籠神社(京都府宮津市)に伝わる『勘注系図』 では、天火明命のこととされる 天御蔭命(あめのみかげのかみ)が、こちら 国懸神宮(くにかかす神宮、和歌山市秋月)の祭神 でもあることは、先日、語り部の指摘で気がついた。 参拝したのは5月末日。一の鳥居から入ると、 左に日前神宮、右の国懸神宮が鎮座している。 ![]() 明立天御影命(あけたつあめのみかげのみこと)。 確かに国懸神宮の祭神・国懸大神の下に神名が。 ![]() ↑ 日前神宮・国懸神宮の由緒を改めて見る。 〜謹みて按ずるに 日前国懸大神は天照大神の前霊に 座しまして 其の稜威名伏すべからざる太古大神 天の岩窟に幽居ましし時群神憂ひ迷ひ 手足措く所を 知らず 諸神思鐘命の儀に従ひて種々の幣帛を備へ 大御心を慰め和め奉るに當り 石凝姥命 天香具山 の銅を採りて 大御神の御像を鋳造し奉る 是れ 日前神宮奉祀の日像鏡 国懸神宮奉祀の日矛の鏡に して二鏡 斎き祀る〜 難解ゆえ、日前・国懸神社HPから要約すると… ☆日前宮の神体は日像鏡(ひがたのかがみ)。 ☆国懸神宮の神体は日矛鏡(ひぼこのかがみ)。 ☆神代、天照大御神が天の岩戸に隠れたとき、 思兼命の議(はかりごと)によって石凝姥命が 鋳造した天照大御神の鏡を祀り、後に鋳造した 鏡は伊勢神宮の神体となったと日本書紀にあるが、 神武東征の後、紀伊国造の天道根命が、二つの神鏡 を(共に)祀ったのが、当宮の起源である。 つまり、二枚の鏡は表裏一対のまま 日前神宮・国懸神宮の神体として祀られていると…。 伊勢神宮の八咫鏡に先立って造られたものだと…。 国史を根底から揺るがすような由緒書きである。 では、 その鏡を奉祀した日前大神・国懸大神とは? 語り部の見立てはこうだ。 「日前大神とは天照大御神(女)より前の日神で 天照大神(男)、国懸大神は素戔嗚尊のこと… 合わせて天照国照となるのだと思います」 天津神と国津神、共に男神だったことになる。 ↓ 国懸神宮には記紀にない歴史が見えると、語り部。 ![]() 私は聞いた。 「すると、籠神社の系図にもある天御蔭命とは?」 「代々継承された素戔嗚尊の御魂のことでしょう」 それなら分かると…ようやく解けた謎がある。 天御蔭命の名は、勘注系図に何度も登場する。 そのことが、どうも解せなかった。 三世孫の倭宿禰命、六世孫の建田勢命、九世 の大那毘命、十一世の小登輿命、十二世の建稲種命。 その建稲種命は「亦の名を須佐之男という」とも。 天御蔭命がスサノオの魂を継承する人物に冠する 神名ならは、何度も登場することに違和感はない。 そこで、籠神社で求めた林兼明氏による大著 『神に関する古語の研究』を開いてみた。 以下「あめのみかげ、ひのみかげ」の項の要約。 ☆祝詞文によくある「天之御蔭、日之御蔭」は の語句は日本民族の根本信念で唯神大道の極致。 賀茂真淵が「蔭=遮蔽」と誤解して意味が混乱した。 ☆「天之御蔭、日之御蔭」とは、 「天日の光躍=天日の恩光」の意味と考えられる。 「蔭」は古来、現代とは真逆の言葉だった。 天に光り輝く「天御蔭命」とはスサノオだった。 語り部は言う。 「蔭は、“映した”の意味とも考えられますね」 「コピー?」 「はい、蔭に投影することで隠した神」 「後ろの正面だーれ、ですか?」 「はい、籠の中の鳥はスサノオだったのでしょう」 遂に出た、『かごめかごめ』の籠の中の鳥。 その神の名は、スサノオだ。 ↓江戸初期に書写されたという、 勘注系図にはスサノオの暗号が隠されていた? ![]()
by utoutou
| 2016-07-06 21:31
| 瀬織津姫
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Comments(7)
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utoutoさん、こんにちは!何やら今回の内容、凄いですねー(>∀<●)ノいやースサノオのミコト、ドキドキしてしまいます!!!2枚目の鏡を伊勢神宮に祀った話は、ついこないだ受験した神社検定三級のテキスト神話のおへそ 古語拾遺編で斎部氏に伝わってると書いてありました(´ロ`ノ)ノ1枚目は出来が良くなかったので日前神社に渡したと。鈍感な私はへーぐらいにしか思わなかったのですが、この逸話にも色々ミステリーが隠されてそうだヨダレがでますね(笑)( ´艸`)続きが楽しみです!!
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寅さん
こんにちは。神社検定! 勉強なさってますね。鏡とか神宝の話は、継承者によって伝承内容の主述は変わるものだと常々感じていたことでしたが、日前神宮・国懸神宮が神社本庁に属していない理由は、その鏡にもありそうですね。 また、私などが混乱するのは、丹波の系譜の三世孫・倭宿禰が神武に献じたという奥津鏡・辺津鏡は天御蔭鏡とも呼ばれたといいますが、それがこの戦後まで海部氏に伝世されていたという事実。それなら神武には献上していないわけで、献じたのは神に?と解釈すべきということでしょうか。このへんもミステリーだと思います。 ![]()
はじめまして。
元伊勢籠神社を検索してましたら、こちらにたどりつきました。 埼玉県在住の女性です。 元伊勢籠神社に行ったことがないのでぜひとも行きたいと思っています。 先日ある番組で歌手の藤井フミヤさんが籠神社の奥宮を訪れていて、その場所がとても神秘的で忘れられなくなりました。
> ひろみさん
こんばんは。元伊勢籠神社よいですよ。真名井神社までは何分か歩くのですが、境内に入ってからは、ちょっと肩のあたりがゾクゾクするような神威が感じられました。 ただ古代の真名井原が本当にあの場所なのかは、まだはっきりとしていないようですね。周辺の何カ所か、比定されている場所があるとか。ゆっくり時間をかけて歩き、それがどこなのかを自分なりに探してみたいと思ったりしています。 ![]() ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
> シビュラ・マリ(麻理)さん
初めまして。返信が年を越してしまいまして失礼しました。今年もよろしくお願いいたします。六甲山、瀬織津姫、天孫族、国津神…。何度も出向いた六甲山ですので、仰るキーワードですぐに、いくつかの聖地が目に浮かびます。最後は11月末に六甲山神社に参りましたが、新たに気になる磐座もあり、再訪を楽しみにしているところです。 六甲山の縄文時代を解き明かすのは、なかなか難しいですね。「日本のヘソ」に近く、地形的にも祭祀的にも重要な鍵が隠されていると思うのですが。3年ほど前、山頂に近いグランピング施設のフロントで見た、地元で古くから伝わるという鬼の面が、複雑な歴史を物語っているように思い出されます。 ![]() ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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![]() by utoutou
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