六甲山と瀬織津姫 115 琉球の玉

初めての帰化人で新羅の王子と言われるアメノヒボコ
(天之日槍、天之日矛)の持参した「八種の神宝」は、
4種の比礼(布)だけでなく、2種の玉も2種の鏡も、
八種の神宝のすべては、航海のための器具と考えられると、
茂在寅男氏はその著書『古代の航海術』で述べている。

那覇で会った語り部も同じ意見だった。
「波風を鎮める呪具でありツールだったのでしょうね」

が、「ただし…」と、すぐに話は意外な展開になった。
「神宝が天之日槍の持参したものとは思えないのです」
「それは、どういうことですか?」
「持参したのではなく、授けられたのではないかと…」
「誰から、ですか?」
「猿田彦からだと思います」

猿田彦…なるほど、そういうことになるのか。
猿田彦の神像は、このところ語り部のなかでは絶大らしく、
スサノオや豊玉彦と同様に大きな海神なのだと度々言う。
もしかすると、スサノオの異名なのかもしれないとも…。

つい先日、因幡の白兎神は猿田彦のことだと言っていたし、
そもそも「猿田彦はアマミキヨであり元津神」というのが、
語り部のかねてからの見立てだ。
アメノヒボコとの接点も史書では語られることはないが、
語り部の霊視によれば、その関係はかなり密接らしい。

「ところで…」と、私は話の方向を少し変えた。

「アメノヒボコの神話に、赤い玉というのが出てくるんです。
新羅の国のアグ沼で、昼寝をする女の人が、下腹部に日光が
差し込んだことで身籠り、赤い玉を産みます。
この玉を授かったアメノヒボコは、やがて玉から生まれた
女の子を娶るのですが、その妻は夫・ヒボコの我儘に憤慨
して倭国へ帰ってしまう。この妻の名前がアカル姫で…」

『古事記』では、天之日矛の妻になる阿加流比売神。
『日本書紀』では、意富加羅国王の子・都怒我阿羅斯等
(ツヌガアラシト)が童女を追いかけて日本に来るが、
その童女がアカル姫とも読み取ることができる。

私は、長く抱いていた仮説を聞いてもらうことにした。
「アカル姫が帰った先の倭国とは、琉球ではないかと。
アカル姫は、久高島のアカララキと関係がありますか?」

アカララキは、西海岸の「君の港(チミントゥマイ)」に
王府時代からある御嶽。その聖地に滞留しているのは、
アラハバキ(瀬織津姫)とも、読み解いてきたのだった。

アカララキとは「暁の太陽の御嶽」という意味だが、
アカル姫も、暁の太陽を表す赤いメノウの化身。
共通する「アカ」に秘められた符号がありそうに感じる。

沈黙を置いて、語り部がおもむろに口を開いた。
「はい、アカララキはアカル姫の御嶽だと思います。
そして、その赤い玉とは、琉球の玉」
「琉球の玉! あの六甲山に隠された宝珠のことですか?」
「はい」

1年数ヶ月に渡る謎解きも、とうとう最終コーナーか?


翌日、東シナ海を見ようという気になり、本島北部
の国頭郡にある御嶽・備瀬のワルミへ行ってみた。
観光客が大勢いたため頭上しか撮らなかったが、絶景。
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砂浜に出て大岩を見ると、それは如意輪観音の横顔のよう。
思えば、如意輪観音ご開帳の六甲山・神呪寺へも行った。
空海が真井御前をモデルに彫った秘仏・如意輪観音像に隠した
珠とは、浦の島子が持ち帰った「龍宮の玉」だと言われる。
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砂浜にあった2艘のカヌーに古代人の航海を思った。
東シナ海の黒潮に乗り朝鮮半島や大陸との間を往還した。
琉球産宝貝などの交易は、縄文時代から行われていた。
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by utoutou | 2017-06-30 13:49 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2017-07-05 20:40 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by utoutou at 2017-07-06 10:39
> シャーマニコさん
こんにちは。コメントをありがとうございます。琵琶湖周辺の神社、いつかじっくり廻って見たいですね。以前の記事に書きましたが、白髭神社と日牟禮八幡宮には詣でたことがあります。どちらも大きな磐座に社殿があって古い…つまり、本来は瀬織津姫と関連がありそうですね。伊勢志摩の地主神は猿田彦神と瀬織津姫の一対神ですが、こちら近江でも実は同様なのではないでしょうか。というか、礒崎神社には既に二神がお祀りされているのですよね。
昨日のブログに書いたアカル姫は瀬織津姫と、(琉球の)太陽神・東方大主は猿田彦神と同神だと感じています。古代豪族の和邇氏と関連する土地柄だろうというところも、沖縄と滋賀は似ていますね。
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