東北へ ④ 塩竈神社

東北神社旅の最後は、塩釜市森山の塩竃神社。
仙台市宮城区岩切の青麻神社から、カーナビを
頼りに目指したが、20分とかからなかった。


岩切方面(内陸側)から来て駐車場に車を置くと、
まず庭園内の池越しに塩釜湾を望むことになる。
午後4時前、薄暮の趣き。銀色に光る凪いだ海に、
かえってあの大震災の甚大な被害を思った。
きょう11日は、月命日。慎んでutoutou(合掌)。
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陸奥国一の宮。ここには奥州一の宮と記されていた。
神社名も鹽竈神社と表記。来てみなけりゃ分からない。
主祭神は塩土老翁(しおつちのおじ)。
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鹽竈神社へも是非と思ったのには訳がある。
塩土老翁は、全国区とか南島出身の神様だと
いう印象があるのに、なぜここに…と考えていた。

というのも、
神話のなかの塩土老翁は、神武が東遷する前、
「東のかたに美し地があり」と、大和の地を教えた。
あるいは、神武の曾祖父のニニギが「国ありや」
と聞くと「国あり」と、南九州あたりを示した。

また、神武の祖父の山幸彦が釣針をなくして
さまよっているときにも現れて、海神の宮
への行き方を教えたと、日本書紀に。
全国的な地理情報に詳しい翁なのである。

またアマミキヨ的な視点で考えれば、
海神の宮=龍宮=琉球。それを熟知しているのなら
南島にいた翁では?となる。

情報通だった塩土老翁とは、いったい何者?
製塩を教えた(由緒)のだから
海人族というのは確かだが、具体的にはどんな人? 
という興味があった。



ともあれ小雨のなかを拝殿に急ぐ。
本殿は別宮と呼ばれる。別=特別 という意味とか。
主祭神・塩土老翁の相殿に祀られるのは、
左宮に武甕槌神(たけみかづちのかみ) 
右宮に経津主神(ふつぬしのかみ)。
いわゆる朝廷による東北開拓を護った軍神である。
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神社の創建時期は、由緒によれば不明というが、
宮城の製塩は縄文晩期後半に始まったという
たばこと塩の博物館サイト)ので、そのあたりか。

文献では平安初期(820年)の『弘仁式』が初見。
中世以降は奥州藤原氏、江戸時代は伊達家の崇高
篤く、陸奥国総鎮守として発展。
古来、鹽竈宮、鹽竈明神、鹽竈六所明神と呼ばれた。

では、その鹽竈六所明神とは? 
答えは『鹽竈社縁起』で見つかった。
曰く、鹽竈明神とは、次の同体異名の6座であると。
塩土老翁、猿田彦命、事勝国勝命、岐神、興玉命、太田命。

そうだったのか。
猿田彦命であり、岐神(くなとのかみ)。
猿田彦は海神・綿津見神の子。
和邇氏、安曇氏ら、古代海神族にとっての始祖神。
岐神はこの島々に初渡来した出雲神族の始祖神。

猿田彦大神は、朝廷に帰順したうえで水先案内人
に仕立てられた国津神だと、かねがね思っていたが、
塩土老翁も同じ
役割を担わされ…というより同神だった。
どおりで、神話のなかの立ち位置が似ているわけだ。



こちらには摂社4社がズラリと並ぶ。
左から、稲荷社、住吉社、八幡社、神明社。
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↓こちら志波彦神社。明治になって岩切から遷座。
志波彦とは「シワ(朝廷勢力圏の端)」で
信仰されていた国津神のことだと」由緒に。
つまりこちらも塩竈明神のことか。よい気に満ちていた。
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実は、時間切れで寄れなかった境外摂社がある。
塩土老翁が使ったという神釜を祀る、御釜神社。
古式で塩を造り奉納する藻塩焼き神事が有名。

塩竈神社のサイトによれば、その工程は、
まず竃にかけた釜に置いた竹棚に
海から刈ったホンダワラを並べ、
海水を入れ、点火して煮詰め、塩をつくるという。

「海から刈ったホンダワラ」で、つい連想するのは、
古代の沖縄でも行われていたであろう製塩のことだ。
先日来、書いてきた銘苅(めかる)の翁とは、
沖縄にいた塩土老翁のことではなかったかと。

古代のヤマト語で「め」とは海藻のことだという。
沖縄では古来、ワカメでなくホンダワラが採れた。
その藻を刈って塩を造る翁と、一族がいたのでは。

沖縄から製塩遺跡や鉄釜は見つかっていないが、
『随書 流求伝』(656年)には、こんな一文がある。
〜木槽の中に海水をさらして塩となす〜
南島では、煮なくても日射で乾燥して塩ができたと。
痕跡の残らない塩造りをしていたのではないか…。







by utoutou | 2015-11-11 18:17 | 神社 | Trackback | Comments(0)
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