空海に浦島太郎の珠を渡したと言われる 真名井御前は、日下部氏の姫だったのか? つまり、籠神社の海部氏の養女だったのか について、あれこれ考えてみたい。 空海とともに神呪寺(かんのうじ)を創建して、 瀬織津姫を弁財天として祀った真名井御前。 その名前から、丹波の比治(ひじ)の真名井を 舞台にした「天女伝説」が、つい思い浮かぶが、 そのあたりに何か、真名井御前の出自に関する ヒントが隠されているかもしれない。 籠神社の奥宮・真名井神社の鳥居。 ![]() 『丹後国風土記』(8世紀)に載るその 天女伝説が、沖縄のそれと決定的に違うのは、 羽衣を隠したのが男でなく、 和奈佐という老夫婦だった点だ。 二人に助けられた後、豊宇賀能売命という天女は、 お酒を造って老夫婦に大きな富をもたらした。 比治の里という伝説の舞台の地名、 酒を造るという特技(噛み酒)、 そして、老夫婦の名乗っていた「和奈佐」…。 このキーワードを並べてみると、この天女、 やはり琉球や奄美の島々に関係がありそうだ と、思わずにはいられなかった。 地名のヒジに似たヒシとは、琉球から 南九州にかけて連なる島々を取り巻く干瀬のこと。 また、女が噛み酒を造るのは隼人族の風習。 隼人とは、薩摩の大隅半島にいた人々の呼称だ。 古来、噛み酒の風習は琉球にもあり、 久高島の古祭イザイホーでは、神女(かみんちゅ) の就任儀礼を終えた女たちのする初仕事は、 嚙み酒を神人や島人に振る舞うことだった。 歯の綺麗な女ほど、よい酒が醸せると言われた。 久高島イザイホー(4日目)の演目、 グゥキマーイ(樽回り)と名のついた円舞。 中心に、タルマーミキ(樽の神酒)が置かれる。 ![]() 以前イザイホーの記事にも書いたが、 噛んだ酒を発酵するのには月の力を借りたという。 久高島では月の女神の名は、マチヌシュラウヤサメー。 ヤマトでは、発酵の神、月の神、草の神。 『古事記』によれば、鹿屋野比売神(かやのひめかみ)。 亦の名は野椎神(のづちのかみ)だと記されている。 鹿屋野比売神は、イザナギ・イザナミの間に生まれた。 そして、木花咲耶姫命の母神となった。 鹿屋野比売神は、なかなか歴史の表舞台に 登場しないが、その娘・木花咲耶姫命を祭神 とする都萬(つま)神社が、宮崎県西都市にある。 古来、司祭しているのが日下部氏である。 酒造りをする天女・豊宇賀能売命、 真名井神社の祭神である豊受大神、 そして、真名井の霊水で育った真名井御前。 三重に重なるその女神像は、真名井御前が、浦島子 と同族の日下部氏の姫だと暗示しているように思える。 そう言えば、 浦島神社の相殿に祀られた祭神は、月讀命だった。 真名井神社への道。里と呼ぶのにふさわしい空気感。 ![]()
by utoutou
| 2016-04-22 18:17
| 瀬織津姫
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