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天孫氏は火の一族〈97〉下照姫(したてるひめ)

後に「土蜘蛛」と呼ばれることになる山の民は、
神世の時代から葛城で金鉱を採掘していたらしい。
また、葦原に生成するスズ鉄を採り、地炉(じろ、
沖縄では、じーろ)に火を点け、鉄具も作っていた。

天孫降臨の舞台・高天彦神社にも蜘蛛塚はある。
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縄文時代の末期、大陸から鴨族が渡来してくると、
彼らに、蹈鞴(たたら)を使った製鉄を教えた。

高鴨神社に祀られている鴨族の祖神・味耜高彦根神
は耜(すき、鋤)の字を含んでいる。農業の神だった。
鴨族は、葛城川の下流に移動して水稲耕作を始めた。

やがて、神武を初代とする葛城族が渡来して、
先住族(土蜘蛛)を統率する鴨族と姻戚関係を結ぶ。

神武の皇后になったのは、媛蹈鞴五十鈴媛命。
亦の名は、登冨多々良伊須須岐比売(古事記)。
ホト(火床)とタタラ(蹈鞴)を守護する女神だ。

媛蹈鞴五十鈴姫は、事代主神が八尋鰐となって
三嶋溝杭の娘の元に通って生まれたという。
事代主神と三島溝杭とは、いずれも賀茂建角身命
の別名と言われる。あるいは、八咫烏の別名とも。

古代海人族の習俗を考えれば、鴨族は母系制だった
はずで、つまり媛蹈鞴五十鈴姫は鴨王家の王女だった。
 一説に、神武はその母系王家の入り婿となった。


五十鈴姫の祖先神にあたるのが、あの
味耜高彦根神(迦毛之大神)と下照姫という兄妹神だ。
鴨(賀茂、加茂)神社の元宮・高鴨神社の祭神である。
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いっぽう、下照姫は、葛城山の麓に鎮座する
葛城御歳神社(御所市東持田)でも、御歳神の
相殿に高照姫として祀られる。(写真はHPより拝借)
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鴨都波神社(葛城市宮町)では、鴨都波事代主神
とともに、下照姫は主祭神として祀られている。
天孫氏は火の一族〈97〉下照姫(したてるひめ)_a0300530_12592676.jpg





下照姫とは、天から下を照らす太陽神の巫女か。
鴨都波神社の祭神・八重事代主神は「田の神」で、
下照姫は、田を潤す「水の神」としても崇められた。

鴨都波神社は、葛城川と柳田川の合流地点にある。
下照姫は、「川の神」でもあったのだろう。

さて、この神社を訪れて以来、謎だったことがある。
鴨都波神社の「都波(つば、つは)」とは何か…?
その意味に、ようやく気がついた。

都波(つは)は、水の神・ミズハノメの「づは」。
弥都波能売神(日本書紀)、罔象女神(古事記)。
どちらも、水の神・ミズハノメノカミのことだ。

調べてみると、鴨都波神社の古名は、
鴨弥都波神社(かも・みづは神社)だったという
伝承があるそうだ。「みづは」は「水端」の意味だと。
「鴨のみづはの神」、下照姫はミズハノメノカミだ。
葛城には縄文の女神・瀬織津姫が隠されている…。










by utoutou | 2021-08-15 23:02 | 天孫氏 | Trackback | Comments(0)
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