「伊勢の猿田彦神社があるところは、浦田ですよね」 朝8時、語り部から電話があった。 「はい、内宮に近い宇治浦田というところです」 昨日のブログに載せた猿田彦神社の 御神田の写真に、ひらめくものがあったらしい。 伊勢市宇治浦田にある猿田彦神社。 本殿の右側を奥まで進むと御神田。 お田植え行事「御田祭(おみた)」は5月5日に行われる。 語り部は言う。 「猿田彦神社があるのは浦田、沖縄の浦田原と同じですよ」 「あ、確かに……」 「猿田彦は渡り神。 やはり沖縄にも渡来して行ったのです」 沖縄の浦田原は「うらたばる」と読む。 南城市、沖縄開闢の地・百名。 稲作が発祥した受水走水(うきんじゅはいんじゅ) を含めた一帯が「薮札の浦原(やぶさつのうらばる)」。 そのなかで、とくに、稲作が始まった 親田(うぇーだ)周辺は「浦田原」と呼ばれた。 浦田原あたり。 田植え祭「親田御願(うえーだのうがん)」は2月に。 「四方拝、三十三拝」という珍しい拝礼をするのが習わし。 伊勢の浦田と、沖縄の浦田原。 いずれも古代には、海際の湿地帯だったであろう米どころ。 「浦の田」という意味では、各地にある名前かもしれない。 が、次の話を聞いて完璧に目が覚めた。 20年ほど前の話だという。 「受水走水の田んぼに柱のようなものが立って いるのを、私が霊視したとき、 百名玉城のおばあに聞いたことがあるんです。 おばあ、この田んぼには竿が立っていたの?って。 そうしたら、おばあは あたんど(そうだよ)、わったー(私が) わらびそーいに(子どものときはね)と言ったんですよ」 そんな最近…およそ100年前まで柱が立っていたとは。 「猿田彦=太陽神はその忌柱に降臨したと?」 「はい、そして…」 「そして?」 「浦田原で私が見たのは、天の白鳥。 夜明け鷲と呼ばれる鳥」 「だから、高千穂の峰と呼ばれたんですね」 「そうです」 さて、旧正月の初午の日に行われる田植え祭り。 神歌『天親田のクェーナ』の歌詞はこうだ。 阿摩美津(あまみつ)の始みぬ〜 浦田原(うらたばる)巡(み)ぐやい〜 泉口(いずんくち)悟(さとう)やい〜 湧(わく)ぬ口悟(さとう)やい〜 縦溝(たてんず)割い開きてぃ〜 枡(まし)ぬ型(がた)据(い)してぃ〜(後略) 以上はほんの一部で、全47行ある長いクェーナ。 座って歌う「坐グェーナ」と「立グェーナ」がある。 立って歌うほうの合いの手は「ヨーイ エイヤ」。 驚くほど似たテイストの合いの手を最近聞いた。 伊雑宮の「お白石持」行事。 木遣歌の合いの手は「エンヤー」だった。 猿田彦神社(9月末に撮影)。 「平成の御造営」の看板が立っていたが、 11月に車で通りかかったときには、現れた本殿が見えた。
by utoutou
| 2014-12-04 21:33
| 伊勢
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