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猿田彦の下駄 4⃣ つまりアマミキヨ

ニライ大主とは、ニライカナイの主神。
聖なる他界(常世の国)にはニライ大主がいる。
(※ここまでが比嘉康雄氏による「島人の他界観」)

そのニライ大主を代々司るが魚根家(イン二ヤー)。
拝所には、猿田彦を思わせる下駄と杖が祀られている。

それは本当に猿田彦大神のレガリアなのか。
誰かに聞こうにも、
魚子家とニライ大主(神役)は途絶、
ニライ大主が司祭した祭り(どれも行列するお祓い神事)を、
リアルタイムで見た人も、由来を語る人も既にいない。

それでも、ニライ大主は猿田彦のことであり、
渡来神であり、最高の国津神であり、
地主神であり、つまりアマミキヨである。
それゆえ、岐(くなと)の神、先導神でもある。

そう考える根拠のひとつに、
アカララキ(曉の御嶽)がある。
王と聞得大君の一行は久高島行幸の際、
この港(ちみんとぅまい)に着くとアカララキに参詣した。
まさに「神の島」を守る地主神、
そして先導神である。

またテーラーガーミ(男たちによる太陽の祭り)で、
お祓いの行進の出発地点になるのも、この御嶽。


アカララキの下の港は、王府時代の大君の港。
遠く正面に、本島側にある斎場御嶽が見える。
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ところで、アカララキに
座す神は太陽神であり、龍蛇神でもある。

アカララキは、出雲大社の龍蛇神
の小祠と似ていると語り部は言った。
私にもこの神体石が、トグロを巻いた蛇に見える。
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こちら出雲大社「神在祭」。稲佐の浜で迎えられた龍蛇神。
絹垣(きぬがき)という白幕で囲われつつ大社へ進む。
一昨年の神在祭の夜、出雲地方で流れたTVニュースより。
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さて、猿田彦に関して、
語り部がまたひとつ重大なことを思い出した。
郷土芸能『長者の大主』にまつわる話だという。

「あの劇に、ニライ大主が登場するのですよ」
私は観たことがないが、
「沖縄の各地にある芝居ですね、夏祭りで演る」
「ニライ大主は長者の前に現れ、
アマスのアマミツに授けた五穀の種を
与えて、作り方を教えるんです。
 『百名の長者の大主』ではギレー大主ですが、
 あの神様がニライ大主、つまり猿田彦大神なのです」

なるほど…
太陽の霊力を継いだ渡来海人族の祖先神は、
海においては龍宮神であり、
陸においては稲荷神だった。

そう言えば…
各地の稲荷神社には猿田彦大神が祀られている。

by utoutou | 2015-02-09 19:13 | 久高島 | Trackback | Comments(0)
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