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シャコ貝とアザカと猿田彦 5⃣ 赤い実の神木

猿田彦が死んだ地名と同じ
「アザカ」を探して那覇市を歩き、
首里の末吉公園で、それを見つけた。
長実(ナガミ)ボチョウジ(通称リュウキュウアオキ)。
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緑、黄色、赤と、色を変化させて成熟する
楕円形の実。石灰岩の土壌に育つのが特徴。
いっぽう丸い実のボチョウジは、
沖縄本島なら、北部の非石灰岩地帯に育つという。


ボチョウジが「アザカ」と呼ばれる由来の
ポイントは、葉が「対生」していることだ。
写真 ↓ の葉を見ると「対生」ぶりがよく分かる。
「アザカ」の葉は、東西南北に十字に生えている。
ゆえに、魔除けの力を秘める神木と考えられてきた。
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語り部曰く、沖縄では十字路を「アジマー」
と呼ぶように、十字に交差している
ことを「アジマー」という。そして、
十字形になったものの総称が「アザカ」。
やはり魔除けの呪力を発揮すると信じられている。

ボチョウジが「アザカ」と呼ばれるように、
ススキの葉を十字に結んだものも「アザカ」。
またシャコ貝は、噛み口が波状に交差するため
「アザカの貝」=「アジケー」と呼ばれる。

基本を「アジマー」として、
十文字の呪力認められる
「アジ○」「アザ○」という転訛が成立する。

『おもろさうし』や『琉球国由来記』にも、
「アザカ」を用いた祭祀のことが記されている。

いっぽう、王府時代よりはるか昔、
2500年前の頃から、シャコ貝の呪力が
認められていたことは、武芸洞遺跡で知った。

しかし、そこで疑問に思うのは、
貝1枚で呪具として用いられていた埋葬人骨
の場合、「アジマー」(十字)の用いられ方
とは趣きが異なるということだ。
「死霊の封じ込め」というシャコ貝単体
の呪力とでも言おうか。

縄文時代には、そうであったのだろうか。
そうすると、猿田彦の死は、
シャコ貝単体の呪力と「アザカ」の呪力
ダブル呪力にかかったことになる。


首里城に近い末吉公園。
蒲葵、棕櫚など亜熱帯樹林がそこかしこにある自然公園である。
擂り鉢状になった広大な園内にはジャングル地帯もあり飽きない。
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実は、神木・アザカを追い求めたのには、
もうひとつ理由がある。「アザカ」は
神の島・久高島と往古より非常に縁が深い。

たとえば、イザイホーの最終日、
神女たちはハブイ(草冠)を被ったうえ、
両耳にフボー御嶽から採った「アザカ」の葉を飾る。
ならば、その効用は「呪いの力」とは呼べない。
あえて言えば「永遠の霊力」。

もしや『古事記』における「猿田彦の死」とは、
永遠の霊力を願っての説話だったのではないか。
そして、その死の舞台とは…?


末吉公園の上に見えるのは末吉宮(赤い建物)。
末吉町も古い土地で、大陸から渡来したと伝わる旧家があった。
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by utoutou | 2015-01-01 02:32 | 洞穴(ガマ) | Trackback | Comments(0)
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