀬織津姫 83 安曇磯良_a0300530_14492277.jpg



by utoutou | 2017-01-31 21:42 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(0)
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