人気ブログランキング | 話題のタグを見る

六甲山と瀬織津姫 206 粟で繋がる島々

昨年末の久高島。
北端にあたるカベール岬で日の出を見たときのこと。
というより晴天ではなかったので、雲から漏れる陽光を
仰いでから集落へと戻ろうしたとき、「六芒星」を見た。


カベール岬を背にして、集落(南)へ戻る1本の道。
六甲山と瀬織津姫 206 粟で繋がる島々_a0300530_07103902.jpg




岬の砂地に線で描かれた、ふたつの三角形…。
朝7時ごろ。日の出の前に来た誰かが描いたのか。
前日、島の三角点(記事は「猿田彦の十字路」)に
行っていたこともあり、とても不思議な縁を感じた。
三角…「三」…。イザイホーを終えた神女やその兄弟
が耳に飾るイザイ花の色は赤白黄の三色だったが、
それは、海人族の崇める太陽・月・星を示したと思う。
六芒星はその意味を含んでいる…などとつらつら考えた。
六甲山と瀬織津姫 206 粟で繋がる島々_a0300530_07105540.jpg





那覇で会った語り部も不思議なことを言った。
「久高島の三角点と、伊江島の三角点(タッチュー
で、昔、祈り合わせがあったと聞いたことがあります。
久高島と粟国島も、粟で繋がっていた。
詳しく言うと、伊江島(と伊平屋島・伊是名島)、
粟国島(と渡名喜島・久米島・慶良間島)、
そして久高島。その島々が浮かぶ3つのエリアを
結んだ三角形には、黒い船が隠れていると思います」

チマリヤーの船、そして…。

調べると、その昔、チマリヤーの先祖が粟を伊江島
に伝えたことが分かった。彼は出世して島の娘と結婚。
霊力高い(しじだかい)女の子が生まれ、やがて、
島いちばんの神女となった。その神名はマシンダル。

久高島・チマリヤーの代々の神名を継いだことになる。
マシンダルの家は久高島へのお通し(遥拝所)になった。

いっぽう、粟国島は粟が古来自生していたのが由来
と聞くが、調べても粟の神事は見当たらなかった。

ただ、粟酒をお祭り・ヤガン折目(うゆみ)の際、
神へのお供えにしていたことは記録に残っていた。
※(『琉球国由来記』第17巻)
〜ヤカン祭りトテ、粟神酒六ツ作り、魚肴八重
ノトノ二アゲ、ノロ、根神、御タカべ、(後略)〜

粟で作る口噛みの神酒(ミキ)だったのだろうか。
祭りの由来は、「不伝」とも記されており、
王府時代(18世紀初頭)、すでにその古祭の詳細も
不明になっていたことを窺わせるいっぽうで、
粟酒は、少なくともその時代までは神酒であった…。

久高島・伊江島・粟国島。
そんなわけで、確かに島々を結ぶ「三角形」
には粟が関係していることは分かったが、さて。
そこにはどんな深い意味が隠れているのか…?
六芒星を成す、もうひとつの三角形はあるのか…?

最近になって、語り部から、粟に関する質問がきた。
「粟は天皇の即位式でも神饌だったのではないですか?」
「その通りでした」
と、践祚大嘗祭の資料を開いてから、伝えた。



地図を粟国村観光協会HPから拝借。
久高島(赤矢印は加工です)、粟国島(左の赤い島)
伊江島(その右上の青い島)を結ぶと三角形になる。
六甲山と瀬織津姫 206 粟で繋がる島々_a0300530_11162765.png












by utoutou | 2019-01-24 09:56 | 瀬織津姫 | Trackback | Comments(2)
Commented at 2019-01-24 17:58 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by utoutou at 2019-01-27 08:09
おじいさんの粟の話、五穀の世の話、面白いですね。アニマというか穀物の霊力を感じ取る神人さんなんでしょうか。  
中山世鑑に出てくる久高島の穀物起源伝承には、流れ着いた壺に五穀と稲の両方が入っていたと記されているものがあるので、同時に持ち込まれた時代もあるのではと思っています。
それから、玉城(百名)と久高島の両方に、アンブシゲー(網干場)の地名が残っていて、これは半漁半農の生活の名残りだと聞いたことがあります。久高島の場合、栽培されたのは粟と麦だけだったようですが。いま大陸で育った粟のDNAを調べる研究もあるようなので、「粟の来た道」がもっと分かると嬉しいですね。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< 六甲山と瀬織津姫 207 米と... 六甲山と瀬織津姫 205 粟と... >>