六甲山と瀬織津姫 188 美奴売(みぬめ)の神

九頭龍弁財天とも思われる美奴売(みぬめ)の神
 は敏馬(みぬめ)神社(神戸市灘区)に祀られている。
亦の名は、弥都波能売神(みずはのめのかみ)。

江戸前期に、素戔嗚尊、天照皇大神、熊野座大神を
「敏馬三座」と記す文書がある。主祭神は交代した。
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阪神線の岩屋駅近く。国道2号線沿いの小丘に鎮座。
古代は敏馬浦と呼ばれ、砂州が造った良港だったという。
神功皇后伝承を持ち、式内社であるのはそのためだ。


敏馬神社略記も、『風土記』のくだりを記す(要約)。
☆美奴売(みぬめ)とは神の名であり、神功皇后の
新羅への出兵に際し、神前松原(阪急神崎川近く)
で戦勝を祈願したときに祀られたが、その神は、
「我が山の杉の木で船を造れば、勝利する」と宣った。
☆皇后が帰還した際、船が動かなくなったので
占うと、「神の御心なり」と出たので、美奴売の神
を祀り、船も献上した。神功皇后摂政元年の創建。 
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境内の摂社・水神社に祀られているのが、
美奴売の神こと弥都波能売神(みずはのめのかみ)。
右手の案内板には、次のように記されている。
〜水神社 御祭神 弥都波能売神
水を司る神で、神社創建時の主祭神と伝承される。
御祭神名より「みぬめ」の名が誕生した 〜
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その右手(海側)には、神功皇后を祀る摂社。
創建時の主祭神と創祀した皇后が並祀されている。
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水神社の後ろに隠れる小宮にイザナギとイザナミが
祀られているが、これまで迂闊にも気づかなかった。
確かに、案内板には「奥の宮」と表記があった。
記紀神話では、
ミズハノメは、イザナギとイザナミから生まれた。

謎めいた祭祀空間だが、神社由緒には、水神とは
「能勢の美奴売山(現在の三草山)の神」とだけ
記されていることが、何やら想像をかきたてる。
三草山は猪名川の源流域にあたるため、イナ…稲…
つまり、稲作と浅からぬ関係にある女神ではないかと。



三草山は、兵庫県猪名川町と、大阪府豊能郡能勢町
との境界に広がる(標高564m)。そう高くない。
↓地図に書き入れた赤丸・右上が三草山、左下が
  敏馬神社の位置。直線距離でも約40㎞離れている。 
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さて、美奴売の神の来歴について思いを巡らせ、
三草山周辺にその手がかりを求めてググっていたとき
その山の北側に鎮座する、ある神社の存在を知った。
岐尼(きね)神社(豊能郡能勢町森上)という。
※地図は能勢電鉄HPより拝借。赤丸は加工。
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岐尼神社。創建は延暦元年(782年)という式内社。
祭神の枳根命(きねのみこと)は、紀氏・大名草命
の末裔で、武内宿禰にも繋がる系譜の巫女だという。
岐尼、枳根…もしや、「きね」とは「杵」と同義なのか?
杵を持って餅をつく「月の兎」を思い起こさせた。

それにしても、巫女を祭神として祀る神社とは。
逆に、巫女の祀る神の大きさが偲ばれるのである。

そう言えば、
『摂津国風土記』逸文に次のようなくだりがある。
〜豊受大神が丹波国に遷座するまでは、摂津国
の稲倉山(場所不明)にいた 〜と。

まさか、美奴売の神とは豊受大神のことなのか…?
地名が豊能郡、「豊」の一致も気になるところだ。

そんな妄想を見透かすように、語り部から電話が。
「豊受大神が祀られる丹後の比沼麻奈為神社
(ひじまないじんじゃ、京丹後市)のすぐ近くに、
半月のかたちをした田んぼがありませんか?」

半月形の田んぼ…。
そこには、とんでもないメッセージが含まれていた。






by utoutou | 2018-09-22 08:36 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(0)
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