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六甲山と瀬織津姫 108 八上姫の里

大国主命妃となった八上姫を祀る売沼(めぬま)神社
(鳥取市河原町曳田)に、謎めいたことが二つあった。
まず、その呼称。社頭の由緒書きにもあったように、
中世まで、「西日天王(にしびのてんのう)」と呼ばれた
というが、詳しいことは明らかになっていない。



もうひとつの謎というか、その余韻が長引いたのは、
曳田川の土手ぎりぎりの場所に鎮座するこちらの摂社。
赤く塗られていたらしいので稲荷神社か。はたまた、
曳田川は古来、頻繁に起こる水害で暴れ川と恐れられた
千代川の支流だけに、川の氾濫をなだめる治水の女神か。
あるいは、この小祠から遥拝する聖地があるのだろうか。
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こちらの小祠からは、霊石山を遥拝するのでは? と思ったのは、
隣接する八上姫公園にあった石碑の絵柄を思い出してからだ。
その中央には日本海へと注ぐ千代川が、また右(東)から
合流する私都川(きさいちがわ)が描かれているようだ。
八上姫の傍を流れているのが、曳田川のように思われる。
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天照大神を猿田彦が道案内したという神話が残る
霊石山は、八上姫と同じく往古の八上郡(やがみのこおり)
の象徴として、土地の人々の崇敬を受けていたのだろう。



売沼神社から3㎞北に立つ河原城(別名・若鮎城)は、
千代川を挟んだ西、鳥取市河原町に平成6年に「築城」された。
ふるさと創世事業によって、町の情報発信の拠点として完成。
元々は、豊臣秀吉が因幡平定の際に陣を築いた場所という。
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河原城(全高24m)の天守閣から見る霊石山
と、その南麓に広がる八上郡(現・八頭郡八頭町)。私は
 登城の余裕なく、写真は鳥取市公式ウェブサイトより拝借。
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霊石山に連なる中山の展望台から八頭郡の平野を見下ろす。
写真には写らないが、立ち位置の右方向に霊石山、河原城。
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展望台からの見た目通りの地図なので、南北が逆だが、
白い平野部分が古代の因幡国の中心・八頭郡八頭町。
「白兎伝説の里 八頭町 ゆかりの地」が図示されている。
白兎伝説ゆかりの地は白兎海岸だけではなかったらしい。
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Googleの航空写真に、
「白兎伝説ゆかりの地」の主だった寺社を記してみると、
霊石山一帯の山麓(写真下部)に集中しているのが分かる。
赤いピンを置いたのが霊石山(現・鳥取市)。
その右下の黄丸が中山展望台(八頭町)。
左下のピンク丸が河原城。
赤丸が、右から成田山青龍寺、池田神社。上下にふたつある
のが、土師百井廃寺跡、土師百井神社。左が売沼神社。
日本海岸沿いの赤丸が有名な白兎神社。右端が鳥取砂丘。
ちなみに青丸は、万代寺遺跡(八頭郡八頭町万代寺)。
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八上郡に点在する「白兎伝説ゆかりの地」を繋げると、
「夏至・冬至ライン」になると発見したのは、大江幸久氏。
その著書『天照大神・瀬織津姫の因幡行幸--ホツマで解く
  八上姫・白兎神話の真相』では、そればかりか、鳥取県を
    瀬織津姫を祀る神社が「密度では全国一」とも記している。  
(実数での最多は岩手県、2番目は静岡県という)

語り部が先日言ったように白兎明神が猿田彦神ならば、
伊勢・伊雑宮の奥宮・天岩戸に併祀されていたように、
瀬織津姫が、この地にも祀られているのは不思議ではない。

さて、上の航空写真地図に青丸で記した万代寺遺跡
(八上郡の古代役所跡)や、土師百井廃寺跡のある
旧・八上郡土師郷を「八上姫の郷」と指摘したのは石破洋氏。
    著書『イナバノシロウサギの総合研究』で、概略こう記した。   

〜(因幡の中央に住んだ)白兎は因幡の国の神であった。
因幡国を代表する八上姫も同じ所に住んでいたと考える
のが、神話的な思想であろう〜

すると、その因幡の中心地から見て、売沼神社は
冬至の太陽が沈む方向。まさに「西日大王」に相応しい。

古の沖縄では、朝日を東大主(あがり・うふぬし)、
沈む夕陽を西大主(いり・ぬ・うふぬし)として崇めた。
八上郡には琉球に似た太陽(朝日夕陽)信仰が感じられる。

by utoutou | 2017-05-18 15:20 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(1)
Commented at 2017-05-20 07:35
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