イザイホーは、王府時代にあつては国の繁栄を願う祭り だったが、古代祭としての本質は「火の神」の霊力を、 新たに誕生する神女たちに継承することにあった。 「火の神」の火とは太陽霊のこと。 古来、絶やさず受け継いできた火、つまり 「祖先神の霊力」を新たにする(ティリナイ)儀式。 イザイホー初日の早朝、新しいナンチュたちは、香炉を 持って亡き祖母の家に行き、その香炉の灰を3回にわたり 移し替える「ウプティシジ(祖先霊)香炉の継承式」をする。 そのうえで、神女の就任式としてのイザイホーに臨むのだ。 さて、香炉で思い出すのは、 沖縄のどの家庭にもある「火の神(ヒヌカン)」。 語り部によれば、いまでは「カマドの神」「台所の神」 と認識されているが、本来は「自然神」の依り代。 戦前までは「ウミチムン(御三物」とも呼ばれ、 聖域から拾った三つの石を祀る時代があったという。 その「自然の神霊」とは、太陽、月、地球…。 古くは、地球というより星だったのではないだろうか。 写真は久高島のウパーマ浜で昨年10月に撮った。 「ナーワンダーグスクの三香炉」や「伊勢神宮の三宮説」 について考えていた頃だったので、なんとなく「三ツ星」の オリオンビールを買い浜に。温くなって飲めなかったが…。 ![]() いまでは疑いなく、 伊勢神宮を三宮で建てた日月星信仰の担い手は、 古代の物部氏で、久高島のイザイホーもまた 物部の祭りだったと考えているが、その件は改めて…。 さて、イザイホーにおける「香炉の継承」について、 ミントングスクの言い伝えが、よいヒントになる。 「イザイホーとは、探し求める火という意味」だと、 先代当主の故・知念幸徳氏は語っていたという。 「火」を「霊」と置き換えると、理解しやすい。 イザイホーでは、ナンチュはノロから神名を授かる。 それは本人以外には極秘だが、祖母が祀った御嶽の神名。 祖母から継承した香炉は、そのまま始祖霊の神籬となる。 久高島の中心的な祭祀場である外間殿。 イザイホーが始まる直前、この外間殿の大香炉に ノロが神霊を降ろす魂替えの儀式をする。 同様の儀式は、もうひとつの祭祀場・久高殿でも。 ![]() ゆえにイザイホーは「火継ぎの儀式」。 古来、皇太子は「日嗣ぎの御子」と呼ばれた。 つまり、皇室の祭りと同じ由来だ。 語り部は、これは「火のバプテスマ」だと言う。 火(精霊)による洗礼。 出雲大社に現存する火種をつくる神事のような…。 出雲国造の世継ぎの式は「火維式(ひつぎしき)」 または「神火神水の式」と呼ばれる。 火鑚臼(ひきりうす)と火鑚杵(きね)で起こした火と、 天の真名井から汲んだ聖水で神餞を造り、これを 新国造が食べるという御神事。昨秋、高円宮典子様が 嫁がれた千家国造家は、古来この御神事を伝えている。 出雲大社摂社・出雲井神社。祭神は岐神(クナトのかみ)。 出雲大社や各地の神社に残る拝火を思わせる習俗は、 クナト神を崇める富族や 物部氏が発したと言われるシュメールにも見られるという。 久高島が「火の島」と呼ばれた由縁も、拝火の習俗にある。 ![]()
by utoutou
| 2015-01-06 23:59
| イザイホー
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