富士山本宮浅間大社[11]スサノオの「蘇民将来」

鹿屋野姫(=野椎神)は、大山祇神との間に
足名椎と手名椎という一対神をもうけた。
野椎神(のづちのかみ)と同じ、
「椎(つち)」の2文字を含んだ神名。

椎とは土、そして、ツチノコのツチ(蛇)。
いっぽう「槌」にも通じるならば、
打出の小槌を持っていたのは大国主神だった。
いずれにしても、この極東に
位置する列島に先着した海人族の祖神だ。
 
足名椎と手名椎の末娘・奇稲田姫(くしなだひめ)
は須佐之男命(すさのおのみこと)の妃となったが、
その『八岐大蛇(やまたのおろち)』と同様、
出雲系神社ではお馴染みの伝説『蘇民将来』
も「茅の輪くぐり」の由来であることは見逃せない。

ご存じ『蘇民将来』は
『備後風土記』や『参宮名所図絵』に残る、
スサノオが嫁探しに龍宮へ行く途中、泊らせて
もらったのが貧しい蘇民将来の家だったという民話。

スサノオは無事結婚して8人の子をもうけ、
蘇民もスサノオの言う通り「蘇民将来」
の札を魔除けとして家に掲げたところ、
その子孫は繁栄して長者となったという。


各地で見かける「蘇民将来」の注連縄。
こちら伊勢神宮近くの民家で撮影。家のご主人は、
「毎正月に買って年中下げている」と言っていた。
「意味は知らないけど、昔ながらの習わし」だと。
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さて『蘇民将来』伝説には、
「茅の輪」という後日談がある。
再び蘇民将来のもとを訪ねたスサノオは、
「茅で輪を作り腰に付ければ病気にならない」
と、今度は教えた。

この「茅の輪」の規模が大きくなり、
江戸時代になると、罪や災いを取り除く
「茅の輪くぐり」の神事が各地に広まったという。


浅間大社サイト「年間行事」のページにも
夏越大祓式(なごしのおおはらえ)として載る。
↓「茅の輪くぐり」の写真も同HPから拝借。
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沖縄・久高島でも、春秋の祭り
「ハンジャナシー」では、神女たち
がスバ(ススキ)で島をお祓いして歩いた。


↓ 現在も久高島はススキがいっぱい(昨12月撮影)。
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古来、人々は茅萱(ちがや)に強い霊力を感じた。
硬い地表を突き破って芽を出す茅の力
で罪や穢れを祓い清め、厄災を免れようとした。
またその霊力をもって、野椎神は野のすべてを司った。

その子・足名椎と手名椎は、沖縄玉城の田植え行事
「親田御願(うぇーだのうがん)」で謳われる神歌
(『天親田のクェーナ』)に登場する一対神である。

その歌を初めて聞いてから数年、
きょう、ようやくそのことに気がついた…。

by utoutou | 2015-03-19 21:10 | 神社 | Trackback | Comments(0)
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