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六甲山と瀬織津姫 92 志賀島の最北へ

旅の終わりは子ぬ方(にぬふぁ。沖縄では「北」)へ。
志賀島の最北には表津綿津見神と天御中主神
(北極星、子ぬ方星)が祀られる沖津宮が鎮座している。

島の方の車で、雨のなか北部の休暇村志賀島まで
送っていただき、お礼を言って別れ、海鮮丼を食した後、
まずは仲津宮へと急いだ。余談になるが、旧正月で週末
だったせいか、休暇村のメインレストランは地元名士に
 よる盛大な貸切パーティーの最中で、ランチ客は宴会場へ。

その「金印の間」から、駐車場と金印海道を挟んで、
玄界灘と海水浴場と、砂浜を散歩するカップルが見えた。
 やがて雨は上がり、空を覆う雲は勢いよく流れていった。


ランチの後、休暇村から北へ7分ほど探し歩いて、
仲津宮に着く頃には、思いもよらないドピーカンに
空を仰ぐと、鳥居に掛かる「勝馬宮」の社号が見えた。
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鳥居の横に案内板が立っている。
鳥居の先は勝馬宮こと仲津宮境内、そして仲津宮古墳。
このときはまだ、古墳の全容を知らなかったが…。
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森の中の古い参道をしばらく進むと、拝殿に出た。
祭神のことは志賀海神社の由緒で分かってはいたものの、
こちらに案内板はない。島の東北? を向くかたちで参拝した。
左(西)の方向から、玄界灘の潮騒が聞こえてくるようだ。
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神社の前庭のスペースに、御嶽というか神籬があった。
沖縄の御嶽と同じで神名は知れない。先の仲津宮古墳
の案内地図から想像すると、ここが古墳つまりお墓の跡か。
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改めて、鳥居脇にあった案内板(を撮った写真)を見る。

仲津宮古墳
〜この古墳は、7世紀ごろ(古墳時代)に造られた
もので、勝馬(かつま)を基地とした海人集団の首長の墓
と考えられています。この古墳は円墳で、円丘の径7m、
高さ1.5mの大きさをもち仲津宮の前庭に位置しています。
 埋葬はまず、長さ約3.8m、幅約2.8mの長方形の縦穴を掘り、
その中に平たい石を用いて、4段以上に組み石室を造り
(縦穴系石室)、少なくとも5体の埋葬が行われ(※中略)…
石室の床面には、須恵器の浅底のお椀のようなもの(坏身、
坏蓋)、須恵器の壺、鉄鏃、鉄矛、刀子、鉄斧などの鉄器、
表面に銀をはった金属製の耳環、ガラス製管玉、小玉
などが埋葬されていました。1997年3月 福岡市教育委員会〜


そう、安曇族は産鉄の民だった…と思ったりしていると、
拝所の左手に坂道があるのに気がついた。道は↓石段
 に繋がっていた。※写真は降りてから振り向いて撮影した。
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仲津宮の森を降り切るとそこは海。小島が浮かんでいた。
島の地図で見た沖津宮に違いないと、近づくとやはり…。
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満潮で渡れないが、100mほど先に沖津宮が鎮座。
小島の中央に鳥居が立ち、山上へ登る石段が見える。
海神と星神を併せ祀る志賀海神社の摂社・沖津宮だ。
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それにしても、仲津宮が古墳とは知らなかった。
岩に腰掛けて、スマホで福岡市文化財情報を検索…。

仲津宮古墳が発見されたのは平成6(1994)年のこと。
その後、発掘された古墳はまた埋め戻されたという。

古墳は「勝馬を基地とした海人集団の首長の墓」と
案内板でも見たが、首長とは誰だったのか。紀元前に
渡来した安曇族の、そして「漢委奴国王」の末裔か? と
 思うところを、単に「海人集団」とは。謎めいている…。

残り時間がなかった。このとき13時。バスで港へ戻り、
14時のフェリーで志賀島を離れて、東京へ帰るのだ。


また来よう…と、立ち上がり、振り返って驚いた。
沖津宮を正面に見た位置の真後ろに、仲津宮の山が。
つまり、沖津宮と仲津宮は真っすぐに向き合っている。
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いや、向き合っているのではない。もしや古代には、
沖津宮と仲津宮、そして表津宮(の元宮)は、ここ勝馬の地
で北から南へ、黄金三星(オリオン三星)のように一直線に
 配祀されていたのではないか…。このときは、そう思った。


by utoutou | 2017-03-09 12:45 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(0)
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