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斎場御嶽と古代の風葬墓

何げなく撮った写真から思わぬ発見をすることがある。
ことに旅先では…。斎場御嶽(せーふぁうたき)に着く少し前に、
レンタカーを停めて撮ったのは、南城市佐敷に立つ風力発電の風車。
通称・刑務所通り(自衛隊分屯地もある)で、運転席からパシャリ。
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その後ふと、語り部の宮里聡さんに聞いた話を思い出した。
「昔は斎場御嶽の寄満(ゆいんち)から、ナーワンダーグスク
という御嶽に登ったそうです。そのための道もあったと」。

写真の刑務所通りはやがて海方向(右)へ緩く下り、
観光名所・ニライカナイ橋に繫がるが、
元々は山の尾根を走る一本道で、
斎場御嶽のある知念半島丘陵の一帯へと伸びていた。
ナーワンダーグスクは、風車の先に見えたその丘陵にある。

ナーワンダーとは、「守護神の霊力(しじ)」。
グスクにはイキガ(男)ナーワンダーと
イナグ(女)ナーワンダーが並び、
それぞれの性器を象徴する巨岩があるという。
琉球はじまりの地の祖神が眠る古代の風葬墓だが、
地元でも知る人はそう多くない。



斎場御嶽に到着。
最近、駐車場が近隣に移動、ここは関係車両のみが利用。
赤い屋根の「緑の館」を通過して、右方向へと進む。
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斎場御嶽の入場料は200円。ガイド料は350円とか。格安。
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順路で最初に訪れる拝所は、こちら大庫理(うふぐーい)。
聞得大君の就任式「お新下り」(おあらおり)の主祭場となった。
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お新下りでは、知念や久高島のノロたちが祈願。
霊威を得て神女となった大君は、
御待御殿で神と共寝して夜を過ごしたという。
イラストは「『お新下りの祭祀と道程をたずねる」
(平成21年、南城市教育委員会・文化課)より拝借。
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こちら寄満(ゆいんち)や三庫理(さんぐーい)でも、
大庫理と同様に祈願をしたという。
寄満とは「豊穣と貢物の寄り集まる所」。
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帰り際、緑の館で斎場御嶽平面図のコピーをいただいた。
これを見ると、大庫理(中央の赤丸)と
寄満(左の赤丸)が山の表裏一体となっており、
その背後(北西方向矢印)に、急峻な山がある。
寄満からの道も描かれていることから、
そこがナーワンダーグスクだと推測される。
※下の青丸は御門口(うじょーぐち)、中央の青丸は順路の分岐点。
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大庫理を主祭場とした「お新下り」で、聞得大君は、
祖神の霊力(ナーワンダー=なでるわ)を受け取り、
「おなり神」として再生した。
その神観念と様式は久高島のイザイホーと同じだ。

東京に戻って数日後、同じ地形が、折よく国土地理院
からダウンロード可能になった「3D地図」でも確認できた。
双子の鏡餅のように姿のいい山。
ナーワンダーグスクはその頂きの大岩にある。

by utoutou | 2015-08-23 11:40 | 斎場御嶽 | Trackback | Comments(2)

斎場御嶽 魂の再生を願う勾玉

沖縄最高の聖地・斎場御嶽(せーふぁうたき)の景観といえばコレ。
三庫理(さんぐーい)の巨大鐘乳石でできた三角空間。しかし、先日
も人が途切れず、無人のシャッターチャンスはなかなか訪れなかった。
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昨年のGWに3000人以上/日と、斎場御嶽は最高の入場者数を記録。
年間40数万人、世界遺産となった'00年以前に比べると10倍以上。
南城市では「男子禁制を検討中」というが、その是非はさておき…。

私などは、聞得大君の石香炉(右の大岩=チョウノハナの下に並ぶ)
の保全もちょっと甘いんではないかなあと、ハラハラして見ている。

事態は必然と言えば必然で、三庫理(庫理は「神の座」との意味とか)
の東(左)、久高島遥拝所に立つ人溜まりの最後尾についた人が、
それが石香炉とは知らずに、後ずさりした勢いでつい乗ってしまう。
案内板に気づいてギョッとしても、それは後の祭りというやつで…。
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三庫理内から出土した金製の勾玉が、調査の結果、お金や中国製の
青磁器とともに国の重要文化財に指定されたのは'01年のこと。当時、
知念村と県は「聖地を清める儀式のために埋められたものではないか」
と見解を示したが、伝承によれば勾玉はこの地が王家の葬所である証し。
勾玉は、魂の永遠と再生を願い、埋葬と同時に納められたものだと…。
                   (写真は文化庁HPより借用)
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聞得大君の石香炉の前からチョウノハナの頂上を見上げた。
古来そこに神木クバが立ち、葉を伝った雨粒が真っ直ぐに落ちたという。
クバは男根(生命の根源)に例えられた。また三庫理の内部は子宮に。
イビヌメー(威部の前)から出た勾玉は、輝かしい胎児を連想させる。

思えば琉球王府の神紋は、勾玉がぐるりと連なった左巴紋。
その巴紋は、一説には、蛇がトグロを巻く姿から生まれたという。
蛇は古代ギリシャで、エジプトで、またインドで、神のシンボルだった。
琉球の竜神信仰は、アマミキヨがオリエント由来であると暗示している。
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by utoutou | 2015-08-23 11:20 | 斎場御嶽 | Trackback | Comments(6)