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琉球玉依姫〈36〉朱の女王・卑弥呼

邪馬台国はどこか? という『魏志倭人伝』の研究は、
「距離」と「行程」からのアプローチが多いが、
沖縄の伝承から、熊本にあったと仮定するなら、
「朱」からも紐解けるかもしれないと、ふと思う。

卑弥呼が「朱の女王」だったことは、外でもない
『魏志倭人伝』から窺える。赤色顔料(丹・朱・辰砂)
に関する記述は、4ヶ所あった(詳細は後ほど)。

石毛勲・著『朱の考古学』によれば、「卑弥呼は
辰砂を掌中に収めていた」。女王国は「朱の王国」
だったわけで、火の国・熊本に邪馬台国があった
可能性は大いにある。世界最大級カルデラが生んだ
阿蘇黄土(あそおうど、リモナイト)を焼いて作った
ベンガラは、弥生時代から赤色顔料として使われた。

 内部がそのベンガラで赤く塗られた石棺のある古墳に
 行ったことがある。正しくはその公園に、立ち寄った
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3年前の阿蘇山ドライブの帰り、友人が案内してくれた
熊本空港に近い木山城址公園(熊本県益城郡寺迫)。

16年の熊本地震からの復興は途上だったが、城址の
 整備は済んでいた。ここに「城の本古墳」跡がある。

被災地だった益城は、布田川断層上に位置している。
その断層は阿蘇山まで続いており、そこに黄土は生成。
古墳内部を赤く塗ったのは、おそらく益城のベンガラ
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そう言えば、黒塚古墳(奈良県桜井市)へ行き、
過去ログ「卑弥呼女王」を書いたのは、5年前。
こちらの石棺の朱は、大和水銀鉱床の辰砂だった
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九州と大和とでは、同じベンガラでも原料が違う。
縄文時代より古代人は、神聖な色として崇める朱を
 探し当て、多様な方法で赤色顔料ベンガラを作った。

さて、冒頭に書いた『魏志倭人伝』で語られる赤色顔料
 について4ヶ所の記述。そこに丹・朱・辰砂が登場する
  が、阿蘇黄土についての言及はどうやら見当たらない。

くだんの石毛氏の魏志倭人伝の読み解きでも、あの
有名な「其山丹有」の丹は、中央構造線に沿って
分布する丹=辰砂、水銀朱だという。卑弥呼に
下賜された朱に「真珠(真朱のこと)」はあっても、
 献上したのは辰砂で、阿蘇黄土のベンガラではない。

こうしてあえなく邪馬台国・熊本説は消えていく…
と思ったら、なんとあったのである。阿蘇山の近く
 に辰砂の産地。ここが邪馬台国だった可能性がある。










# by utoutou | 2024-10-02 21:38 | 最終章 | Trackback | Comments(0)