六甲山と瀬織津姫 88 契丹古伝の女神

『契丹古伝』は、唐王朝(618〜907年)の次に
生まれた契丹(=遼、907〜1125年)に伝わる史書。
契丹語で綴られた一巻を、太祖・耶律阿保機
(やりつあぼき)が、重臣に漢字で編纂させたという。


契丹の位置(10世紀)
『草原の王朝 契丹』(九州国立博物館)図録より拝借。
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『契丹古伝』の原文はわずか2980字、句読点のない
叙情詩といった体裁だが、日露戦争中に鴨緑江で従軍中
 に偶然写本を入手した浜名寛祐氏が、20年をかけ解読。
『日韓正宗遡源』として刊行した。
契丹古伝』はその復刻版。


契丹(きったん)=キタイ=Cathy。
英語で中国の語源ともなった契丹は、ユーラシア大陸
遊牧の民が建てた帝国。その古伝には、中国の正史
にはまったく登場しない神話と歴史が満載である。

しかも、綴られた古伝はまさに大陸的で、初版本
タイトルにある『日韓…』には治らないスケールだ。

浜田氏によれば、契丹人の祖先は東大族(シウカラ)。
日本や朝鮮半島の民やモンゴル系の砂漠の民のみならず、
一族は「大陸全面に展開」しており「殷人と縄文人は同族」
「殷の大半は倭の種族だった」と記されている。
(※殷はBC17世紀にあったと言われる最古の王朝)

『契丹古伝』に記述はないが、この殷で琉球産の
宝貝貨幣として使われたという(記事はこちら)。
交易したのは、古くから貝商人の隼人だったと見られる。

シウカラは「倭人の古代王朝」だった。
神祖(日祖)は、スサノオを思わせるスサナミコト。
日祖が地上に降臨させた日孫は、スサナミコという。
「日孫の一族は各地に発展」「先住民と仲良く暮らした」。

各地に「発展」して居住した神子や姫たちのなか
には、日本神話に登場する神も登場する。例えば…。

☆スサナアキヒがカクタラ(鹿児島)に居住させた
アタカシ媛は、木花咲耶姫である。
☆また、ウサハミ媛をムコハキ(山口県萩市)
   居住させた。祖霊の大廟があるその地は一族の聖地。
    シウカラ発祥の地だったとの大胆推理のくだりもある。  

語り部に聞いてみた。
「シウカラの姫が鹿児島や萩に…。どう思いますか?」
「あると思います。アタカシ姫とは日下部族の姫でしょう。
また、萩市の須佐には、スサノオも来たと思います」


さらには、
『契丹古伝』に琉球に関連する箇所もあると、語り部。
キリコエアケなる神子がそれではないかと、私は睨んだ。
↓『第十五章 神子キリコエ阿解と長白山』のくだり。
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この項、浜名氏による訳文はこうだ(以下要約)。

☆キリコエアケに命じて、フカムを治めさせた。
☆神祖ははじめこの長白山に降りた。白山宮である。
☆キリコエアケ(王)は、頭に角が生えていた。

浜名氏は、キリコエアケのキリと中国の吉林省を
同義として、また白山を朝鮮半島の長白山(白頭山)
として解読しているが、思うに少なくとも、
「頭の角」の特徴は、琉球のアマミキヨと同じである。

語り部は言った。
「キリコエアケとは、聞得大君の始祖なのだと思います。
フカムは久高島のノロ・外間(ほかま)に聞こえます。
または、久高島近くのフマカ島(コマカ島とも)かも
しれませんね。沖縄本島の南部は珊瑚の地層で白い山です」

あのとき、私は聞いた。
「ヤマトの女神で言うと、どの神様ですか?」
「菊理姫だと思います。弁財天とも呼ばれますね」

「聞得大君の本地仏は弁財天なり」
琉球語の古語辞典『混効験集』(1711年)には、
そう記されるが、その発祥は古代のシウカラからだった?
浜名氏が述べたように白山宮が長白山だったとしても、
漢民族との戦いに敗れて朝鮮半島へ押し出された人々
の故地は、シウカラだった可能性は大いにある。


「ミントンは、大昔、ウフアガリと呼ばれた」
アマミキヨの墓がある沖縄本島南部のミントングスク
には、そんな言い伝えがある。
東大族=シウカラ、大東=ウフアガリ。妙に似ている。

戦前まで、ミントングスクの
神壇には、「神の花」(香炉)は9個あったという。
また、斎場御嶽の三庫理で発掘された金の勾玉も9個。
菊理姫(くくりひめ)は、北斗九星を括った星神だった。



菊理姫(白山比咩神社のHPから拝借)。
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by utoutou | 2017-02-17 11:05 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(6)
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Commented by ヒロ at 2017-10-27 14:26 x
utoutou様

初めまして、私宮地神仙道道士、ヒロと申します。今契丹古伝を勉強しております。是非ともご指導頂きたくコメントをさせて頂きました。何卒宜しくお願い致します
Commented by utoutou at 2017-10-28 17:39
> ヒロさん
初めまして。契丹古伝は興味深い内容ですね。私の場合、琉球古代に言及されている箇所を探るのが中心でして泥縄式の読み解きです(汗)。ただ訳書の原題が「日韓正宗溯原」ということでも分かるように、日露戦争中の鴨緑江でこの古伝に出会ったという軍人・浜名氏の訳著ですので「日韓同祖」「日韓同裔」と情熱を注いだ氏の時代感覚のまま受け取るのは少し危険かなと私などは思っています。
Commented by ヒロ at 2017-10-29 10:19 x
utoutou様

ヒロです。お返事有難う御座います。私は、宮地神仙道に全てを懸けて渡世しております。神々の真実、神話の真実を、お教え頂ける限りの全てを知りたく思っております。どうして貴方様はそんなに凄いのですか。何を検索しても貴方様のサイトに辿り着きます。コメント欄では足りない程お聞きしたいことがあります。私の名前をお見知りおき頂く事をお願いするまでもなく、度々訪問させて頂きたく思っております。何卒末永くお願い致します。
Commented by utoutou at 2017-11-01 12:21
> ヒロさん
返信がすっかり遅くなってしまい申し訳ありませんm(_ _)m
こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。
Commented by ヒロです。 at 2017-11-14 15:05 x
utoutou様

ヒロです。お世話になってります。今回も宜しくお願い致します。

私は、八幡大神の産子、氏子ですが、応神天皇以前の大元の八幡大神に関してご意見をお聞かせ下さいます様お願い致します。

また、我宮地神仙道五大神仙中、筆頭の大神仙、少名彦那大神に関して、小椋一葉さんはニギハヤヒ大神と御同神説を唱えておられます。この件に関しましても、ご意見をお聞かせ頂きたく何卒宜しくお願い致します。
Commented by utoutou at 2017-11-17 09:47
> ヒロさん
こんにちは。宇佐氏の古伝によれば、古代日本において崇めた神魂・高御魂・生魂など八神を選び、そこに古代中国の八卦・八象を配当して八幡神としたということですね。(宇佐公康著『古伝が語る古代史』)それが宮中八神の元になっているとも。
スクナヒコナノ神については、神仙道や小椋一葉さんのお説を詳しく知らないので、単なる私見になりますが、スクナヒコナ神とニギハヤヒとは系譜が違うのではないでしょうか。ニギハヤヒは『先代旧事本紀』国造本紀に天降りの随神一行がリストアップされていて、おおむね物部系と分かります。いっぽう、スクナヒコ神は鴨族の先祖とされています。なので神像が重なることはないと思いますが、いかがでしょうか?
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