大前の殿(うふめーのとぅん)。 受水走水(うきんじゅはいんじゅ)から 徒歩10分ほどの高所(南城市玉城百名)にある。 かつては「五穀豊穣の宮」と呼ばれた。 戦後、安里家の神女が建造したという。 安里とは、稲作の祖・アマスのアマミツと 共に稲作を成功させた功労者。 もう一人の功労者が大前(うふめー)である。 ![]() 「大前の殿」内部。五穀神を祀る。 「大穂米之屯」で「うふめーのとぅん」。 鳥居が建てられたのは戦後のことで、 「親田御願」の祈願経路には入っていない。 ![]() さて、沖縄の稲作は約700年前に始まったという。 アマミツを含む3名が稲作に成功したきっかけは、 中国へ渡った伊波按司(現・石川市)。 稲穂を持ち出そうとして果たせず、 鶴にくわえさせて飛ばしたところ、 嵐(あまべー)に遭い、この地に落下したと。 ただし、どうにも解せないのが時代だ。 この鶴伝説は、本当に 稲作の伝来と発祥を伝えているのだろうか。 「シロミキヨの高天原」を書いて以来、 どうにも釈然としなかった。この地に残る 「高天原」「高皇産霊命」「御稲御倉」などの 神話的な言い伝えを思えば、稲作の伝来が わずか700年前というのは、 どうも時代混同の感が否めないと思う。 神女おばあたちの言い残した話が甦る。 「稲穂の最初は鷲、後から鶴が飛んで来た」 鷲がくわえた稲穂という、 もうひとつの伝来伝説があった…。 鷲の伝説はミントングスクにも伝わっており、 紅型で人間国宝となった鎌倉芳太郎氏が記録している。 (『鎌倉芳太郎ノート』大正15(1926)年) 〜『ミフーダ』ト称シ往昔アマンチュ、シルミチュ の神初めて『ワシ』ノ持チ来リタル/稲穂ヲマキテ 作リアゲタル所ナリト云フ〜 〜「ワシ」ノ稲穂ヲ持チ来タリテ死シタル オカー(ルビ:サチバルヌオカー)アリ〜 柳田國男氏の『海上の道』にも。 〜それでアマミキョは天に祷(いの)って、 鷲をニライカナイに遣って求めさせたところ、 三百日目に三穂をくわえて戻って来た。 初めてその種子を蒔いた田を三穂田と謂う〜 その鷲を、神女たちは「ゆがき鷲」と呼んだ。 夜明け鷲。琉球の夜明けは鷲から始まったと。 「7つの首の蛇」の伝説を思い出したのは、 「大前の殿」に祀られた↓この絵を見たときのこと。 ![]() その前日、私は久高島で川巡りをしていた。 島の西海岸には7つの川泉がある。そして、古来、 玉城と同じ「7つの首の蛇」伝説があったという。 そして、「大前の殿」へ。 頭を垂れる稲穂は以前も見ていたが、 稲穂を数えると、1、2、3…7本ある。 ふと思った。「7つの首」とは、 稲作を営んだ古代(龍神)族のことでは…?
by utoutou
| 2015-04-16 17:11
| 龍蛇神
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