富士山本宮浅間大社 5⃣ 野の神は月の神

『古事記』では野椎神(のづちのかみ、野の神)
『日本書紀』では鹿屋野比売神(かやのひめかみ)と呼ばれる
木花咲耶姫の母神について、語り部はこう言った。
「久高島に関係の深い女神ではないかと思う」と。


久高島はさておき、木花咲耶姫命を祀る浅間大社には合祀
されるべきとも思うが、なぜその母神は祀られずにきたのか。
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ただし、その母神にちなむ「萱」の祭祀は各地に残る。
神名にある「カヤ」は萱(茅)の表記に違いなく、
厄除け魔除けの効能は、全国の神社で夏や冬の祓い
として行われる「茅の輪くぐり」に使われることで分かる。

沖縄では、茅は日常生活にも重用されている。
ススキの葉を束ねて「サン」という呪具を作るのだ。
先を十字に結ぶためアザカ(十字型の魔除け)の一種とされ、
神仏への供物、食物、弁当などの上に置いて使われる。

大きいサイズのものは特に「ゲーン」と呼ばれ、
家、田畑、農作物などを保護する魔除けとして使われる。

また、安産を願う「葺不合(フキアエズ)」の風習
について記したミントン古伝
を見ても、萱(茅)は重要な役割を持つが、
その理由は、月と呼応する植物であるという点だ。

過日、語り部はこうも言った。
「旧暦8月15日の祭り・十五夜(ジューグーヤー)に
ススキを飾るのも、鹿屋野比売神との関係からだ」と。

沖縄では十五夜に、ススキとともにフチャギ餅を供えるが、
フチャギとは、餅に煮赤豆を隙間なく付けて丸めたもの。
これには、子孫繁栄の願いが込められている。
萱(植物)は月の力を借りて、世の繁栄を司るのである。


↓ 浅間大社の本殿を裏手から見上げる。
こちらは萱葺きならぬ檜皮葺き。
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語り部はこうも言っていた。
「木花咲耶姫が子宝と安産の神と呼ばれたのは、
鹿屋野比売神の神魂を受け継いでいるからです。
つまり、木花咲耶姫も月の神でもあるということ…」
なるほど…。
「だから、木花咲耶姫は酒解子神とも呼ばれたのですね」

そのことは、
イザイホーの最終演目「桶廻り(グゥキマーイ)」
で歌われるティルル(神歌)の最後にも見える。
〜マチヌシュラウヤサメー(月の御神様)が
管掌している、神酒(みき)〜(現代語訳)と、歌われる。


浅間大社の絵馬。
赤丸の絵柄はもしや太陽ではなく、月?
と妄想にかられるのも、久高島で「月の神」の色は赤だからだ。
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赤は女神の色、そして月神の色。
久高島では、十五夜を、
外間殿にアカヤミョーブ(赤い天幕)を下げて祝う。

あれやこれや連想して、ようやく
語り部の言わんとすることが、導き出されてきた。

鹿屋野比売神とは、久高島のアカララキのことか?
アカララキとは「=曉の御嶽」とされるいっぽう、
「アカ=赤く美しい」+「ラ=接尾語」とも言われ、
必ずしも「太陽の御嶽」を意味するわけではない。
つまりアカララキとは「美しい御嶽」とも解ける。

琉球王府の聞得大君が久高島に上陸して
初めて拝むのが、アカララキの祭神である。
それは月の神・鹿屋野比売神であり、
縄文の女神・瀬織津姫のことではないか。

さて、語り部はどう答えるだろうか…。

by utoutou | 2015-03-08 15:12 | 神社 | Trackback | Comments(0)
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