久高島のイザイホーが中止にならなければ、 催行されたはずの「その日」が迫っている。 来たる1月5〜8日(旧暦11月15〜18日)。 しかし、ノロの不在、神女の後継者不足は、 時代の趨勢。致し方のないことで…。 それにしても、最後のイザイホーから36年、 アザカ(長実ボチョウジ)と、イザイホーの 関係が語られてこなかったのはなぜだろう。 アザカ(久高島では、アラカ、アダカ)は祭具として、 イザイホーで、また麦粟の初穂の祭りにも用いられた。以下 『神々の原郷久高島』(比嘉康雄氏、'93年、第一書房刊)より引用。 〜アラカ(あかね科ナガミボチョウジ)は、 イシキ浜に漂着した五穀伝来のときに 混じっていた植物だとされる。本島ではアザカという。 マッティ(麦粟の初穂儀礼)のとき、外間ノロ、久高ノロは フボーフボー御嶽から採ったアラカの葉の束五枚と七枚 の一対を持ち、御酒とマブッチ(麦粟でつくったお粥) の供え物の上を三回払う仕草をする。 またイザイホー4日目のナンチュは、髪を結い上げ シルサージ(白てぬぐい)を締め、さらにハブイ(草冠)を 被り、両耳の辺りにアラカの葉一枚ずつをつける。 このときのアラカの葉も マッティと同様にお祓い用と考えられる。なお、 ナンチュの着けるアラカの葉はそれぞれの近親のユダリ神 (先輩ナンチュ)がフボー御嶽から採ってきたもの 〜 久高島の聖地・フボー御嶽。 立ち入り禁止のため、この位置(拝所)から祈願する。 昨年10月末に撮影した写真を見ると、なるほど、 目視できる距離のところ(右下)にアザカの木が。 ![]() アザカについて記された伝説は、 『琉球国由来記』と『琉球国旧記』。 いずれも王府時代に編纂された。他に五穀伝来 の伝説は『遺老説伝』『久高島由来記』にもあるが、 種子伝来を含むのは、元家のひとつ大里家に伝わる二書。 『琉球国由来記』では「檳榔(クバ)、アザカ、シキョ(ススキ)」、 『琉球国旧記』では「檳榔、阿佐嘉、志磯之種」の三種が記される。 曰く、大里家の始祖・アカツミーとシマリバーに神託があった。 「五穀の種で豊穣を成し、三種の種で御嶽を造れ」と…。 右側がフボー御嶽。奥に円形の祭祀空間があるらしい。 古代のイザイホーはフボー御嶽で行われたという説もある。 ![]() 五穀と三種子の伝来伝説が残る大里(ウプラトゥ)家。 尚徳王とクンチャサ・ノロの悲恋物語の舞台でもある。 第一尚氏の時代にも、イザイホーという祭の原型はあった。 ![]() ではなぜ、三種の種子が、クバ、アザカ、ススキなのか。 神木というからには、神の依り代である。私はこう思う。 男根や蛇に見立てられるクバは、太陽神の依り代として、 いまでもお月見に供えるススキは、月神の依り代として、 この種を撒き、御嶽を成すのだと、神は告げた。 では、アザカは、何神の依り代となったのか? アザカは十字の持つ霊力が神木たる由来だった。 十字、十字路とは、つまり交通の要所という意味。 八衢の神とは、むろん猿田彦大神のこと。 すると、アザカは地主神の依り代だったのではないか…。 大里家の始祖アカツミーとシマリバーの香炉が祀られる神壇。 ![]()
by utoutou
| 2015-01-03 15:41
| イザイホー
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