為那都比古神社(いなつひこ神社、箕面市石丸)。 平安時代にできた『延喜式神名帳』(927年)に 見える古社「為那都比古神社二座」のこととされる。 鎌倉時代の1259年当時、比売神を祀る神社が 「西天王」と呼ばれ、現在の白島3丁目にあった。 『北摂の歴史』(郷土出版社)によれば、 〜 同社は別殿に分かれていたが、明治期の神社合併 で比売神が合祀されて現在のかたちになった。 〜 『摂津誌』(1735年)の為那都比古神社の条にも、 〜白島村にあり。今天王と称す。萱野十村 敬畏して祭りを修す〜 と記されている。 そんな変遷を辿った為那都比古神社 ↓ の現在。 主祭神 為那都比古大神、為那都比売大神 合祀 天照皇大神、大山咋神、木花咲耶姫、 天児屋根命 、火之迦具土神、菅原道眞公 ※写真は「トリップアドバイザー」サイトより拝借。 社号碑に刻まれた由来に、「為那国」の名が見える。 〜当神社は摂津国の古社で、1700 年以前にあった 部族国家「為那国」の中心地で為那国を統括した 為那部族の守護神として祀られたと伝承され(中略) 通称、萱野の大宮として著名である。明治40年、 旧萱野村十ヶ村の産土神十社が当神社に合祀さる 昭和50年10月 為那都比古神社 〜 昭和50年には、「御鎮座地」が白島だったと分かる。 「為那国」「部族国家」…。この由緒書には、何やら 邪馬台国や倭国大乱の時代を物語る重要な鍵が 隠されているような気がするのは、私だけだろうか。 また、「為那氏族」とは何者かも気になるところだが、 〜 寺後に巨岩あり、名づけて医王岩という 〜 江戸時代の『摂津名所図会』(1735年)にも記載が。 〜 自然石なり、高さ13丈ばかり、またの名 薬師岩 ともいう(中略)大己貴、少彦名の二神 生ます〜 ともあれ、語り部が視た御嶽の配置はほぼ正解だった。 神社が創祀される前、為那部の一族は巨岩の御嶽 を祭祀場として、その祖神を崇めていたのだったか。 始祖の神像は、次の2通りが考えられそうだ。 (1)語り部が視た「いなべ族」の移動先・三重県員弁郡 にも書いた、伊香我色男命(いかがしこおのみこと)。 (2)『先代旧事本紀』の国造本紀に見える、 「為那部等の祖・天津赤占(あまつあかうら)」。 いずれにしても物部氏、饒速日命の裔もしくは供奉衆だ。 さて、後回しになった問題。為那部族が統一支配した らしい為那国とは、いったいどこにあったクニなのか。 こちらは、故鳥越憲三郎氏(大阪教育大学教授)編纂 による報告書『勝部遺跡』(豊中市教育委員会)に掲載 の「為那国の遺跡」と題した地図だが、つまり氏はこの 範囲が為那国であるという説に立っている。東の千里 丘陵(大阪府)と西の猪名川(兵庫県)の間の地域だ。 これまで、 為那都比古神社、箕面川、猪名川など、箕面の各所には、 この国の古代秘史が埋もれているかと注目してきたが、 改めてそれらと大和王権との関連を思わずにいられない。 地図下部の「神崎」。おそらくここは3〜5世紀 ころの海岸線であり、神功皇后ゆかりの港湾でもある。 『摂津国風土記』逸文に、次の記述があった。(要約) ☆神功皇后が新羅征伐に出発するにあたり、神前松浦 (現・尼崎の神崎か豊中)で戦勝を祈願した。 ☆すると猪名川上流・能勢の美奴売(みぬめ)山 (現・豊能郡三草山)の杉で船を造れば戦勝するに 違いないという神託があった。 ☆戦勝した帰途、岬の沖で船が動かなくなったので、 美奴売神を祀った。 この女神こそは、水神・弥都波能売神(瀬織津姫)。 祀った神社は↓現在の敏馬神社(神戸市灘区)である。 今年の1月に参拝したが、そこはもう六甲山麓。 地図に再び目を転じると、神崎と箕面とは千里川で 繋がっており、上流の丘陵(箕面市)から銅鐸が出た。 あの医王岩に至近の場所から。その名は如意谷という。 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 【お話し会のお知らせ】 7/25は、当ブログ開設5周年にあたります。 日頃のご愛顧に感謝して、語り部さんとブログ主 である私・utoutouによるお話し会を催します。 参加ご希望の方はコメント欄(仮名可)でお申込みを。 □日時 7/27(金)18:00〜20:00 □場所 沖縄県南城市玉城・天空の茶屋 □20名さま限定 □2500円(お食事・フリードリンク付き) よろしくお願いいたします。
by utoutou
| 2018-07-23 19:40
| 瀬織津姫
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Comments(15)
追跡アマミキヨ
いつもブログを拝見し、楽しみに読んでいます。
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追跡アマミキヨ
いつもブログを拝見し、楽しみに読んでいます。
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Spica
at 2018-07-23 18:47
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utoutou at 2018-07-23 19:43
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utoutou at 2018-07-23 20:18
> Spicaさん
ご参加、かしこまりました。 天空の茶屋へは、車ならば県道331号を南下して南城市福祉センターを目指してください。 天空の茶屋(Tel.07054810907)までご連絡ください。駐車場までご案内します。 バスならば沖縄バス39番・百名線「新原ビーチ」で下車。お電話ください。徒歩10分です。 お会いすること楽しみにしております♡
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Spica
at 2018-07-23 20:43
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at 2018-07-23 21:29
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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oshi
at 2018-07-24 02:11
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utoutou at 2018-07-24 07:51
> oshiさん
ご参加、かしこまりました。 天空の茶屋 沖縄県南城市玉城百名1243-2 Tel 070-5481-0907 http://ten.hamabenochaya.com 浜辺の茶屋などは海側の道路脇に駐車場がありますが、天空の茶屋へは国道331号から海方向にお進みください。駐車場については電話でご確認ください。お気をつけてお越しくださいね。
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utoutou at 2018-07-24 07:54
> Spicaさん
追伸です。天空の茶屋の住所とURLも載せておきますね。 天空の茶屋 沖縄県南城市玉城百名1243-2 Tel 070-5481-0907 http://ten.hamabenochaya.com
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junnatsu123
at 2018-07-28 01:01
行きたかったです、、、今 気がつきました
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utoutou at 2018-07-28 10:38
> junnatsu123さん
こんにちは。お話し会のお知らせが直前になってしまい申し訳ありませんでした。もし次回あれば、今度は早めに致しますね。よろしくお願いします。
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utoutou at 2018-08-07 10:26
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komakame
at 2018-08-28 09:50
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いつも楽しみに読ませていただいています。
京都府に住んでいるので、ご掲載の熊野や丹後、最近はこの8月に箕面大滝、19日には医王岩に行ってきました。 迷いながらでしたが、猛暑の中、セミの声がにぎやかでした。
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utoutou at 2018-08-31 15:09
> komakameさん
こんにちは。私は4日に箕面へ行き、タクシーに乗って聞いたところ、運転手さんは医王岩をご存じなかったので諦め、次の予定に移りました。歩いて行ける余裕があればよかったのですが、残念^^; きょうブログにもちょっと書きましたが、猪名川源流へ行くには時間がかかりますね。いまの行政区を度外視すれば、その山の先はもう丹後。為那国の広大さが偲ばれます。同時に、その国はおそらく丹後と重なるのだろうとも。私が行った日も箕面はセミが賑やかでした。伝承ある土地を訪ねる旅は楽しいですね。
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