浦島神社(京都府与謝郡伊根町)には、 祓戸神(=瀬織津姫)も祀られている。 浦島神社の社殿は北向き。そうすると参拝する 方向はおのずと南向きになるわけで、真っすぐ先 に六甲比命の磐座が位置することになるという。 (大江幸久氏の資料より) その六甲比命の磐座からは、 幾通りかの太陽の道(レイライン)が見て取れる。 夏至の日の出方向に六甲山頂、 石の宝殿(六甲山神社)、武庫山厳島弁財天などがある。 また、六甲比命の磐座から東へ300m離れた場所に 天穂日命の磐座が位置しているのも、見逃せない。 さらに見れば、 天穂日命を祀る ↓芦屋神社(芦屋市芦屋町)の 夏至の日の入り方向に位置しており、大きく俯瞰すれば、 伊勢の伊雑宮と、出雲大社を結ぶ線上にあるのだという。 ![]() いつのみたま・あまさかる・むかつひめのみこと)を 祀る山頂近くの六甲山神社(石の宝殿)を遥拝する。 ![]() 六甲山は古来、廣田神社(西宮市大社町)の社領だった。 廣田神社の主祭神は、『日本書紀』神功皇后 の条に登場する、憧賢木厳之御魂天疎向津媛命。 由緒によれば、その女神は、 伊勢神宮内宮に鎮座する天照大御神の荒御魂で、 神功皇后が征韓したとき霊位を示した。 私たちは、当然、天照御大神の荒御魂と、 憧賢木厳之御魂天疎向津媛命は同神と思ってきた。 が、そこに、「待った」をかけた人がいた。 古代史研究家の大和岩雄氏である。 〜『日本書紀』は、天照大神の荒御魂が 憧賢木厳之御魂天疎向津媛命だと、どこにも 書いていない。荒魂説は 鈴木重胤の『日本書紀伝』の「節」でしかない。〜 (大和岩雄・著『神と人の古代学』大和書房刊) 私は、このくだりを読んだ数年前、本当か?と、 図書館に出向いて各版元から出ている『日本書紀』 を比較してみたが、本当だった。 〜神風の伊勢国の百伝ふ度逢県の析鈴五十鈴宮に 坐す神、名は憧賢木厳之御魂天疎向津媛命なり。〜 と、伊勢神宮の神であることは記しているものの、 天照大御神の荒御魂とは、記されていなかった。 なぜ荒御魂になったかについて、大和氏は考察する。 鈴木重胤は幕末の国学者で、長州藩の勤皇の志士 たちに影響を与えた人物。そのため最後は暗殺された。 そういう生粋の国学者だったので、伊勢神宮に鎮座する 祭神は天照大御神以外にはあり得ないと独断したのだと。 なるほど、天照大御神が、持統天皇の時代に つくられた女神であり皇祖神であるとすれば、 いわば縄文の女神といえる瀬織津姫が、その荒魂 というのも、考えてみれば確かに少し無理がある。 伊勢神宮内宮・荒祭宮(左は古殿地)。 天照大御神の荒御魂が祀られているとされる。 ![]() 大和氏はこうも述べる。 伊勢神宮にあるすべての宮は南面しており、 東向きなのは外宮に鎮座する「土宮」だけだと。 土宮は、式年遷宮の山口祭・御船代祭の祭場、 古代海人族の古儀をいまに伝えている。 その太陽祭祀は、朝日・夕日信仰だった。 司祭したのは、天照日の神から離れて向かう姫。 憧賢木とは心御柱、いわゆる神木のことだろう。 向津姫でなくては、神霊(厳御魂)は降ろせなかった。 では、神霊を発する最高神とは? 例えば沖縄では、御天父親加那志(うてぃんちちうやがなし) そして、御天母親加那志(うてぃんははうやがなし)という。 憧賢木厳之御魂天疎向津媛命は、古代の 海人族に奉じる日巫女で、後に女神と見なされた。 そして、神功皇后は最後の日巫女だったと思う。 『日本書紀』はその神功皇后を卑弥呼に仕立てたが、 憧賢木厳之御魂天疎向津媛命を天照大御神の荒御魂に 見せかけたのも、付会だったのではないかと私も思う。
by utoutou
| 2016-04-23 08:23
| 瀬織津姫
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Comments(2)
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六甲山をロッコウサンと読んでいては元儀がいつまでも分かりません。(それが仕掛人たちの狙いですが)
ムコウの山と読み変えると全てが氷解して来ます。 ムコウ、、、武庫、六甲、向日、日向、向。 西宮廣田神社のご祭人の向津日女命は向(ムコウ)大王家のヒルメ(日女=日霊女。)の命。? 六甲姫神社が廣田神社ご同体の所以もロッコウ姫ではなくて、ムコウ姫と読む事で氷解します。 廣田神社の元々の神名備で鎮座地の甲山もカブトヤマではなくてコウの山と読む事で元々の意味が氷解します。 コウ山、、、神山。高山。向山(ムコウの山)。光山(実際に発光現象が幾度も有る)。 コウの山、、、高野山、、、、
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> たぬきさん
こんにちは。なるほど、古代出雲大王家の向家にちなむムコウということでしょうか。それならば、ムカツ媛という読みも納得できますね。実はかねてから、天疎向津活媛というときの、ダブルな並びが気にはなっておりました。また甲山=コウの山という読み方についても納得です。ありがとうございます。
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