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沖縄の天女伝説 ⑥ 天女は誰?

薄々気になっていたことが、
あるとき、フッと解決することがある。
自分の早合点に気づく反芻機能が働いたか?
あそこは拝所だったのだと、ようやく気がついた。


天女が現れた舞台、森川公園の森の川(むいぬかー)
↓ 傍にあった1枚の絵はこうだった。リアルなよい絵…。
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が、いま絵の左半分を↓ このように、
レイアウト加工してみて分かったのは…。
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絵の左上、
石積みで囲まれた聖地を、私が見過ごしていたことだ。


↓ こちら私が撮った森の川。実際、石積みの
囲いまでは行ったが、拝所とは分からなかった。
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そこで、改めて由緒書きの写真を見返す。
森の川は、真志喜村の産川
(うぶがー=赤ん坊のための産水を汲む川)であり、
正月の若水を汲む重要な川泉だと書いてあった。
(2005年3月 沖縄県教育委員会、宜野湾市教育委員会)
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思えば、村の共同井泉には
水の女神が祀られ、季節の折目になると、
一族の神女(人)の司祭で祈願するのが、沖縄の風習。

誕生した赤ん坊にそうしたように、
知念玉城の聖地を廻る東廻り(あがりうまーい)も、
聞得大君の即位式・御新下り(おあらおり)も、
久高島のイザイホーも、聖水の生命力をいただき、
守護神の霊力(せじ)を新生・再生する
水撫で(うびなでぃ)が、儀式のクライマックスだった。


水の女神、川泉の女神である生命の源泉。
人々は、そこに天女を見たのだろう。
その原型は、斎場御嶽の奥宮・ナーワンダーグスクに
祀られた「天女神加那志」だと、語り部は言った。
ヤマトで言う、縄文の女神・瀬織津姫である。

そうすると、中山王・察度の母となった天女は、
水の神の霊力を得て、夫となった奥間大親
(おくまうふやー)を、畑に金銀のなる富豪に押し上げ、
息子を王になる男に育てたことになる。


さて、前回からの続き。驚いたのは、
奥間家拝所に祀られている神々の名前である。


右の位牌から、真志喜大神、真志喜五郎、
そして、奥間大親、天願按司泰期と銘記されていた。
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左の二神は、天女の夫と、察度の異母弟である。
(天女は一男一女しか生まなかった)

そこで、右の神名、真志喜大神と真志喜五郎
の二神について『琉球祖先宝鑑』で調べると…。

真志喜大神は、アマミキヨ(天孫氏)の末裔。
その項には、百名世主の十二男とある。
百名世主の父は、百名大君。祖父は天孫氏也。

天孫氏は、アマミキヨ四世、
天帝氏加那志・天女神加那志の長男である。
 つまり、この伝に従うなら、奥間大親とは、
アマミキヨ八世(十二男)だったのである。

驚いたのは、真志喜五郎で、この人は、
渡来した清和天皇の末裔・源為朝が、
琉球初代王・舜天王の他にもうけた十二男
三女のひとりで、
「御母は宜野湾市真志喜村のノロ也。居所は、
同村の奥間という家也」とあった。

では、奥間大親と結婚した天女は誰か?
勢いに乗って、
語り部に聞くと、意外な逸話が返ってきた。

あるとき、宜野湾の我如古(がねこ)に
あった察度王の流れを汲む新垣という家で、
お爺さんが、少年だった語り部に尋ねた。
「オマエは、天女とは誰のことだと思うか?」
「おじい、天女は天女じゃないの?」
「バカを言うな。人と天女の間に人ができるか」
困り果てた語り部に、お爺さんは言った。
「天女はね、銘苅(めかる)の娘だよ」

銘苅!

有名な天女伝説のひとつに、銘苅子(めかるしー)
という男が天女に会って結婚するというのがあるが、
なんと、森の川の天女も銘苅の娘だったとは。

では、銘苅とはいったい、どんな家?
新たな難題が持ち上がってしまった…。


森川公園の見晴し台から、
米軍普天間基地方向を背にして、東シナ海を望む。
宜野湾市のウォーターフロントが見えるが、
その左手方向に行くと、銘苅村のあった那覇新都心。
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by utoutou | 2015-09-03 15:32 | 天女伝説 | Trackback | Comments(0)
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