渋谷アップリンクで『イザイホウ』を観た。 前回は満席で入れなかったので、ネットで予約。 ミニシアターながら今回も満席に近い入り。 追加上映は、2/6(金)までという。 海燕社制作(野村岳也監督)のDVD(↓) その劇場版。やはり臨場感が違った。 ![]() 1966年(昭和41年)に久高島で行われたイザイホー、 戦後初めて行われたその秘祭のドキュメンタリーだ。 '78年版の作品は有名だが、さらに12年前のもの。 米国統治下の時代の島の生活が描かれる。 「女は神人、男は海人」という宿命、離島の生活苦。 そんななか、島を挙げての祭りの準備が始まった…。 帰宅後、何年か前に沖縄県立図書館でコピー した当時の新聞を広げた。 「神の島」の現実が垣間見える。 「神秘のベールを脱いだイザイホー」 「古代的神聖の島」「圧巻! 洗礼の儀式」 「伝統の扉 開く」「取材陣続々」といった 祭りの記事は、新聞各社1面トップの扱い。 いっぽう連載企画には「文化に見放された島」 「昔ながらのランプ生活」 「クバの原生林がキビ畑に」などといった サブタイトルが連なる。 ↓沖縄タイムス(12月26日、旧暦11/15)夕刊三面。 「イザイホー調査団 久高島へ」の記事下 に大手デパート・リウボウのセールの広告が。 価格表示はすべてドル立て。 「婦人スーツ$7.50 、紳士靴$4.00」と。 ![]() ところで、ナレーションでは、イザイホー は「600年の歴史」と語られていたが、 '54年、また戦中の'42年にも止むことはなかった。 久高島の島人曰く「“薩摩世”でも “アメリカ世”でも“ヤマト世”でも、 休むことはできない祭り」なのだった。 イザイホーは、王府時代以前から、 36年前の''78年まで、綿々と続いた。 その長き継承を支えた力とは? 改めて思ったのは「おなり神信仰」だ。 女に宿る霊力(せじ)が男を守護するという 古代感覚は、琉球神道の要となる神観念だった。 それが、後に伊勢神宮における 斎宮のシステムを生んだと思う。 イザイホー調査団が「久高島は日本の原郷」 と驚く前に、久高島には「ここが大和の原郷」 という秘伝があったと、島で度々聞いた。 ↓イザイホーを終えた神女が 兄弟と向き合う儀式「アサンマーイ」は映画にも。 祭りの日、男たちも耳にイザイ花を挿していた。 花の赤白黄は、聖木・アザカ(アダカ)の色。 女はイザイ花、ハブイ(蔓冠)、アザカの葉を飾る。 ※写真は『主婦が神になる刻(比嘉康雄著)』より拝借。 ![]() アザカで契られた男女は、 祭りの最後に「アリクヤーの綱引き」に臨む。 「アリクヤー」とは「船を漕ぐ」という解釈が 一般的だが、琉球神道研究の第一人者・ 鳥越憲三郎氏は、それを「ありきえと」だと言った。 「ありきえと」とは「神が天界から舞い降りるときの船歌」。 写真は海燕社HPより拝借。 ![]() 天から舞い降りる神とは、龍蛇神のことだろうと スクリーンを観ながら、改めて思った。 イザイホーとは龍蛇神の祭り。 男女が揃って「綱」を上下に大きく振る様子は、 私には、イラブー(海蛇)の擬きにしか見えなかった。
by utoutou
| 2015-02-01 01:50
| イザイホー
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