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東北へ ① 日本三大稲荷・竹駒神社

沖縄から目を転じて、秋の東北1泊旅へ出た。
宮城県岩沼市の竹駒神社で、旧友が脚本を書いた
浅野温子よみ語り』が上演されたのでそれを観に。

浅野さんは10年余り前から各地の神社を巡って
古事記の独り語りを演っているが、近年は
「ふるさと発見伝」シリーズでも各地を廻っている。

今回の演目は、
「きつねに守られた小野箼(たかむら)」なるオリジナル。
小野篁(802〜853年)は平安時代の官人だが、
陸奥に着任した842年に竹駒神社を創建したという。

祭神は倉稲魂神(うかのみたまのかみ)
保食神(うけもちのかみ)
稚産霊神(わくむびのかみ)。



社名の由来は、神社の南を流れる阿武隈川の武隈から。
宮城県では塩竈神社と人気を二分するというが、
それはともかく、鳥居の上に出ていたのは龍雲かしら?
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小野氏は沖縄と関係が深い(はずの)和邇氏同族。
その点でも、よみ語りへの期待は大きかったが、
御由緒を活かしたストーリーもたいへん面白く、
浅野さんの演技力も相まって会場を圧倒していた。
東北へ ① 日本三大稲荷・竹駒神社_a0300530_16232637.jpg



平安京から「蝦夷(えみし)の国」へと下った小野箼。
征夷大将軍の坂上田村麻呂とアテルイの戦いが800年前頃
だから、数十年後に箼が陸奥守としてかの地に着任した
当時も、朝廷による支配は完遂しているわけではない。


流血の激戦地に乗り込んだ官人の祀った神が倉稲魂
というところに、古代海人族の流れを汲みながら、
大和朝廷で重用されもした小野氏一族の皮肉な役割
と、意気と、意地が、見て取れる気がするのである。
東北へ ① 日本三大稲荷・竹駒神社_a0300530_16233015.jpg



毒をもって毒を制するではないが、「蝦夷の国」
に赴いた箼は、この地の先住民と同類の神を祀った。
倉稲魂の本地(本質)の神は、十一面観音だという。
言い替えれば、縄文の女神・瀬織津姫だ。


阿武隈川の河口にあたるこの地は、古代より
沼地だったそうで、豊かな水を湛える池もその名残か。
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その日は、
東京池袋から夜間の高速バスで仙台に着き、
駅で朝ご飯を食べて岩沼へ向ったが、それでも朝9時。
多くの禰宜さんや中学生たちが清掃しているそばから
歩く境内は、申し訳ないほどに清廉な空気感。



元宮の神壇は、本殿の奥の地下通路にあった。
左右に狐。第一鳥居をくぐって境内に入ってから、
少なく見積もって5組の白狐に出会ったと思う。
東北へ ① 日本三大稲荷・竹駒神社_a0300530_16235753.jpg



元宮の通路から外に出て、また狐と出会った。
神様の眷属である狐をお祀りしているという命婦社。
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命婦社の上を見上げると、さらに奥宮が鎮座。
階段でその御前まで登ることができる。
階段は、目がくらむほどに急なものだったが、
下から一瞬だけ吹いた風に押し上げられた気がする。
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ここは古代産鉄地だったかもしれない。
阿武隈川沿いで、古代からの沼地、そして狐が眷属。
稲荷=鋳生りであることは、もう知っている。
またその語源は日経(ひつね)。
狐がくわえる巻物は暦だと『ひもろぎ逍遥
のブログ主さんに教わったことを思い出す。

その見立ては、
次に参った金蛇水神社で当たりだと知ることになる…。












by utoutou | 2015-11-02 19:45 | 神社 | Trackback | Comments(2)
Commented by at 2015-11-04 19:30
utoutoさん、こんにちは!東北いいですねー(≧∇≦)私も10月に遅めの夏休みで東京から10日間かけて車で東北一周しました(笑)行きは太平洋側と内陸部中心で大間岬まで上がって、帰りは日本海を下って新潟から帰ってきました。東北はほぼ初めて行くのでとても新鮮でした!残念ながら竹駒神社は知らなかったので行きませんでしたが塩釜神社は行きましたー!東北の神社幾つか周りましたが一番印象に残ってるのは、津軽一ノ宮の岩木山神社です。出雲神社があって、狛犬のかわりに大黒様と恵比寿様がたってたり、龍がいっぱい祀られてました。たしかに龍神様を感じられるような気のする神社でとても印象に残ってます。追跡アマミキヨ東北シリーズ楽しみです(≧∇≦)
Commented by utoutou at 2015-11-08 16:02
> 寅さん
10日かけて東北とは素晴らしい。羨ましい限りです。
津軽一ノ宮、行ったことがないのですが、確か山頂に奥宮がある岩城山ですよね。龍神の未知なるエネルギーが濃く渦巻いているというか…いや勝手な想像ですが。
塩竈神社は時間切れで駆け足でしたが、行きましたよ。塩土老翁はともかく、タケミカヅチとフツヌシが祭神とは、へえ〜と思いました。大和朝廷の東北経営に駆り出されていたようなイメージが湧いたもので。でもまあ、神様のオールスターが一致協力で国づくりということなのでしょうか。それにしても東北の神社は何かと興味深いですね。既に、また行きたくなっています。笑

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