「ウプチマリヤー…国軸・島軸…(を探せ)」 と、語り部は言った。ウブチマリヤーという家には 人はいないようだけれども二つの香炉が残っていると。 思えば久高島を経つ朝、島の北端・カベール岬へ 日の出を見に行った。御嶽廻りの総まとめという つもりだったが、あのときは想像だにしない展開に。 ![]() 集落内にあったらしい謎の旧家・ウプチマリヤー。 場所は「外間ノロ家から外間殿へ行く道の角あたり」 ということだが、カベール岬に行った帰り、私は 集落に戻って外間ノロ家(ヌン殿内)と外間殿で参拝 したので、まさに語り部の言う道を歩いていたのだった。 ![]() それにしても、ウプチマリヤー。難問だ。 久高島の方言は難しく、屋号の意味は分からない。 島に住む知人に聞いても、「分からない」と言う。 「その近くにウィッシュヤーはあるけど、そこも もう空き家なので、尋ねることもできない」と。 その場所だけは、東京に戻ってから確認ができた。 『神々の古層 女が男を守るクニ 久高島の年中行事』 (比嘉康雄著)で、刊行('67年)当時の集落図を見る。 それを拝借して、語り部の話をダブらせてみた。 外間ノロ家から外間殿(地図の右上)への道を赤く、 また、語り部の言う「角あたり」を青丸で加工した。 ちょうど、青丸の左上にひとつ空いた区画がある。 そこが、謎の旧家・ウプチマリヤーなのだろうか。 ![]() ※集落図は、久高島の祭祀組織系統を説明する ための資料として掲載・図示されていたものです。 いっぽう、 語り部の言う「島軸・国軸」は、見つかった。 ※『神々の原郷 久高島 (下巻)』 〜シマジュク シマの空間的中心という認識がある。 外間殿の下方にある地名。〜 おおむね ↑地図上の青丸のあたりと思われた。 シマジュク、シマジク、島軸…ウプチマリヤーと、 口走りながら、片っ端から「比嘉本」を見ていくと、 ↓遂に1枚の写真を見つけた。次の説明がある。 〜新タムトゥのシマジクまわり (粟の収穫儀礼のときにおこなわれる 1976年)〜 写真を島の人に送り見てもらうと、確かに語り部 の言う「角」付近を西側から撮ったものだろうと。 ![]() ※『神々の古層 女が男を守るクニ 久高島の年中行事』 (比嘉康雄著)より。 「粟の収穫儀礼」の項には、次の一文もあった。 〜 新タムトゥ(60歳以上の神女)のシマジクまわり。 外間殿の下方にシマジクという場所がある。ここは 島の中心といわれていて、以前は大石があったという。 第一日目の朝ガミ終了後、新タムトゥたちは、先輩 タムトゥのリードで、このシマジクを七回回る。〜 神女たち、シマジク、粟の収穫祭、七回回る…? ウプチマリヤーなる旧家についてはまだ分からないが、 語り部にとりあえず調べたことを伝えると、言った。 「粟…が、今回の謎を解く鍵になるでしょうね」 「アワ……ですか」
by utoutou
| 2019-01-08 21:48
| 瀬織津姫
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