古代の祭り・イザイホーには「新儀と古儀の要素が交錯している」
という新解釈を示したのは吉野裕子氏。 古儀とは「古代、蛇は神だった」という蛇信仰、新儀とは陰陽五行思想。 では、イザイホーの何をもって新儀・古儀とするのか。それは 『蒲葵と蛇と北斗七星と』(沖縄タイムスに寄稿、1979年)に詳しい。 以下にまとめてみる。 吉野氏が見た古儀=蛇(巳)神の祭り。 ・第1日目「夕神遊び」で、神女たちは1列縦隊で祭場の辰巳口 (東南)から走って神アシャギに入るのも、 七つ橋を7度も前進後退するのも、蛇の脱皮の擬き(もどき)。 ・第2日目「頭垂れ遊び」で、 神女たちが三重の輪をなして 円舞をするのはトグロを巻く蛇の擬き。 ・第3日目 「花さし遊び」 で、神女たちが髪にイザイ花を差し、 顔に「神女承認」の朱印を受けるとき、置いた酒(樽)は蛇の好物。 ・第4日目 「アリクヤーの綱引き」で、神女たちが東方拝礼した後、 神アシャギの前で綱を東西に伸ばし、 皆で綱を上下に激しくうねらせるのは神蛇の動きの擬き。 終了後、神女たちが並び、綱に敬虔な拝礼をするのも「神送り」。 縄は斎場の東の林中に放置されるが、これは本土の荒神祭りの後、 蛇縄が裏山の神木に解かれ、1年間放置されるのと同じ。 神様の使い・イラブー海蛇(乾燥) (NPO法人・久高島振興会 http://www.kudakajima.jp から借用)。 食堂「とくじん」では、イラブー汁御膳(2000円)が観光客に人気。 ![]() 久高島では、イザイホーの後に蛇神様の「神送り」をする。 吉野氏の説に立ってみると、ある神事との一致に気づかされる。 出雲である。出雲大社では、イザイホーと同じ日(子月卯日)に始まる 神在祭(かみありさい)で、蛇神様の「神迎え」をするのである。 『出雲大社』(千家尊統著、1968年、学生社)は、次のように記す。 この神在祭の祭事の期間中は、毎年風はげしく波も高い日が多いが、 このときに海蛇が波に乗って稲佐の浜辺に浮び寄りくることが多い。 世間ではこれを「竜蛇さま」と呼び、八百万の神たちが大社に参集 されるについて、竜蛇さまが大国主すなわちダイコクさまの使者として 大社まで来ているのだといって、その日、神人はあらかじめの潔斎をして 海辺に出て、その泳いでくる竜蛇さまを玉藻のうえに承ける。 こうして迎えた竜蛇さまを曲げ物に載せて注連縄をはり、 大社の神殿に納めるのが例となっている。(中略) 神社ではこれをお祀りし、豊作、豊漁あるいは火難よけ、家門繁栄 のしるしとして、信徒の人々はその御神縁をうけて帰る。 イラブーウナギを獲る魚夫(『南島雑話』より)。 久高島の海人(うみんちゅ)は奄美大島までイラブーウナギ漁に出た。 ![]() 古代の人々にとって、ウミヘビ=竜蛇神=太陽神。 イラブー小屋に祀られていたシラタルの存在は、そのことを物語る。 久高島のフボー御嶽(立ち入り禁止ゆえ入口の香炉で合掌)。 木肌が蛇に見立てられるフバ(蒲葵)は聖木、天皇の祭りでも重用される。 ![]()
by utoutou
| 2013-09-03 21:41
| イザイホー
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