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7つの首の蛇 5⃣ 禊ぎの意味

久高島七川(なながー)巡り〈その5〉。
西海岸を南から歩いて5川目は、イザイガー。
36年前に途絶えた古祭・イザイホーで
神女となる島の女性たちは、
三晩イザイ山に籠る前に、ここで禊ぎをした。

4川目までは生活用水用の川泉だったが、
イザイガーから北の3川は禊ぎ専用の川泉となる。


イザイガーへの入口(北側から撮影)。
写真右下の角を海側(右)へ進む。神女たちは、
島の南にある集落から裸足で歩いて来た。
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朝、イザイガーで禊ぎをした神女たちは、
洗い髪のままイザイホーへの準備を整えたという。
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さて、そのイザイホーの3日目。
神女の就任式である
「花さし遊び」と「朱りきぃー遊び」
を終えた神女たちは、次に、
「川神遊び(はーがみあしび)」に臨んだ。

川の神に感謝する儀式。
いったん主催場から退場した新神女たちと
ハタ神(先輩神女)たちは、七川の
方向から登場し直して、円舞を披露した。

「川神遊び(はーがみあしび)」のティルル(神歌)
の内容は、次のような内容だった。
※右側が標準語訳。
(『神々の古層 主婦が神になる刻
 イザイホー』比嘉康雄氏著より引用)


ヒーウスマーヤ 久しかった
ナマイガーヤ 今日のよき日
ムトゥマール 十二年ごとに
ティントゥマール めぐってくる
イザイホーよ イザイホーよ
ナンチュホーよ ナンチュホーよ

イティカワヌ 五ツの井泉の
ナナカワヌ 七ツの井泉の
カワヌウシジ 井泉の神様
ミディヌウビー 水の神様
ウサギノーチ 祈願をして

ヌキバナン さしたイザイ花
サシバナン さしたイザイ花の
ダキズゥラサ さした様の美しさよ(後略)


「イザイホーは神女たちが、
人間の身でありながら蛇に昇格する儀式」
と書いたのは、『蛇』の著者・吉野裕子氏。
「禊ぎとは脱皮(身殺ぎ)のことだ」とも。

神女たちが霊力(しじ)を更新
して生まれ変わる(=脱皮する)のが、
イザイホーの本質なのだと思う。

「川神遊び」のとき、神女たちが七川
の方向から再登場する演出は「脱皮」の証。
その聖所としてふさわしいのは、
川の神=龍蛇神が住まうイザイガーだった。


イザイホーが途絶えてから36年。神女たちが
禊ぎのために使用した石段の劣化は激しく、
これ以上は、ちょっと降りて行けそうになかった。
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七川巡りをした3月21日の朝でも、
降りて行くと、ひんやりとした冷気が走った。
イザイホーのあった旧11月は、さぞ寒かったのでは。
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by utoutou | 2015-04-20 22:20 | 龍蛇神 | Trackback | Comments(0)
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