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天王ガナシーことスサノオと「根の国」

日本神話のスサノオノミコト(素戔嗚尊)とは同名異神にして、古代天孫氏王朝の始祖
と伝わるスサノオ。亦の名は天地大神様(あめつちのおおかみさま)、そして天王ガナシー。

いわゆる縄文の男女神。ヤマト各地の古伝に見える男性神・天照大神と瀬織津姫は、
天王ガナシー・天妃ガナシーの神魂を受け継ぐ神だったと思われる。
(そうなると「ニギハヤヒの東遷」はここ沖縄を発したことになる…)

アマミキヨの渡来地と伝わるヤハラヅカサ(写真の中央左、海から頭を出した石)周辺(南城市)。
古伝では、天王ガナシーが天鶏船(こまかけ)で飛来したというのも、このあたり。
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天王ガナシーと天妃ガナシーが祀られていたと秘かに伝わるのは、↓こちら潮花司(すぱなづかさ)。
ヤハラヅカサ(左下)への降り口にある御嶽で、かつては「御先(うさち)グスク」と呼ばれた。
アマミキヨ仮住まい伝説の浜川御嶽(右の向かい側)とは、本来この潮花司のことだと語り部は言う。
潮花司(浜川御嶽)は聞得大君の巡拝地でもあったが、その由来伝承は失われつつあるようだ。
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さて、話は戻って、記紀に登場するスサノオノミコトは、
スサノオこと天王ガナシーとまったく無関係かというと、そういうわけでもないと思う。
スサノオノミコトのモデルとなったのが、神代琉球の天王ガナシーではなかったかと。

「根の国」はご存知、アマテラス・スサノオ神話に出て来る国である。
治めるように言われた根国=黄泉国(あるいは根国=黄泉国海原)を放ったらかしに
して泣き続けるスサノオに、イザナキが「なんで泣いてばかりいるのだ」と問うと、
スサノオは言う。「妣(はは)の国、根之堅州国(ねのくにかたすくに)へ帰りたい」と。
すると、イザナキは大いに怒ってスサノオを放逐してしまった…。

薮薩の御嶽、ヤハラヅカサのある南城市百名(ひゃくな)は、古来「根の国」と呼ばれた。
この他にも、沖縄では「根」のつく言葉が少なくない。
根屋(にーや)は村落の草分けの家、根人(にっちゅ)根神(にーがん)はいずれも根屋の長男。
珍しいところでは、根引き(にーびち=結婚)というのもある。

↓こちらミントングスクのある仲村渠(なかんだかり)の根所(にーどぅくる)。
語り部によれば、天王ガナシーらが居住した集落跡だろうという。現在は拝所。
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「根」で思い出すのが、ここ何週間か書いてきた知念玉城台地の南端にあたる糸数にある
根石城(にいしぐすく)。石積みの内部にも蒲葵が茂り、川泉跡らしい拝所があった。
糸数気象レーダー観測所の敷地を囲む金網の陰に、いまはひっそりと佇む。
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観測所を挟んで西側に糸数城趾がある。築城年は不明だが、玉城按司が三男の糸数按司
に任せたとの伝説があることから、三山分裂時代初期(14世紀)ではないかと言われる。
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糸数城より古いと思われる根石城を初めて見たとき、腰を抜かさんばかりに驚いた。
神名を読むと、嶋根富国根富御威部(しまね・とみ・くにのね・とみのおいべ)。
島根・富・国根…。古代出雲の富一族に何らかの関係があるのか? 
『琉球国由来記』で調べると、神名に「島根」「富」「国根」を含む御嶽は11ヶ所。
龍蛇神で私は沖縄と出雲の関係を見てきたが、御嶽でも…。つまりスサノオつながりもあったか…。
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by utoutou | 2014-06-11 10:01 | スサノオ | Trackback | Comments(0)
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