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富士山本宮浅間大社 6⃣ 木の花は梅の花

富士宮の浅間大社に参ってから、20日も経つが、
何げに撮った2枚の写真が、ずっと気にかかっていた。
上の富士山は、浅間大社の西楼門に飾られていた水彩画。
寄贈された、現代の作品のようだった。
下の富士山は、第一鳥居の駐車場から撮った1枚。
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上下の写真を見比べてつくづくと、
冬から桜の季節まで変わらない富士山の雪深さを想う。
そして、ある歌を思い出さずにはいられなかった。
沖縄の古典音楽『四季口説(しきくどぅち)』だ。
富士山本宮浅間大社 6⃣ 木の花は梅の花_a0300530_7555393.jpg
『四季口説(しきくどぅち)』は、
本土の四季を綴ったと言われる琉球舞踊曲。
江戸時代に本土から伝わったものと言われ、
(よって語調が七五調の和文形式)
現在でも、若衆踊りの伴奏などで歌われる。


『四季口説』
一、さてもめでたや新玉の 春は心も若がえて 
四方の山辺の花盛り
(囃子)長閑なる代の春を告げ来る深山鶯
二、夏は岩間を伝え来て 滝つふもとに立ち寄れば 
暑さ忘れて面白や
(囃子)風も涼しく袖に通ひて夏もよそなる山の下蔭
三、秋は尾花が打ちまねく 園のまがきに咲く菊の 
花の色々珍らしや
(囃子)錦さらさと思ふばかりに秋の野原は千草色めく
四、冬は霰の音添えて 軒端の梅の初花の 
色香も深く愛であかぬ
(囃子)花か雪かといかで見わけん
雪の降る枝に咲くや木の花


以前から、歌詞四番の2ヶ所に首を傾げていた。
〜冬は霰の音添えて 軒端の梅の初花
雪の降る枝に咲くや木の花 

このくだりは木花咲耶姫を歌ったものとして、
皇室関係の方々が来沖の際には披露するのだと、
古典舞踊家の人に聞いたことがあるが、
ではどうして「木の花」が桜でなく梅なのか。


沖縄舞踊『四季口説(しきくどぅち)』
(沖縄県立芸術大学HPから拝借した)
富士山本宮浅間大社 6⃣ 木の花は梅の花_a0300530_7575243.jpg

木の花とは古来、梅と桜の両方を指すというが、
木花咲耶姫命を祀る浅間神社の神木が桜
であることは、全国津々浦々で通用する常識だ。

↓浅間大社の湧玉池と桜の木と富士山。
富士山本宮浅間大社 6⃣ 木の花は梅の花_a0300530_7582590.jpg

その疑問は、語り部の一言であっさり解けた。
「浅間大社の奥宮である富士山頂上の久須志神社
の御神木は梅だと、昔の神女たちに聞きましたよ」
「桜じゃないんですか?」
「明治に入るまで、久須志神社は薬師堂といって、
梅の花を持った観音様が祀られていたそうです」

調べると確かに、浅間大社の桜の大半を占める
ソメイヨシノは、幕末生まれの新種だった。

以下、小川和佑氏著
『桜と日本人』('93年、慎重選書)より抜粋引用。
〜ソメイヨシノとは、オオシマザクラと
エドヒガンザクラの自然交配で生まれた園芸品種。
近世末期の江戸で生まれ、爆発的な人気を呼んだ。
いわば、文明開化の流行の花だった〜

木の花はソメイヨシノではない。
ならば、江戸時代に流行った『四季口説』
の梅も、決して変な話ではないことになる。

さらに語り部は驚くべきことを言った。
「あの木花咲耶姫の母・鹿屋野姫は、
梅の花の咲く久須志神社に封印された
のだと思います。つまり富士山に…」




by utoutou | 2015-03-07 22:03 | 神社 | Trackback | Comments(3)
Commented by トヨタマヒメ富士日記 at 2022-01-20 06:45 x
Amebaでブログを書いている者です。
富士山の木花開耶姫は桜の精であると今まで思っておりましたが、梅でまあると友人がこちやの記事を教えてくれました。ぜひ転載させてくださいませ。
Commented by utoutou at 2022-01-21 06:40
> トヨタマヒメ富士日記さん
初めまして。ご訪問ありがとうございます。転載かまいません。久々に冨士浅間神社のブログに飛びました。桜と梅の話、面白いですね(笑)。
Commented by utoutou at 2022-01-21 06:58
> トヨタマヒメ富士日記さん
追伸。トヨタマヒメ冨士日記、拝見しました。木の花は梅、やはりそのようですね。
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