志摩市磯部町の的矢(まとや)湾。 猿田彦の森から30分かかる的矢牡蠣の本場へと急ぐ。 レンタカーで走行中、牡蠣〜♪と、喉手が出たが、 恨めしいことに養殖工場を見学する時間はない。 で、的矢氏の地を散歩。 的矢美作守(まとやみまさかのかみ)。 おそらく伊勢地方では最古の港だった的矢を居城として、 鎌倉時代後期(1330年頃)から1531年までの230年、 伊雑神戸(かんべ、神領地)の総検校(監督)として、 部民を率いて、神宮と伊雑宮の財源を賄ったという。 的矢湾。正面が太平洋方向。いかだ釣りが盛んで、渡船基地が並ぶ。 入り組んだリアス式海岸が大河のように伊雑ノ浦(右方向)まで続く。 ![]() 的矢氏は代々、部民の信望篤く名族として栄えたが、 1551年、九鬼水軍の武将・九鬼隆次に襲われて滅亡、 父母は自害、4人の子息は落ち延びて、的矢を去った。 そのとき持ち出したのが、 伊雑宮のご神体、祭具、宝器、古文書だった。 その後、伊雑宮に返された古文書は、後に 江戸の街を騒がせ幕府から「偽書」とされた★ 『神代皇代大成経』と『先代旧事本紀大成経』 (釈潮音著)という神書シリーズの原典になった。 そこには伊勢内宮・外宮を怒らせた 「伊勢二社三宮図」も載っていた(再掲)。 伊雑宮は日神(天照)、内宮は星神(ニニギ)、 外宮は月神(月読)を祀ると。 その説くところは、 「伊雑宮の社格は、内宮・外宮より上」。 ![]() 興味を引かれるのは『先代旧事本紀大成経』が、 物部氏の始祖伝承(ニギハヤヒ降臨)を 重視しているということだ。 その秘伝書を伊雑宮から命がけで 持ち出したのは、的矢美作守の遺児。 的矢氏が物部氏であることは 『志摩国神戸御厨記文之内的矢旧事』(1313年)に 「当職者の本姓は物部氏」と書いてあることで分かる。 港を歩きつつ「7匹の鮫」の話を思い出す。 旧6月24日、太平洋の大海原から的矢湾を通り、 7匹の鮫が列をなして伊雑宮まで上ってくると。 的矢だけでなく、志摩の複数の漁村に残る伝承という。 ![]() なぜ7匹なのか。その答は 『先代旧事本紀大成経』にあると思った。 序文には「大成経序伝」と「神代皇代大成経序」 のふたつがあるが、後者には、 「吾道・物部・忌部・占部・出雲・三輪の六家の 祖先人のことを記した 家蔵の記録を集めさせ……」と。 同族の6家が、黒潮に乗って伊勢に着いたか。 しかし、6。1足りない…。 こういうときは語り部に電話する。 「6+1で7、7匹はその比喩では?」 「そうだと思います」 「で、残りの1とは?」 「天皇家だと思います」 「はあ……」 「その6家が、6芒星になるのです」
by utoutou
| 2014-12-09 21:03
| 伊勢
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