大神神社境内の笹百合が見頃だそうだ。 私が参った10日前も「ささゆり園」が公開されて いたが、あのときはまだ大きく咲いていなかった? 大神神社の御神花であるささゆりは、 この地の歴史に登場する姫神の象徴でもあった。 伝承によれば、神武天皇の妃となった媛蹈鞴五十鈴姫 は、三輪山西麓の狭井(さい)川のほとりに住んでおり、 その辺り一帯には笹百合(三枝ともいう)が咲いていたと。 6/10の笹百合。写真は大神神社HPから拝借。 ![]() 『古事記』では、姫の名は、伊須気余理比売だが、 〜その家は狭井川のほとりにあった〜とある。 〜神武天皇は比売のもとで一晩お休みになった〜と。 大神神社の摂社・狭井神社に関係の深い神話。 三輪山の参拝客は、中腹にある「三光の瀧」まで 狭井川のほとりを歩いたり、橋を渡ったりするが、 私たちはあのとき大和神話の重要な舞台に立っていた。 伊須気余理比売(=両親である大貴巳と活玉依姫)の 家は、狭井川をもう少しさかのぼった地点らしい。 中山和敬著『大神神社』(学生社)には、 〜狭井神社の北側の柿畑になっている岡一帯を 現在も出雲屋敷と呼んでいる 〜と記されている。 ↓ 狭井神社の北側とは、こちら拝殿の奥の地域か。 大神神社からも北へ500mほどの距離にあるその地は、 なんと、「大和にある古代出雲」だったのである。 ![]() やはりか…と、 三輪山山頂の奥津磐座(記事と画像はこちら)を思った。 高さ1mほどの磐座が数十mに渡って縦横に並ぶ磐座群。 その光景はある本で見た、古代出雲の王墓によく似ていた。 それは古代出雲代々の王墓(出雲の熊野山にある斎場)。 斉木雲州著『出雲と蘇我王国』(大元出版より拝借)。 ![]() クナト王を始祖として、紀元前にインドから渡来したと いう古代出雲王家・富(登美)族の伝承によれば、 その葬送の風習は、代々の王を山に葬って斎場とし、 屋敷には石を置いて「拝み墓」とする両墓制だった。 ちなみに、沖縄では現代でも、集落内にある 神屋での拝みを御嶽へと当てる「古代出雲式」だ。 話は三輪山に戻って、 この地が出雲ならばと、古伝に沿って考えてみた。 三輪山山頂の奥津磐座群が、語り部も言う みささぎ(墓陵)ならば、拝み墓のある集落はどこに? 調べると、三輪山の東部にも出雲という地名があった。 その村は鎌倉時代に現在地へと降りてきたが、それまで は三輪山の東1.7kmに位置するダンノダイラにあった。 現在の出雲地区から約140m北、標高450〜480m、 尾根の上の広大な平坦地(6.3万㎡)だという。 ※地図は「DEEPだぜ!!奈良は」様のサイトより拝借。 ダンノダイラの探索ルポや出雲に関する情報が満載。 ![]() 上記の書と同じ著者による『出雲と大和のあけぼの』 に、「三輪山の祭り」と題した一項がある。 (以下に要約) ☆三輪山の狭井神社には、古くはサイノカミ三神 (※クナト大神、幸姫命、サルタ彦)が祀られていた。 ☆狭井川の上流付近に出雲屋敷と呼ばれる所が あり、登美家の姫君の斎宮たちが住んでいた。 ☆沖縄に残っていた古代の風習ではノロと呼ばれる 主婦が中心となって祭祀を行ったが、本土でも古代 は同じで、三輪山の祭りは登美家の姫君が司祭した。 そう言えば…と、私はまたある確信を得た。 久高島にティミグスクと呼ばれる謎のグスクがある。 その御嶽の威部(最奥部)は磐座墓地の様相だが、 グスク名のティミとは、富(登美族)のことと考えられる。 ![]() 2日ほど経ったとき、語り部から神託の報せがあった。 「三輪山にあるのは、狭井神社といいましよね。 狭井(さい)とは、どんな意味だと思いますか?」 「いやあ、考えていなかったですけど」 「斎場とか斎宮というときの、斎という意味ですよ」 「さい…三輪山が? そうでしたか、斉ですか…」 そう驚くことはなく、私は言った。 「なら、サイノカミ三神も斉の意味なんでしょうね。 笹百合も、古名は三枝(さいぐさ)だそうです」 斉とは、紀元前1046年頃から386年頃まで あったと言われる中国大陸・山東省あたりの国だが、 『契丹古伝』を調べていた際、我々は、古代出雲 とは斉のことであるという仮説に至っていた。 秦の始皇帝に滅ぼされたという、あの斉である。 古代出雲とは、島根県の出雲だけを指すのではない。 その領土は、中国雲南省、タイ・ベトナムとの国境 から朝鮮半島・日本列島を含む広大なものだったと。 それが斉、言い換えれば「倭」である。 『契丹古伝』を沖縄目線で読み解くと、そうなった。 斉の国に、天から送られた神子の名はキリコエアケ。 我々は、それが「聞得大君」の語源だと解釈した。
by utoutou
| 2016-06-12 14:46
| 瀬織津姫
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