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六甲山と瀬織津姫 107 八上姫の恋

「八上姫というのは、誰の娘ですか?」
鳥取で神社巡りをした日、語り部が電話で聞いた。
八上姫を祀る売沼(めぬま)神社(鳥取市河原町)
にも参拝することは、あらかじめ伝えていた。

誰の娘と聞かれても…と返答に困ったが、言った。
「それは謎のままらしいですよ。豪族の娘に違いないと
思いますけど。もしや八上姫のお父さんは因幡の白兎?」

なかば口から出まかせだったが、考えられなくはない。
神話『因幡の素兎(しろうさぎ)』で、大国主命と八上姫
 の結婚を予言したのは、大国主命に助けられた因幡の白兎。
「あなたは八上姫と結婚することになるだろう」という
予言通り、大国主命は八十姫を娶ったのだから、
白兎は予言者か、八上姫の父神か、どちらかの化身だ。

そして前回の「猿田彦の導き」で、因幡の数ヶ所に
 祀られる白兎大明神とは猿田彦命のことだろうと書いた。

いま、語り部は言う。
「白兎に隠れている神は、猿田彦だと思っていました。
沖縄ミントングスクの神面に残るアマミキヨ、そして、
伊勢神宮でも秘祭される興玉神と神像が重なっている」
(「ダビデの神面」「伊勢に沈む古代」に記事あり)



八上姫命を祀る売沼神社
(めぬまじんじゃ、鳥取市河原町曳田)
日本海から遡った千代川の支流・曳田川の北岸に鎮座。
「売沼」は本来は「比売沼」で「比」が脱字したものという。
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創祀年代は不詳。小高い丘になった境内のすぐ下を
曳田川がなだらかに蛇行する様子は、古代を思わせて優美。
川とほぼ平行して建つ売沼神社・本殿は、東面している。 
伊勢の興玉神こと猿田彦とは、東から昇り来る太陽神だった。
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境内にあった由緒書によれば…(以下要約)。

賣沼神社 祭神 八上姫命
☆延喜式神名帳にある式内社である。
☆中世は「西日天王」と呼んだが、元禄より現在の社名。
☆「古事記」の伝えでは、八上姫は白兎の仲介で、
その難を救った大国主神と結婚した。
☆この神話伝説は、漂着した外地の舟人たちが先代川
を遡り、まずこの曳田郷を拓いたことを物語る。
☆対岸山麓の前方後円墳を神跡としている。
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曳田川の対岸・梁瀬山(283m)に嶽古墳(だけこふん)
がある。全長50m、直径は後円部25.8m、前方部24.2m。
5世紀後半から6世紀前半の造営。八上姫の墓と言われるが、
造営年代から一族の末裔の墓とも。ただし石室などは未調査。
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売沼神社、嶽古墳と一帯となった八上姫公園には、
大国主命との恋物語を刻んだ一連の石碑があり、
公園内を歩きながら楽しめるようになっている。
曰く、八上姫は「日本で一番最初の恋物語のヒロイン」
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ところで、大国主命と結ばれた八上姫命は子どもを生む
が、『古事記』はその結末を多くは語らない。  
〜八上姫は自分の生んだ子を連れて出雲に来たが、
正妻の須勢理姫を怖れて、子を木の俣に差し込んだまま
 にして因幡に帰ったので、その子を木俣神(きまたのかみ)、
また、御井神(みいのかみ)という。〜

「木俣神という神名も、猿田彦の亦の名である
八街の神(やちまたのかみ)を思わせますね」
と語り部。確かに、その暗示とも受け取ることができる。
















by utoutou | 2017-05-13 13:05 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(0)
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