六甲山と瀬織津姫 130 角のある人の世

 秋風が吹いてきたが、6月に行った沖縄旅の続きを…。
旅の締めは久高島の御嶽・アカララキへ。島の南西に
 ある漁港の傍、アカラムイ、アカラダキとも呼ばれる。
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この御嶽は「久高島で最古」と、いまのところ言われる
久高第二貝塚(5000年前)の小山の上に立地している。
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「いまのところ最古」と思わせるのは、龍宮の存在だ。
琉球の超古代人はガマ(洞穴)に住んでいたらしく、
考古学的にも「洞人」と呼ばれる。あの古代人たちの
人骨はみな、琉球石灰岩台地の洞穴内から発掘された。

27000年前の竿根田原洞人(石垣市)、
23000年前のサキタリ洞人(南城市)、
そして、32000年前の山下洞人(那覇市)。

22000年前の港川人(南城市)は「洞人」ではないが、
発掘場所が粟石(貝殻の欠片などが固まってできた石)
の採石場だったということで、元は洞穴だった可能性も。

人々は珊瑚礁石灰岩でできた洞穴に定住し、死して
被葬された後も、地質の侵食作用により風化を免れた。
久高島にある龍宮がまさに竜宮城だったなら、未だ
人知れず眠り続ける王族、いや龍神がいるかもしれない。

語り部は、私が龍宮へ入って戻るごとに言った。
 龍神は奥にいる、眠っている、やがて起きるだろうと。



アカララキに生えるアザカの葉。十字に対生する姿は、
万物を創造する「火・水・土・風」の四元素を表している。
日(ひ)と霊(ひ)を崇める「火の一族」の象徴。
  イザイホーで就任した神女は、髪にこの葉を飾り舞った。 
 それは「ヤマトでいう猿田彦神への信仰」と、語り部。 
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ヤマトの各地で、猿田彦は様々な神名で呼ばれている
と考えている。八街の神、綿津見神、佐田大神、
塩土老翁、稲荷神、倉稲魂、大己貴神、興玉神、
久那斗神、白髭明神、事代主神、穂高見神。蛭子神も?

では、琉球の伝承ではどのように称された神なのか…
という素朴な疑問を、神の島から紐解いてみよう。
島の三元家のうち、久高家の始祖とも伝わる、
アナゴノシー・アナゴノファーなる夫婦(兄妹)神。

琉球王国地誌『琉球国旧記』(1731年)では、
「中森嶽」の項に、阿名呉之子・阿名呉之姥と記される。
以下、原田禹雄・訳注『訳注 琉球国旧記』より要約。

・昔、阿名呉之子が久高島に住んだ。ある日、伊敷浜で、
 白い壺が波間に浮かぶのを見たが、掴まえられなかった。
・帰ると女房が「体を清め白い衣を着ればよい」と言った。
・やがて掴まえられた壺には7つの種子(麦・粟・稲・クバ
 インゲン・アザカ・シキョ※ススキの古名)が入っていた。
・種子を蒔くと繁茂して君真物も出現、この地で遊ばれた。
・霊験あらたかなここに壺を埋め、土を盛り御嶽を造った。

中森嶽とは中の御嶽・中森の御嶽のこと。(記事は
語り部が、龍神の眠る龍宮の中心と視た場所である。

そのくだりに、腑に落ちない箇所が一点ある。
伊敷浜に流れ着いた壺を拾って埋めると五穀が実った…
という始祖伝承は、久高島三元家それぞれにあるが、
水の乏しい久高島では稲は育たない。ゆえに五穀発祥の地
とされたわけだが、白い壺に稲が入っていたのは何故か?

聞くと、語り部は言った。
「アナゴノシー・アナゴノファーは、琉球稲作発祥の地
・玉城から行った始祖だと示しているのだと思います」
「つまり、アマミキヨ直系のミントン家から…?
すると、シラタル・ファガナシーの先祖神だと…?」
「天地(あめつち)の大神様の末裔だと思います」
「天孫氏王朝に伝わる代々の神というわけですか…」

さらに語り部曰く、アナゴとは穴子(穴師)であり、
 稲子を携えて渡来したことを表しているという。
稲ならば、龍宮の珠が白いのも頷けるというものだ。

アナゴノシー・アナゴノファー(猿田彦と妃神)は、
天地の大王様(天王ガナシー、スサノオ)の子神…。

「それって、どれぐらい昔の話なんですか?」
「少なくとも洞人の時代=サーカ世(猿の世)より古い
チヌヌミ世(角のある人の世)だと思います」
「すると、3万年前よりももっと古代…」


ミントングスクで復元されたアマミキヨ面。
思えば、スサノオも猿田彦も角のある形相の神である。
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by utoutou | 2017-09-09 16:21 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ryoui at 2017-09-11 10:54 x
大変興味深く拝読しております。神様の繋がりや、歴史など好奇心が高まります。久高島いいところですね。
Commented by utoutou at 2017-09-12 09:58
> ryouiさん
コメントありがとうございます。久高島、よいところですね〜。土地は共有なので島人の総意がなくては新しい施設は建てられず、そのためか御嶽のエネルギーは古来ほとんど変わらないのだと思います。神々の原郷だといつも感じます。
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