人気ブログランキング | 話題のタグを見る

天孫氏は火の一族〈29〉久高島、赤い月の女神

A子が霊視した赤い鳥居は何を暗示するのか。
それが現れたというのは、久高島イシキ浜の拝所。

'19年11月、日の出のイシキ浜へ急いだときの風景。
天孫氏は火の一族〈29〉久高島、赤い月の女神_a0300530_15001067.jpg





浜へ降りる道の右奥に、「伊敷泊」の拝所がある。
サンゴが砕けた白砂は、斎場御嶽に敷き詰められた
ものと同じ。王府時代に編纂された『琉球国由来記』
に、久高島では3ヶ所だけ載る古い御嶽のひとつである。
 (3ヶ所とは、ここ伊敷泊、フボー御嶽、中森の御嶽)  

ノロをはじめ神女たちが祈りを捧げたこの御嶽で
祈ると、赤い鳥居が視えてきたと、A子は言った。
天孫氏は火の一族〈29〉久高島、赤い月の女神_a0300530_15002275.jpg





「何でしょうね? 赤い鳥居って」
語り部に経緯を説明して尋ねると、こう語った。

「男の神ですよ。アガリウフヌシ、ニライウフヌシ。
あ、その前方に赤い鳥居、というより姫が視えます。
赤い羽衣を着て、赤いサンゴの首飾りをした姫。
龍宮乙姫・弁財天・宇迦之御魂のようにも視えます。
 手には縄文土器のような壷を抱えて、月を見ている」

ーー 月のしずくを壷に受ける縄文の姫ですね?

「赤い鳥居というより、アカヤミョーブ(赤い天幕)
でしょう。十五夜のとき、外間殿の庭に掛ける布。
デイゴの木と竿とアカミョーブが、A子さんには、
 赤い鳥居に視えたということではないでしょうか」

ーー そうだったのか。赤い鳥居は月の女神の象徴。
久高島では、マチヌシュラウヤサメー。
ヤマト神話では、カヤノヒメと呼ばれた月の女神。


アカヤミョーブを撮ったカラー写真は残っていない。
過去ログ「瀬織津姫」でも拝借したモノクロ写真は、
比嘉康雄氏が(推定1970年代に)撮ったものだった。
天孫氏は火の一族〈29〉久高島、赤い月の女神_a0300530_11581030.png





いやいや、ないわけじゃない、
A子が撮って送ってくれた十五夜のカラー写真が
あったはずだと、ブログを遡ると↓これが出てきた。
5年前、「火の神」というタイトルで書いた日が
ちょうど十五夜で、許可を得て掲載させてもらった。

久高島の外間殿で、十五夜の神行事は続いていた。
そして、月の出を待つ赤い天幕は鳥居のように見える。
天孫氏は火の一族〈29〉久高島、赤い月の女神_a0300530_12341553.jpg





あの日も、語り部は「赤」について語っていた。

「赤は女神の色、月神の色ですから、
その霊力をいただく神女は、
赤い神衣を着ていたと思います。その名残りから、
沖縄の婚礼衣装は赤を基調にしています。
琉球舞踊のルジン(胴衣)も赤。久高島では
 十五夜に、アカヤミョーブを下げてお祝いします」
天孫氏は火の一族〈29〉久高島、赤い月の女神_a0300530_12500280.jpg





話は戻って…。
イシキ浜の拝所を霊視したとき、語り部は言った。

「赤い羽衣を着て赤いサンゴの首飾りをした姫
  は、カナイマジカサとも呼ばれていたと思います。
ちょっと調べてもらえませんか?」

カナイマジカサ…?
あれから10日経った今朝、ふと『琉球国由来記』
 を開くと、「久高島・伊敷泊」にその名はあった。

〜伊敷泊 弐御前 東方へ遥拝 被遊也
一御前 ギライ大主
  二御前 カナイ真司 〜

真司は、ウチナーグチで「マジカサ」と読む。
司とは、ノロ・根神・君に匹敵する神女の古称。
カナイマジカサの霊は伊敷浜に残っていた。

神の島の二ライウフヌシ(太陽神)の一対神
として、カナイマジカサ(月神)は、こうして
 琉球王家からも崇められていたのだった…。



by utoutou | 2020-06-04 09:28 | 天孫氏 | Trackback | Comments(0)
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< 天孫氏は火の一族〈30〉赤の祭り 天孫氏は火の一族〈28〉太陽神... >>