ヤマトタケル、別名・小碓尊(おうすのみこと)。 第12代景行天皇の皇子で、第14代仲哀天皇の父。 父に命じられ、各地に蛮族征討の旅に出る。 西方へ、そして東方へ。 重なる指令を嘆いたヤマトタケルだったが、 伊勢にいる叔母の倭姫を訪ねると、 火打袋と草薙の剣を渡され、激励を受けた。 「危ない目に遭ったら、これを開けなさい」と。 尾張、相模、上総、甲斐、そして武蔵秩父へ。 旅のコースの一部になっている秩父三社、 その宝登山神社に参拝した私は思った。 ヤマトタケル神話とは、産鉄族を平定する旅物語? 語り部に意見を聞くと、3つのヒントが出た。 「臼」「火打石(袋)」「草薙の剣」、 それを解けば、旅の目的がよく分かるはずと。 というわけで、まず、 臼(碓、うす)について考えた。 「碓は臼と同じ意味」だと、語り部は言う。 すぐに思い出されたのは、 久高島の重要な御嶽に祀られている石臼だ。 がじゅまるの根本に、石臼が隠されている。 上下の石臼を貫いて真ん中に空洞のある「搗き臼」。 石香炉がある御嶽空間で、神として祀られている。 ![]() 臼はイザイホーの祭りにも登場した。 三日目の就任式で、 神女たちは逆さにした木臼に座った。 その儀式に際して、ノロが木臼に祈りを捧げた。 久高島は五穀発祥の島。そして、 稲作が発祥した玉城とは、一対となった祭祀場。 従って脱穀に使う臼は神具、いや神そのもの だったのだと、私は解釈していたが…。 皇学館大学名誉教授・真弓常忠氏の 『古代の鉄と神々』を読んで、臼の役目は それだけではないかもしれないと思った。 (長文だが…)以下引用。 〜わが国の古い呼名を「豊葦原の瑞穂の国」という のは、稲穂の豊かな稔りを希求した誉め言葉で、 葦の生命力が邪気を祓うとの信仰から、葦の豊かな に茂る原はみずみずしい稲も育つとの経験によった ものとする解釈がおこなわれてきた。(中略) しかし、葦は葦であって、これが稲に変わることはない。 が、葦の根に褐鉄鉱、すなわち「スズ」の生(な)る ことを知ったとき、眼から鱗の落ちる思いがした。 つまり。葦の原は鉄の採れるところであった。 すなわち、葦の根に形成される褐鉄鉱の団塊「スズ」を 採って、それにて鉄器を生産し、開墾を進めたのである。〜 真弓氏も著したが、まさに目から鱗。 目の前に山の民が出現したかのような驚き。 実はこれまで、沖縄の古代について どうもピンと来ない事々があった。 「アマミキヨの弟はカニマン(鍛冶屋)」という古伝、 「御先(うさち、上古)カニマン」という言葉、 「受水走水(うきんじゅはいんじゅ)は湿地帯だった」 という神女おばあたちの口伝、 そして、玉城垣花にある古代製鉄所跡の遺跡。 バラバラに聞いたパーツのすべてが、 「葦原は瑞穂の国」というキーで繋がったのである。 三峯神社の駐車場からの三峯遠望。 産鉄地の多くは連山に囲まれた盆地という。 ![]() ところで、宝登山神社に、 藤谷淵神社という摂社がある。大和尊社の隣。 ![]() 藤谷淵とは長瀞の旧名だいうが、 『風と火の古代史』(柴田弘武氏著、92年、渓流社) を読んで、再び目から鱗が落ちた。 「藤の蔓で編んだザルは産鉄具なので、 産鉄地名には藤がよく付く」 「淵とは葦のこと」だという。 そこで、藤谷淵という地名は、 ズバリ産鉄地を示すのだと気がついた。 また、この書に「火打臼は産鉄具」だとも。 臼は稲作と産鉄の両方に使われてたわけだ。 ちなみに、あの臼が祀られている 久高島の御嶽は、国淵山と呼ばれる。 藤谷淵神社の御祭神が ↓石碑にズラリ。 伊勢大神、八坂大神、野栗大神、 諏訪大神、琴平大神、熊野大神)、榛名大神… そして最後に、竃三柱大神とある。 その下には平仮名で、 おきつひこのみこと、おきつひめのみこと、 ほむすびのみこと…。調べると、 この三神こそ産鉄族が祀る神だった。 ![]()
by utoutou
| 2015-05-19 15:26
| ヤマトタケル
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