六甲山と瀬織津姫 150 天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊〈2〉

饒速日命が天降りたという磐船神社の天の磐船石。
その写真を初めて見たときから、何かの姿に似ている
と感じていた。真正面からは船というより丸い小山の
ように見える巨大な磐座を、饒速日命の末裔たちはなぜ
 御神体として、古代から連綿と崇め続けてきたのか…。

何はともあれ、天の磐船石の奥に広がる岩窟に入った。

社務所でサインした申込書には、コースを巡る時間の目安
として自己申告する二択(30分、45分)のチェック枠
があったので前者に入れたが、同行してくれた神社の若い
人に聞くと「6分あれば廻れます」と言った。速い…。
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石窟巡り中の写真撮影は禁止のため、社務所にて配布
している「コース解説」プリントで振り返る。
(※実際の写真一覧はA4サイズ紙だが、5分割した)。


左から ①天の磐船石 ②岩窟入口 ③第一の橋。
川を渡った先は登りか下りか見当がつかず、ひるむ。
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左から ④押上岩 ⑤岩の下へ入る ⑥見えない滝。
岩と岩の間を潜るか岩を登るかは矢印で示されるが、
その先は真っ暗闇で、見えないことへの恐怖を感じる。
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左から ⑦生まれ変わりの穴へ ⑧足から降りる
⑨空の見える場所。⑧がコースの最難関箇所のようだった。
狭所恐怖症の人は、ここでリタイアしてしまうらしい。
私は頭から入ろうとして、「足から!!」と一喝されたが、
足場なく深さも分からない。運を天に任せて滑り落ちる。
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左から ⑩崖を登る 龍神様の祠
参道より岩窟を覗く。この解説書があるのを知らず、
コースを予習しなかった私は、⑪の暗さに打ちのめされ、
初めてこの挑戦を後悔したが、実は出口直前だった。
もっとも深い闇を経て見た光は、まさに太陽神だ。
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天の岩戸 大岩大神(同祖神)白福大神(々)。
岩窟を廻り、登り詰め、光に映える磐座と対面した。
長く感じられた所要時間は、時計では10分だった。
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同行の若い人と別れて、「天の岩戸」をゆっくり拝観。
天の磐船石の上部に位置しているらしく、参拝客の声
が聞こえるが、岩窟を通らなければここへは来られない。
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天の岩戸、大岩大神などを順拝して、社務所の方向へ
歩いてこの神像に出会い、「そうだったのか!」と納得。
一対の龍神が、修行の終了を祝すように鎮座している。
饒速日命(天照大神)と瀬織津姫=龍蛇族のヒコヒメだ。
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ここでようやく、あの天の磐船石が何の形に似ているか
について気づかされた。それは、とぐろを巻いた蛇神…。
吉野裕子氏が『蛇』で「鏡餅の原型」と記したその形だ。

どうやら、岩窟の小さな「穴を潜り抜ける」ことは、
「蛇の脱皮」を疑似体験して蛇神に近づく行為だったか。
岩を縫って進む動作も、蛇(イラブー)の生態に近い。

沖縄久高島のイザイホーで歌われる神歌(てぃるる)
には、「てぃりないぬ」という言葉が出てくるが、
それは久高島の方言で「再生の」という意味。
本島では、蛇が脱皮するように生まれ変わることを
「すでなりの」と言う(※記事はこちらに)。


古の琉球では、祭りを神と人が一体となることを、
神遊び(かみあしびー)と呼んだが、この地に渡来した
肩野物部の一族も、こうして龍蛇神を崇め、龍蛇族への
加入儀礼に替えて磐座群を祀ったのではなかったか…。


帰りに社務所で、「修行終了」の御札を頂戴した。
透明な袋入りのまま、壁や柱に貼ってもよいそうだ。
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御札に添えられたプリントに、次の説明があった。
〜 磐座神社の岩窟はご神体天の磐船の磐座に連なる
無数の巨石群が天野川を覆い尽くし、その隙間を
行場として人々が修行を修めてきた場所で、古く平安
時代以来、修行道生駒北嶺の霊場とされ…(後略)〜

饒速日命の天の磐船と、命の供奉衆たちを祀る聖地が、
  ここ河内国河上の哮ヶ峯(いかるがのみね)だった。  

それにしてもなぜ、ここを「イカルガ」と呼ぶのか。
少し前、語り部は謎めいたことを言ったものだ。
琉球のセーナナー(海人七氏族)はイカルガへ行った」

気づいて、すかさず、語り部に電話を入れた。
「饒速日命の天磐船は、セーナナーのことですか?」
「そうなりますね」
  そうだったのか…。
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# by utoutou | 2017-12-18 04:28 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(0)